新たにポジションを持つときは誰でも、“大いなる期待”を抱えています。
「損しそうだ……」と感じるポジションを、わざわざつくる人はいません。

そのはずなのですが……実際は、「手を出さずに儲け損なったらイヤだ」なんて考えで踏み切ってしまう、確信がないままポジションをつくってしまうケースが多いと思うのです。

明日の株価はわからないので、見通しが当たるかもしれない、しかし外れるかもしれない──トレードの大前提ですが、だからこそ「これはいける!」と確信できる状況のみ出動するという、クッキリした線引きが必要です。

たぶん、多くの投資家は、この部分がユルいのです。
だから、計算ずくの期待ではなく、「暴走気味の妄想」の傾向が強くなるのです。

実際に、中源線のチャートを見ながら、ありがちな暴走を紹介します。

赤が買い線で買いポジションを3分割で増減、黒が売り線で売りポジション(カラ売り)を3分割で増減させます。



過去の解説で何度か取り上げた銘柄、2281プリマハムです。

300円台から1年超も買い線がつづき、あれよあれよと倍化しました。
これを見て、「下げるときもズルズルで、ストレスのない一方通行のダラダラ下げかも」と期待するのは当然です。

ただ、その期待は、あくまでも「可能性」です。
「そうなりそうだ」→「なるんだろう」→「きっとなる」→「逃すものか!」と思考が暴走すると、“いけないこと”をやらかしてしまいます

「上げは1単位1,000株だった」→「陰転したら、1単位5,000株でいくぞ!」
「上げには乗らなかった」→「陰転したら、ガツンと株数を入れてやる!」


「臨機応変な行動」のつもりが、うっかり危険地帯に踏み込んでしまうのです。

チャートの中央あたりに、ダマシの連続があります。
陰転→陽転→陰転……最初の陰転が1年以上ぶりの転換だったのですが、そこから3連敗してしまいました。「こんどは!」と気合いを入れていた場合、このあたりでイヤになってしまうでしょう。

そして、最後に高値を取りにいく過程の買い線も利益はわずかだったので、そのあとの陰転時には、「『こんどは!』チーム」のメンバーも激減していてほぼゼロです。

その陰転が見事な結果を出しました。
相場“あるある”の、実に皮肉な展開です。

コーフンしてはいけないのです。
利益を逃したり、無用な損を被ったりと、トホホの連続が待ち構えています。

落ち着いて戦略を見直すことはトレーダーのシゴトですが、その場の思いつきで株数を増やしたり、「やっぱ、この銘柄ダメ~」などとコロコロ方向を変えると、トレードの結果を振り返って分析することすらできなくなってしまいます。

―明日のブログにつづく―