「売り」という単語から“下げを狙うカラ売り”を連想し、「カラ売り=特殊な売買」と、なんとなく敬遠するイメージが浮かぶかもしれません。
おそらく、ごくあたりまえの感覚です。

でも、考えてみると「売買」ですから、売りがあれば買いがあり、買いがあれば売りがある、ということです。
買いポジションは値上がり狙い、カラ売りは値下がり狙いと真逆ですが、どちらも、「売り」というアクションと「買い」というアクションが同じ量になるのです。

値上がり狙いの“買い戦略”に絞って考えます。

買ったら、いつかは売ります(反対売買)。
別の銘柄に乗り換えるにしても、買ったものを「売る」アクションが必要です。
私たちの売買は、日銀がETFを買う行為とはちがって資金に限度があるので、持っている株を売らないと、次の“仕入れ資金”がないのです。

別の観点から、「買う段階で、(高く)売ることが狙い」ともいえます。
買いを検討している時点で、すでに「売り」を見据えているのです。

どんな戦略であっても、「買い」と「売り」を同じ重みで扱うのが正しい認識です。

林投資研究所オリジナルの相場観測システム「中源線」は、「うねり取り」を機械的判断で行うためのツールです。
狙いは、「数カ月単位の上げ下げ」です。

 

 


すると、上がったり下がったりの繰り返しだから、「買いだけを実践しても問題ない」といえそうですが、銘柄によって、時期によって、1年以上もダラダラと下げ傾向がつづくこともあります。

こういったケースに遭遇すると、買いに限定した戦略だと、下げ途中に出現するダマシの陽転で買って投げるだけ……こんなイヤな結果になる可能性もあるのです。

銘柄を適度に分散するバスケット運用で吸収できるかもしれませんが、やはり限度がありそうです。だから、「売りで取れる時期は売りで取る」ようにしたいのです。

私も以前は「買いだけという利用法もあり」と思っていたのですが、いろいろな銘柄の動きをシグナル配信で眺めながら、売りを避けるべきではないと、けっこう前に考えを改めました。