株に関する情報のほとんどは、「有望銘柄」です。

これが上がるだろう、この銘柄がはやく動きそうだ、というものです。

 

プロの実践者だって、プロセスのなかに「この銘柄を手がける」という決断があります。

 

でも、一般的な情報は、さまざまな手順を飛ばして銘柄情報に特化している感じです。

料理で「この野菜を使えば、誰でもおいしい料理が作れる」みたいなもの……あり得ません。

 

どうしても「銘柄を当てる」ことから離れられない投資家に、「相場は損小利大」ですと説明すると、「なるほど、予測の方法を磨いて、曲がっても小さな損、当たったときに大きな利益が出るようにするんですね」なんて返ってきたりするのです。

 

ちがいます!

 

予測は当たったり当たらなかったりで、当たった場合でも、その後の対処で結果が決まります。対処がわるいと、予測が当たったのにマイナスという結果だってあります。

 

「当たった」「乗れた」というときに、ただジッとしていれば利が伸びる、ということでもありません。単純に待つだけで、小幅利食いよりは利益を伸ばす可能性がありますが。

 

「当たった予測を育てる」という表現があります。

慎重に、大切に、丁寧に扱うことで、少し利を伸ばすことができる──これが現実です。

 

曲がったときも、見極めるタイミングが重要です。

上昇を狙って買う場合、最安値を一点買いしないかぎり、本格的に上昇するまでは評価損が発生します。飛びつき買いが功を奏した場合以外は、評価損を抱えるのが当然なのです。

でも、その評価損が膨らんでいく状況は、放置できません。

 

カジュアルにまとめると、「当たった予測を育てるべく、よいポジションには時間をかけてOK」。そのかわり、「曲がった場合のわるいポジションは、早めに切ってしまう」ということです。

 

だから、一部の実践者が「ダメなポジションをとっとと切っていくだけで、よいポジションが残ってトータルで利益になる」なんてカンタンに言うのですが、ここでサッと説明したことだけでも、かなり繊細で、実践のハードルが高いことが想像できると思います。

 

気軽で無責任な銘柄情報を見ながら、いろいろな状況、いろいろな銘柄に手を出していたら、いつもその場かぎりの対応です。

 

やり方、銘柄の範囲などを徹底的に絞り込み、緻密で丁寧なポジション操作を試みるのが、損小利大への唯一の道です。