安く買って高く売る──あたりまえのことながら、儲けるために大切とされる言葉です。
でも、この表現には大きな疑問があります。

多くの人は、ふだんの消費活動を当てはめて、前半の「安く買う」という部分にフォーカスしてしまう傾向があります。ふだんは、買ったものを消費します。アイスクリームを買ったら、食べます。洋服を買ったら、ボロくなるまで着ます。だから、買うときに「安い」ことだけが重要なのです。

でも株は、買って消費するわけではありません。
買い値よりも高く売ることが狙いです。
“商売”しなければならないのです。

商売について、「利は元にあり」と安く仕入れることの重要性を説いた言葉がありますが、それは一般的な商品の売り値(消費者が買ってくれる価格)がだいたい決まっているからです。株の売買には、そんな意味で当てはまらないでしょう。

「安く買う」にフォーカスして、実際に安く買った。でもダメだった……こんなケースを列記してみましょう。

  1. さらに下がった
  2. 上がらない
  3. 手堅く出遅れを買ったつもりが、“出ずじまい”が続いている
  4. 安く買えて上がってきたが、周囲の銘柄に比べて上昇が鈍い

2と3は同じような状況ですが、3のほうは「周囲は上がっている」のでイライラしますね。

このうち、最後の4だけは含み益が生まれていますが、周囲の銘柄は十分に上がっているので、「儲け損なった」「損した」とミスを実感します。

上げを狙う“買い戦略”では、買いからスタートします。
そして、どうしても消費行動の感覚が入り込みます。

そこに抗うよりも、別の角度からアプローチする方法を提案します。
ポイントとなるのは、「買う理由」です。

儲けたいから、みたいなことではなく、具体的に「これこれ、こうだから買う」という根拠です。未来のことはわかりませんが、自分なりの想定、シナリオ、自分なりの確信ある「買う理由」です。

ファンダメンタルで、「○○先生のオススメだから」みたいなのはダメです。
そんな予想に乗っかるときでも、「その銘柄がいま買いだ」という理由を聞いて、自分で100%納得しなければいけません。そうしないと、見込みどおりに上昇しても利食いのタイミングを決められません。見込み違いのときは、次の一手を失ったままになります。

値動きを当てるのも至難の業ですが、自分なりに動きを想定します。
その際に「売ることが狙い」だと忘れないかぎり、単に過去と比べて安くなっただけで慌てて買ってしまうことはなくなるでしょう。

下の値動き図を見てください。



「安く買う」を最優先させると、最安値のBですが、そんな難しい一点を狙っても当てられません。下げ途中のA、あるいはもっと手前で買ったりしたら、最安値のBで投げるかもしれません。相場あるあるです。

理想は上げる直前のDで、「上がりはじめた」と感じたあとの押し目、EFも、実践的には“おいしい”買いポイントだというイメージが、渦中にいて判断するためには役に立つと思います。

 

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