東京証券取引所が2019年3月、今の市場区分を見直すと発表しました。

東証一部、東証二部、マザーズ、JASDAQ……この4つの区分が「投資家にとってわかりにくい」構造だったので、現在の上場銘柄を新しい3つの市場に分けようという計画です。

 

東証の案は、以下の通りです。

  • 国際的に投資を行う機関投資家をはじめ広範な投資者の投資対象となる要件を備えた企業(C 市場)
  • 一般投資家の投資対象としてふさわしい実績ある企業(A 市場)
  • 高い成長性を有する企業(B 市場)

“一軍”ともいえるC市場が、現在の東証一部にかわるものと目され、そこに「時価総額250億円」との基準を設けるという非公開議論の内容が野村證券によって漏れ、混乱を招きました。

 

さて、議論を引き継いだ金融審議会は11月20日、次のような案を公表しました。

  • 今の東証一部にあたり、世界から投資を集める「プライム市場」
  • 中堅企業の「スタンダード市場」
  • スタートアップ企業を中心とする「グロース市場」

この3つに分けるというのです。

 

3つの市場に上限関係はなく「並列」に位置づけるというのですが、現在の東証一部から「プライム市場」に入れなければ、実質的に「格下げ」とみなされるでしょう。最初の東証案となにがちがうのか、疑問があります。

 

東証案とは異なり、時価総額による区分けを示していませんが、プライム市場の要件として、ガバナンスといった企業の「質」に言及しつつも、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額・流動性」と「規模」の問題も挙げています。

 

また、現在のTOPIX(東証株価指数)が東証一部の全銘柄を対象にしていることが問題として、新しい指数をつくる案が出ています。これは当然のことかもしれませんが、現在の東証一部に上場する小型株は、ダブルで格下げの可能性があると考えられます。

 

─つづく─