カレーは日本人の国民食だけに、中華街でもいわゆる「中華式カレー」が人気。店によっていろいろあるけど、注文が入ってから豚肉とタマネギを炒めたり、八角などのスパイスが入ったりするのが中華カレーの大きな特徴。もともとは厨房で働く人たちの賄いだったものが、看板メニューや知る人ぞ知る裏メニューへと進化を遂げてきた。

中華カレーといえば、香港路の保昌。牛バラ肉カレーご飯は、この店の名物メニュー。さすがに美味いが、カレーというよりもカレー味の牛バラ肉ご飯という感じ。

その保昌の向かいにある牡丹園でも、週末限定のランチセットとして牛バラカレーライスを提供。牛バラ肉や野菜の具材がゴロゴロ入り、ボリュームも十分。ほんのり中華風味を感じさせるも、保昌よりもカレーっぽい。数ある中華街のカレーの中では、これが一番好きかも。
中華街大通りの同發ではメニューには載っていないけど、平日限定で排骨カレーを注文できる。いわば裏メニュー。焼物に定評がある同發の排骨が載るカレーが不味いわけがなく、中華式カツカレーの趣。カレー自体は黄色くて、古い洋食屋やそば屋のカレーを思わせる。

同發と同じ通りにある重慶茶樓の牛バラ肉のカレーNo.142は今はなき、重慶飯店別館で人気だったメニューが数量限定で復活したもの。「No.142」というのは、別館があった住所「山下町142番地」に由来。中華カレーというより、カレー味のビーフシチューのよう。他店と違い、茶碗に盛られたご飯とカレーが別々に出てくるので、ご飯のおかずとしてカレーを食べる感じ。そんなところも相まって、シチュー感が強い。

関帝廟通りの鳳林のカツカレーは、何よりもそのボリュームが一番の特色。カツが小さく見えるのは、ライスの量がとんでもなく多いから。小盛りでも400g、中盛りが600g、大盛りに至っては800gもある。どの量でも値段は同じなのが嬉しい。豚バラ角煮が入っている以外は、中華っぽさはさほど感じられない。この中では一番辛い。

開港道の北京飯店は1955年創業の老舗で、特に有名な看板メニューはないけど、何を食べても美味い実力店。それは牛バラ肉の中華カレーも同様。かつては常連以外への接客が良くないという中華街の古い店にありがちなパターンだったけど、最近は見違えるように接客マナーが良くなった。