顧客満足視点を養うBlog -4ページ目

本年もよろしくお願いいたします

新しい年になりました。

いつもお読みいただいている皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


昨年末より更新がかなり滞り申し訳ありません。

いち消費者としてこの間もいろいろな体験をしておりましたが、それをどのように記事にしていくべきか私なりに悩み、更新できずにおりました。サービスを提供してくれている会社への個人攻撃、単なる誹謗中傷にならぬようにと思っていたつもりが、いつの間にかそうではなくなっていたのではないかと考え込んでおりました。


そしてかなり当たり前のことですが、サービスの提供主、提供される側、双方がHappyになるような結果を導き出すようにしていくことが大切なのでは、と気づかされました。こう書いてしまうと非常に当たり前なのですが、大切なことをすっかり忘れてしまっていたように思います。恥ずかしいことです。


その考え方をもとに、今年も自分自身、一消費者として、そして顧客サービスをさまざまな形で提供する側として、読んでいただいた方に小さなことでも何か「気づき」たるものをお持ちいただけるように記事を書いていきます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

視野狭窄からの脱却

あるコールセンター関係者の集うコミュニティの記事をぐるぐると見ていた時、目に入った言葉。


「クレームは得意です。また今日も勝ちました。」


実はこの言葉、センターで勤務していると必ず残念ながらどこかから聞こえてきていた。


その感覚、私も現場経験があるので、正直なところわからなくはない。ただ、口に出して言ってはならないことだ。クレームは当然のことながら勝ち負けではない。クレームに「強い」とか「得意」という考え方もそもそも誤っているし、勝ち負けで表現するなんて、もってのほかだ。まったくもって視野狭窄だと思う。


センターにいると視野狭窄に陥ることが多い。私は、(基本的には)オペレーターには罪がないと思う。その管理者であるSVたちは本来、もっと広い視点で考え、行動し、オペレーターの教育をすべきだが、出来ていないことが多いようにも思える。そのSVたちの手引きをするのは、センターのトップであるセンター長。センター長はどれだけセンター内外の交通整理をしてあげられているか。必要な情報をきちんとSVに説明し、理解させているか。また、ミッションを説明できているか。


アウトソースされているセンターの場合は尚のこと、視野狭窄度が高くなる。上述の場合は基本インハウスだが、業務委託の場合、視野狭窄になる原因として考えられるのは発注元の担当者、担当部署、担当管理職、、、つまり、発注元企業の顧客対応への真剣度合いだ。

これは、かなり重大な問題だが、事実このような発注元は多いだろう。


コールセンターのCSを向上させるためには、彼らの運営だけでは良くなりようがないのだ。会社全体で意識を高めなければ意味がない。なぜコールセンターの担当者たちが悲観的で、疲弊しているか判るか?それは、何度も運営についての提案をしても、暖簾に腕押しだったから。そして、諦め、視野狭窄になる。結果、CSは下がる。


そのスパイラルに入るセンターが少なくなることを願って止まない。




いつから、何ヶ月?

今日、地下鉄の定期を購入するために窓口へ。

継続の客は「名前」と「電話番号」だけ書けばよい、と大きく書いてあったので、その通りにして期限切れの定期券と申し込み用紙を窓口で渡す。


「いつから、何ヶ月?」


と、目もあわせず言ってきた男性職員。せめて、丁寧語くらい使え。


「いつから、何ヶ月ですか?」


と、”ですか”の3文字をつけるだけでいいのに。


確かに、申込用紙を書くところでは継続客は「名前」と「電話番号」だけを書けばよい、と大きく書いてあるので、私も特に期間は書かなかったのだ。と、思い知らされた。


「今日から、1ヶ月。」


と、私もぶっきらぼうに答えたが、相手にわかるわけもあるまい。


こういう人たちにどう”気付き”の意識を持たせるかが最近のテーマ。奥深いテーマだ。



感動、驚きの前にやるべきこと

先日、都ホテル東京へ泊まった。和のテイストで落ち着いたホテルである。

その際、オススメの食事場所を聞くため、コンシェルジュデスクへ。すると、他の顧客対応中だったようなので、改めようと側のソファに座って待っていた。夫と二人だったのだが、私はお手洗いへ。


戻ると、夫は既にコンシェルジュデスクにいた。レストランの相談を既に始めていたらしい。私が近づくと、

「大変お待たせいたしました」と、にっこり。ちゃんと先ほど待っていた客だ、と認識していたのがすばらしい。

(夫に後から聞いたのだが、ソファに座っていると対応終了後に「お待たせいたしました」と迎えに来たらしい)


レストランもいくつかおすすめの店をチョイスしてくれ、先方に予約を入れてくれた。地図まで持たせてくれる。

まあ、この対応は多分このレベルのホテルなら普通かな、、(厳しいだろうか)。ただ、この「普通」の対応をそつなくこなしてくれる人の少ないこと。この担当者はすべてスムースに済ませてくれた。ありがたい。


そのおすすめのイタリアンレストランはびっくりするほど安価で、しかもボリュームがあり、美味だった。私も夫も大満足。


翌日。チェックアウトの際にそのコンシェルジュデスクの方にお会いした。

「昨晩はどうもありがとうございました」ともちろん、顔をしっかり覚えている。私たちが「大変おいしかった、感謝しています」と伝えると嬉しそうに「そういっていただけると嬉しいです」との回答。


そしてチェックアウト後もきちんと「ありがとうございました」とお礼の言葉とお辞儀。


アタリマエ、と思われる方も多いだろうが、上記のプロセス、きちんとそつなくこなせるホテリエ、どれくらいいるだろうか。私は今回、非常に感心した。都ホテル東京においては、フロント、バー、そして送迎バスを利用したがどれも問題なかった。統一してホスピタリティが感じられたのだ。トータルで見て不愉快な点がなかったのは、非常に素晴らしい。


最近「感動と驚きのサービス」という言葉が独り歩きしているように思うが、感動、驚きの前に、こういったあたりまえのプロセスを一貫して実施できることにも是非注力して欲しい、と心から願う。


オペレーターの地位向上の前に

「コールセンターオペレーターの地位向上が必要」といわれ続けはや数年。上質な顧客サービスを提供するのであれば、それを提供するオペレーターの地位もまた向上させる必要があるのでは、という考え方だ。


それはそうだろうと、私も思っている。


今日、情報収集のために駅から持ってきたDOMO(求人誌)の中をチェックすると、おおよそ半分がコールセンターのオペレーター募集記事。しかも、どう贔屓目にみても「上質な」オペレーターが来るとは思えない、求人広告。


地位向上が必要といわれる一方、地位を下げるような求人広告でとにかく人をかき集める。これは、テレマエージェンシーの罪だけではなく、発注側のクライアントにも問題があるだろう。それなりの対価しか支払わないからだ。更に言及するのならば、クライアント企業側が顧客サービスにかける予算がその程度、ということだ。


念のため断っておくがコールセンターをアウトソースすることを否定しているのではない。適切な業務委託料金で適切な顧客サービスのクオリティを維持しつつ運営しているセンターはもちろん存在する。


話を戻す。地位向上を叫ぶ前にやることがある。

どんなサービスを提供するのかのミッションを定めるところからはじめ、できることからブレークダウンしていく。その手間を惜しまず、既存のレベルを打ち破ろうとする勇気のある人がどれだけ少ないことか。そしてそれを理解する人の少ないことか。

顧客と接するフロントだけ変えても仕方が無いのだ。原因はもっと奥深くにある。小手先だけで顧客主義やサービス向上を謳うのは止める事だ。