2023-24シーズン三浦&木原ペアFS曲:"Une chance qu'on s'a" | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

りくりゅうファンの皆様

 

お約束通り、三浦&木原ペアの2023-24年シーズンFS曲の訳と解説記事です。

 

2024年のワールドがカナダのモントリオール市で開催されるとあって、今シーズン、ケベック州出身のアーティスト、あるいはせめてフランス語の曲を採用した選手は少なくありません。

 

りくりゅうの場合、コーチが自身もフランス系カナダ人のブルーノ・マルコットですから当然のごとく、ド直球でケベックの誇る歌姫セリーヌ・ディオンの曲がフリープログラムに選ばれました。

 

「モントリオール・ワールドでこの歌詞(が流れたら)…」

 

とブルーノさんがこの動画(と言っても曲だけなんですが)を5月頃に送ってくれた際には、もうすでにウルウルとワールドの会場でこの曲が鳴り響いている光景を想像していることが感じられました。

 

 

 

 

 
 
そこで早速、曲や歌詞を調べてみると、セリーヌ・ディオンとジャンピエール・フェルランのデュエットであることが判明。
 
セリーヌについては世界的なスーパースターですからあまり詳しく述べる必要もないかと思いますが、フェルランさんは日本であまり馴染みがないかも知れません。
 
 
 
 
端的に言えば、彼はモントリオール出身で、カナダだけではなくフランスの歌謡界でも数多くのヒット曲を出している、まあ「大御所」的存在です。
 
 
(とか言いながら私もフランスに住んでいた頃に大好きだったCompagnons de la Chanson という男性合唱グループの大ヒット曲 "Je reviens chez nous" がフェルランによるものだったのを調べるまで知らなかったんですが。)
 
 
日本で言えば「五木ひろし」とか「森進一」みたいな感じかな?
 
…と書いていて改めて年齢を調べてみたら五木さん・森さんは75歳フェルランさんは89歳!
 
じゃあ、「北島三郎」?(86歳)
 
でもちょっと「与作」のイメージでもないしなあ、と比較は諦めました。
 
とにかくケベックのアーティストの中では著名である、ということで。
 
それがセリーヌとデュエットしたのですから、ファンにとってはもうたまりません。
 
この記事の最後にライブで二人が歌っている動画を載せておきますが、観客が涙ぐみながら抱き合って聴いているのを見ると、どれだけ感動的なシーンなのかが分かります。
 
 
 
 
では歌詞を見ていきますね。
 
 
なおいつも言っていることですが、これはあくまで私の解釈であって、公式の訳ではありません。皆様の曲の鑑賞の手助けになれば、という思いを込めていますので、その点をご了承ください。
 
 
*****
 
まずタイトルにもなっていて、曲中何度も登場する
 
"Une chance qu'on s'a"
 
ですが、最初これを見た時は「え?こんなフランス語ってあったっけ」というのが正直な感想でした。
 
英語で言えば「(It's) Lucky that we have each other」みたいな感じで「ラッキーだね、二人ともお互いがいて」という意味なのでしょうが、あんまり私としては聞いたことがない言い回しでした。まあ、それさえ乗り越えればあまり難しい内容ではありません。
 
 
出だしはセリーヌが歌う、サビとなる部分です。
 
Une chance que j't'ai
Je t'ai, tu m'as
Une chance qu'on s'a
ラッキーだわ、あなたがいて
私にはあなた、あなたには私がいる
ラッキーだわ、二人ともお互いがいて
 
そしてフェルランさんが続けます:
 
Quand tu m'appelles "mon p'tit loup"
Avec ta belle voix
Tu panses mes bleus
Tu tues tous mes papillons noirs
君が「私の狼さん」って呼んでくれる時
その綺麗な声で
僕の古傷は癒えて
暗い気持ちも全て消え去る
 
この部分はちょっと比喩的な表現が多くて、3行目・4行目は直訳すると「君は僕の青あざを癒してくれて、僕の黒い蝶々を全部殺してくれる」となりますが、要は女性の方が男性の「傷を優しく癒して、ザワつく気持ちを取り去ってくれる」という意味ですよね。
 
 
Tu fais des boules de lumière
Avec tes p'tits doigts
Tu fous la trouille aux hiboux
光の玉を作ってくれるんだよね
その小さな指で
そして孤独も追っ払ってくれる
 
ここも最後のセンテンスを直訳すると「君にかかったらフクロウたちもビビって逃げていく」みたいになり、女性が光の玉を作り出して、辺りを照らして、暗闇を好むフクロウを追っ払ってくれる、と。
 
しかし調べてみるとフクロウは孤独の象徴らしいので、このように意訳してみました。
 
そして再度、セリーヌが歌います。
 
Une chance que j't'ai
Je t'ai, tu m'as
Une chance qu'on s'a
 
フェルランさんの愛の告白が続きます。

J'suis pas très grand
Pas très fort
Mais que personne vienne
Te faire d'la peine
Sans d'abord me passer sur le corps
僕はさほど大きくないし
そんなに強いわけでもない
でも誰かが
君に悲しい思いはさせようとしたら
まずは僕を倒してからじゃないと
 
ここは文字通りに訳しても良い感じでした。
 
フェルランさん、実際あんまり背が高くないので(特にセリーヌの前に立つと)すごくリアルなんですが、それでも愛する女性のためであれば身を挺してでも守る、と仰ってます。
 
Fie-toi sur moi
Mon bon chat
T'auras jamais peur
Tant que j'vivrai
Même, même si je meurs
頼ってくれていいよ
僕の可愛い猫さん
絶対に怖い思いはさせない
僕が生きている限り
たとえ、たとえ僕が死んでも
 
ここもほぼ文字通りですね。ただ「Mon bon chat」「僕の良い(子の)猫さん」になるところ、愛情をこめて言っているので、このように訳しました。
 
狼とか猫とか、蝶々だとかフクロウだとか、たくさん動物が出て来るのも面白い。
 
そしてここからは二人の掛け合いになります。
 
Une chance que j't'ai
Je ferais tous les planétariums
Je t'ai, tu m'as
Chercher dans toutes les galaxies
La crème des femmes
Que je finirai dans ton lit

ラッキーだわ、あなたがいて
あらゆるプラネタリウムを訪ねて
私にはあなた、あなたには私がいて
銀河系を捜し歩いたとしても
結局、最高の女性は
君なんだと分かってる
 
最後の一行は直訳すると「君のベッドに行き当たることになってる」という意味なんですが、どこをどう探したとしても最終的には君のところに行きつくんだ、ということが言いたいのだと思います。
 
さあ、ここから盛り上がるところです。
 
セリーヌが
 
Le paradis c'est ici
Y'a pas d'autre vie

天国、それは今、ここにあるもの
他にどんな人生(生き方)があると言うの
 
と言って、そこから二人の声が重なり合います:

J'te donne la mienne
Parce que j't'aime à l'infini
私(僕)の命をあげる
どこまでもあなた(君)を愛しているから
 
ああ、最後のところでセリーヌの声が空高く舞い上がってゾワッと来ますね。
 
ここの訳が難しいのはフランス語で「Y'a pas d'autre vie」「vie」「命」「人生」「生活」などの色んな意味を持っていて、英語ならばすんなりと「there is no other life」と訳せるところ、日本語ではまず「人生・生き方」と訳してしまうと次との繋がりがあまり上手く行かなくなってしまうところです。
 
二人で一斉に「J'te donne la mienneと言ってますが、英語では「I'll give you mineということで捧げているのが「vie/life」つまり「命」であることがすぐに分かります。そこが日本語だとイマイチ、伝わりにくいんですよね。
 
あ、すみません、くどいフランス語講座になってしまって、せっかくのクライマックスの勢いが台無しに。
 
 
そして最後はまた掛け合い・合唱で締めくくられています。
 
 
Une chance que j't'ai
Je ferais tous les planétariums
Je t'ai, tu m'as
Chercher dans toutes les galaxies
Une chance qu'on s'a
Une chance qu'on s'aime
ラッキーだわ、あなたがいて
あらゆるプラネタリウムを訪ねて
私にはあなた、あなたには私がいる
銀河系を捜し歩いたとしても
ラッキーだわ、二人ともお互いがいて
ラッキーだね、二人とも愛し合っていて
 
 
というわけで、動画でおさらいをどうぞ。
 
 
氷上で三浦&木原ペアがこの世界観をどのように再現してくれるのか、ワクワクドキドキしながら試合の日を待ちましょう。
 
 
q-taroさんのイラストを引用したりして)