「信用取引はキケン」という意見がある一方、「積極的に使うことで利益が伸びる」と主張する向きもあります。

さまざまな意見には、根本的な誤りがあったり錯覚があったり……私が考えるポイントを挙げながら、この議論に結論を出すような、プレーンかつ実践的な見解を述べたいと思います。

信用取引を活用する──この言葉で多くの個人投資家は、「現金で現物を買う」「それを担保に信用取引でも買う」という取引を想像するようです。

これは、まちがいなくキケンです!
長期保有を狙って現物を買い、信用取引では短期的な利益を目指すという論理に「おっ、それいいかも!」と食いつく人も多いのですが、資金にレバレッジをかけると(資金以上のポジションを持つと)、ちょっとしたブレ、当たり前に起こる相場のアヤで大損する可能性があります。

うまくいって効率よくバンバン利益が出る局面もあるでしょうが、値動きの不確実性と激しさを考えたら、「必ずどこかでドボンのポイントを迎える」と認識すべきです。

私が提唱する資金稼働率は、「50%が限度」です。

そんなに抑えるの?
いくらなんでも・・・


こう反論されるのですが、つい攻めてしまうのが人間の心理ですし、それほど攻めなくても、よくないポジションを先送りする自然な気持ちによって「身動きの取れない状態」をカンタンに生んでしまいます。

とにかく、余裕を失った者が、ちょっとしたアヤで身動きの取れない状態に陥り、それでもやせガマンをつづけた者が大損する──これがマーケットの構造です。

少なくとも、現物を担保に信用でも買うなんて、ムチャな行動としかいえません。

では、現物なら安全・安心なのか?
そんなことはありません!


資金いっぱいに現物株を持っていたら、下げ相場でしっかりヤラレます。
急落すれば、短期間で大きな含み損が生まれます。
だから、「50%」と提唱するのです。

ただ、現物には期限がないので、いくらでも“先送り”が可能です。

だから「大丈夫」とか「安心」とかいわれるのですが、証券会社の営業の都合によるトークであり、その場だけラクになればいいという心理の投資家が受け入れる錯覚です。

信用取引は、「カラ売りを行うためにある」と考えてください。
買いは資金の範囲内で余裕をもち、必ず現物です。
でも、下げを狙うカラ売りは信用取引を利用する以外にありません。

ただ、「カラ売りはキケン」という意見もあります。
これも、投資家の錯覚+証券会社の営業の都合によって生じた誤解、という面が非常に強いのです。

上昇してきて材料もある“強い”銘柄が話題になり、多くの投資家が「いじりたい」とソワソワします。買おうか、どうしようか……。ところが、カラ売りするときも、そんな強い銘柄とケンカするように売り向かうのです。

必然的に、短期間で大負けというトホホな結末があります。
「そんなバカな」と意地になって損切りしないから、ケガが大きくなるのです。
こういった経験が投資家、そして証券会社に残り、「やめておこうよ」という気持ちにつながるのです。

でも、さきほど述べたように、下げ相場なら、現物で買っていても大きくヤラレます。
買ってはいけない時期、カラ売りで着実に利益が出る相場は存在します。

強い銘柄は買いの対象と考え、カラ売りは「弱々しい銘柄」を相手にするのが正解です。

そもそも、買いもカラ売りも、「ポジションを取り、その後の値動きで儲かったり損したりする」点で全く同じです。

現物は先送りできる、カラ売りは先送りできない、信用取引の買いはサイアク、現引きして先送りできる、といったことが錯覚につながっているのです。

カラ売りを利用した「ツナギ売り」というテクニックもあります。
多用したら複雑になって手に負えなくなるのですが、現物のポジション(買い戦略)を維持しながら同じ銘柄をカラ売りして“手応え”を確認し、その後の展開をあらためて考える手法です。

とにかく、信用取引はカラ売りのために利用するべき制度です。
ただ、へんな使い方をするとダメだということです。

家庭のキッチンにある包丁だって、使い方がわるいとケガをします。
使い方しだいであり、「包丁はキケンだ!」なんて議論はありません。
信用取引も同じです。

ただ、買いの買い(2階建て、現物+信用買い)は非常にキケンです。
証券会社に金利を支払い、わざわざ負け戦の要因をつくるだけです。

信用取引の認識、利用方法のみならず、売買・トレードにおける「資金稼働率」に気をつけるようにしてください。

このテーマで作ったYouTube動画はこちらです。
ぜひご覧ください!

 

 

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