2023年GPスケートカナダ(バンクーバー大会):ペア・男子FS | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

前回の記事にてGPスケートカナダの二日目について、続きを書くと言っておきながら一週間も遅れてしまいました。

 

 

 

 

カナダから日本に向かうフライトの直前、ラウンジで書いたのが女子のFSとアイスダンスのFDについてでしたね。もうすでに大会自体からも二週間経って、その間フランス杯や中国杯も終わっているのですっかりタイムリーさを失っていますが、一応、憶えていることを書いておきたいと思います。

 

まずはペアから:

 

正直、スケートカナダの前週に開催されたスケートアメリカではペアの試合のレベルが低かったです。本来ならこの試合に三浦&木原組が出場しているはずだったのですが、それに追随する組はいなかったんですよね。

 

スケートカナダでも、まあ、同じくステラート・デュデク&デシャン組がぶっちぎりでSP首位、その後をイタリアのベッカーリ&グアリーゼ組、そしてオーストラリアのゴルベワ&ギオトプロス・ムーアが続いたのでしたが10点近く差を付けられてフリーの日を迎えたのでした。

 

ディアナ様は本当に闘志をむき出しにする選手で、そこがペア女子としては大きな強みとなっています。危険を伴う競技で女子が怖いもの知らず、どころか「私を見て!凄いわよ!」という表情で迫ってくるととんでもなくスリリングです。

 

 

 

 

 

今シーズンのフリー演目は「バンパイア」がテーマで、衣装もけっこうオドロオドロしい感じです。しかし舞台演技のコーチを雇って創り上げた、というだけあって二人とも信念をもって滑っていることが伝わり、このプログラムは多くの人に大好評。

 

この大会で141点越えというビッグスコアをたたき出し、キスクラでの表情も秀逸でした。

 

 

 

 

この勢いに乗って、今週は中国杯でも優勝していましたね。これで二大会優勝でファイナルでも優勝候補として出場が決まりました。今後はそのプレッシャーとどう戦うのか、が見どころとなるでしょう。

 

続くフランス杯ではペレイラ&ミショー組が優勝して、カナダはアイスダンスと併せてカップル競技での健在ぶりを示していまaす。それぞれ3組ほど、グランプリ大会でメダル獲得を争えるような実力のあるチームがいるという層の厚さ、それが強みです。

 

スケートカナダで2位に入ったのはハンガリー代表のパブロワ&スヴィアチェンコ組でした。要はロシア人のチームなんですけどね。こういう風にロシア人選手が別の国の代表となって国際大会に出場することがものすごく増えていますね…

 

そして前日の2位からなんとか3位に留まったのがイタリアのベッカーリ&グアリーゼ組でした。彼らはその後、NHK杯への派遣が決まり、本当に良かったです。この時点ではグランプリ大会が一戦しかあてがわれてなかったので、スケートカナダでの成績がきっと功を奏したのでしょう。

 

ゴルベワ&ギオトプロス・ムーア組はフリーで幾つかのミスが出て4位に順位を落としました。でも昨シーズンまでまだジュニアでも戦っていたチームですからこれからどんどん伸びて来るに違いありません。

 

 

なお、今大会でのフラワー・レトリーバーたちの衣装がとても可愛い凝ったものであることに気づいていたのですが、その理由を知ってウルっと来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の8月に自動車事故に巻き込まれて亡くなったアレクサンドラ・ポールさんの衣装にちなんでいたのですね。とても素晴らしい配慮だと思いました。

 

 

さて、いよいよ最後の競技の男子フリーです。前日の演技で珍しいミスをしてしまった三浦佳生選手が挽回できるのか、が注目されていましたが、ショート後のコメントがいつになく弱気だったので私も気になっていました。

 

しかしさすが「ビースト三浦」の異名(?)を取るだけあって、凄まじい演技を見せてくれましたね。「進撃の巨人」のプログラムは彼のキャラクターにとても良く合っています。海外のメディアからも記者会見で質問が飛んでいましたが、このように自分の好きな音楽で滑るのはきっと気持ち的にも盛り上がるのだと思います。

 

当然のことながら演技後のミックスゾーンでは打って変わって生き生きとした表情でした。

 

その中で、日本のスケート選手仲間と電話で話したことがとても良い立て直しのきっかけとなったこと、を言っていましたね。そしてその選手のコーチである安藤美姫さんからの助言もヒントとなった、と。これは聞いていて面白かったです。

 

三浦選手よりも前に滑っていたマテオ・リッツォ選手がショートの8位から大きく順位を上げてフリーで2位、全体で3位に入って表彰台に乗りました。

 

記者会見では「3位という順位に飽きてきた」と言って皆を笑わせていましたが、男子の試合で10点、15点などという点差はどうってことない、というコメントも興味深かったです。クワッド一つでひっくり返せるものだから、と。

 

その証拠に、と言ってはなんですが、ショートでは2位につけていたチャ・ジュンファン選手がフリーでかなり崩れてしまい、大きく後退しました。おそらく何らかの故障を抱えているのだと思いますが、バットマンのプログラムはカッコいい!!ぜひ完成形が見たいです。

 

友野選手も残念ながらフリーで幾つかのミスが出て表彰台を逃しました。しかしキスクラから引き揚げてきた彼は、その後、三浦選手と二人でモニターを覗き込んで、一生懸命山本選手を応援していましたよ。とても良い光景でした。チームメイトの演技の間中、ずっと解説をしながら激励している彼らの姿は微笑ましかったです。

 

山本選手はフリーで少し乱れるところもありましたが、全日のショートでのスコアで稼いでいたため、しっかりと首位を守って初のシニアグランプリ大会優勝。自分でも言っていたように、ジュニア時代に負った重傷から、よくここまで這い上がって来た、と皆が思っています。本当に感慨深い優勝でしたね。

 

オータムで見た時よりもずっとずっと洗練されていた「エクソジェネシス」のプログラムは今後、さらに磨き上げられていくのだと思います。

 

なお会見では日本人選手全員の通訳をさせて頂きましたが、通常、最初の質問は主催者からの「今日の演技についての感想」あるいは「メダルを獲っての感想」と決まっています。そこで私は会見に先立って選手をつかまえてその質問にどう答える予定なのか、を聞いておくようにしています。

 

予習みたいなもんですね。

 

もちろんいったん壇上に登ったら全く同じような答えにはならないかも知れませんが、少し予備知識があるとこちらに余裕が出て来ます。

 

皆さん、ちゃんと教えてくれて、しかも本番の会見でもほぼそれに沿ったお答えをしてくれてとても助かりました。

 

 

 

 

男子フリー後の会見の図。前方左側に立つスタッフに隠れて

足だけが写っているのが私。

 

 

 

この他、オリンピック・チャンネルのニック・マッカーベルさんのお手伝いで坂本選手、松生選手のインタビューにも立ち会うことができました。直前に取材に応じていたパトリック・チャン選手とのツーショット、素敵ですね。

 

しきりに坂本さんたちが「パトリック、めちゃカッコいい」とはしゃいでいたのも可愛かったです。

 

 

 

 

 

 

そして大会終了後、嬉しいサプライズが。三浦選手から表彰式で渡された花束を頂いたのです!

 

オバちゃん、嬉しかったわあ。老体に鞭打った甲斐がありました。

 

 

 

 

 

 

ということでようやくGPスケートカナダのレポートを書き終えることが出来ました。

 

次は先週、11月5日に見た羽生結弦さんのアイスショー「RE-PRAY」について、感想を書きたいと思います。

 

(気長に待っていていただければ幸いです)