「情報弱者」という言葉は主に、「インターネットで情報を手に入れる環境に乏しい人たち」なんて意味で、スピーディーな情報収集を得意と自負する輩が一部の人を見下すように使われています。
でも、いま飛び交っている新型コロナウイルスの情報などにはデマが多いだけでなく、敏感な人ほど情報過多で整理がつかなくなっているかもしれません。それこそ、情報弱者かも……。

ちょっとだけ深く考えれば、最も重要な情報は自分自身の最終決断、つまり「自らつくり出すもの」です。それを導き出すフィルタリングの基準なども、自ら決めるものです。情報とはなにか、弱者の定義とは──観点は無数にありそうです。

でも、まずは「誰でもうっかりするケースはある」と考え、立ち止まって考える機会をつくればいいのではないでしょうか。

私たちは一定の経験を積んでいて、さまざまな知恵があります。
その知恵を使って、ムダなく正解にたどり着こうとするのは自然なことです。

また、現代の生活も、資本主義における仕事も、「効率化」が大切なキーワードです。

そんな発想を、トレードにも活用します。
「手抜きはダメ」と認識しながらも、「ラクして儲ける」発想は“効率化”という意味では間違っていない、むしろ「そう考えるべきだ」と理解しています。

しかし、効率化を助けてくれると期待を寄せる投資関連情報が大量にあるため、的を絞れずに混乱してしまいます。オトナの知恵が通用しないどころか、アダになってしまう可能性が高いのです。

「誰にも明日の株価はわからない」「株式市場に秘密はない」といったことが、いわば“最大の秘密”なのですが、知恵があるために盲点になってしまうのだと思います。

中源線のチャートを、あらためて見てみましょう。

※赤が買い線(買いポジションを3分割で増減)、黒が売り線(売りポジションを3分割で増減)です。

 

 



どの銘柄も、林投資研究所の「中源線シグナル配信」で「ユニバース」(パフォーマンスが長期に良好かつ安定している“研究対象”銘柄)に選定しているものですし、すべて旧東証一部ですが、個々の上げ下げはバラバラです。

12月13日のブログで「同じ基準で複数銘柄に戦略的な分散を行うのが安定化を図るポイント」「動きの異なる銘柄を選ぶ」ことが重要、と説明しましたが、考える過程には、トレードの姿勢を見直す大切なヒントがあります。

効率化を考えて結論を急ぐオトナが大半なので、情報を売ることに必死な業者は、「これですよ!」といった“銘柄情報”にガッツリと傾けてきます。
すると、十分に賢く、正しい姿勢にたどり着ける人でも、知らないうちに流れされてしまい、「銘柄の当てっこ」に走るのです。

さきほど示した3つの銘柄に戻ります。
同じ期間で、一見同じように往来している3銘柄をよく観察すると、

  • タイミングが異なる
  • 波動の数も異なる

などの発見があるのですが、こういった視点は、ちまたの投資関連情報にはありません。

「他人とちがえばいい」ということではありませんが、少なくとも、「多くの人と同じ」だと、高値を買ったり安値を売ったりしてしまうのが株式市場の構造、大きな値動きを発生させる要因なのです。

―つづく―