うねり取り、つまり「数カ月の上げ下げ」を狙う売買で、理想的なエントリーポイントは?
正解は、ひとつではありません。プロや上級者は必ず見込み違いを想定し、その部分の考え方によってタイミングが異なるものです。

また、現実味のない“一点狙い”を否定して分割売買を前提とすれば、値動きへの対応は無限の選択肢を生むのです。
そこで今日は、中源線のシンプルなエントリー思想について解説します。

株で儲けるには、安く買って高く売る──。
間違いではありませんが、この表現をそのまま行動に反映しようとすると、実践的なミスが起きやすいと私は考えています。

「安く買う」という言葉から、チャートにおけるタテ軸だけに目が向いてしまうのが自然な心理です。
チャートは、タテ軸の「価格」とヨコ軸の「時間」という2つの要素で成り立っているのに、そのうちの1つ(全体の50%)を忘れてしまうようではバランスがわるいのです。

考えるべきは、「トレンド」です。
「上げ」「下げ」「横ばい」という“ベクトル”です。

タテ軸とヨコ軸を同時に見ることで、同じ上げでも「急激な上げ」と「ゆるやかな上昇」を区別して認識できますし、「ジリ高から急騰」といった変化も感じ取ることができるわけです。

タテ軸だけに目が向くと、例えば株価をチェックするとき、「自分の買い値」「現在値」「前日比」を見て一喜一憂するように、トレードの最適解を探すことから大きく外れた思考になってしまいます。

具体的に、図を示して説明しましょう。



タテ軸だけを見た場合、理想の買い場は最安値のBでしょう。
しかし、実践的には疑問なのです。

図の値動きは、安値の往来を経てFあたりからハッキリと上昇に向かっています。

もしBで買った場合、C、D、Eとモタモタする間も、不安を抱えながら買いポジションを維持する必要があるので、F、Gと上がりかけたところで売ってしまう可能性が高くなります。
精神的に疲れた結果の、「やれやれ売り」と呼ばれる行動パターンです。

もし「一点買い」をすると仮定したら、理想の買い場はズバリ、Eです。


トレードでは、時間をかけないようにするのが、ひとつのポイントです。
刹那的な短期狙いはダメですが、ムダにポジションを持つ時間は省略したいのです。

時間をかけるほど、長くポジションを持っていることでリスクが増加します。

また、資金を寝かせて効率がわるいという問題も起こります。

「さあ、いよいよ!」となってから仕掛け始めるのが、これらの問題を避ける工夫なのです。

そう考えると、実はIで買ってもOKという説明が成り立ちます。
最安値のBで買った結果として、時間がかかった割に値幅が取れない……こんな結末よりは、グングンと上がる様子を見てIで飛び乗るほうが、戦略として有利かもしれないという論理です。
もちろん、ダメだと判断して飛び降りるそなえが必須です。
 

さきほど触れた中源線では、Fで買いはじめ、GとHで買い増しします。