2021年世界選手権(ストックホルム大会):そろそろ何とかして下さい | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

これまでカナダ連盟の主催する大会の手伝いをしたり、中でも昨年の世界選手権の運営に少し携わっていた経験から、あまり他所で開催されるイベントのやり方にどうこう言うのは控えているのですが、ここ一日、二日の状況を見ていてひとこと言いたい。

 

「アカンやろ」

 

ルールを守らないチームがいて、しかも堂々とそれをSNSで拡散している様子を見ているのは非常に不愉快。それを取り締まらないのは主催者、そしてISUも責任を問われなければならない。

 

数日前にメーガン・デュハメルも言っていたのですが、本当に基本的なマナーの問題なのです。感染対策に関するルールが定められているにも関わらず、それを守らないのは自分たちだけに影響が及ぶのではなく、他者への弊害が大きいのです。

 

 

 

 

メーガンはThe Skating Lesson の動画の中で夫のブルーノ・マルコットがペア選手(ムアータワーズ&マリナロ、三浦&木原組)に帯同してスエーデンに向かったと話しています。

 

その流れで彼女は、自分自身が3度ものPCR検査を受けたことや、実家にこれから三週間、身を寄せることについて言及していますが、どうしてその必要があるのか、と思われた方がいらしたかも知れません。

 

 

 

 

 

メーガンの実家はLively という小さな町にあって、現在彼女の住んでいるオークビルからは同じオンタリオ州内ではあるものの400キロ余り、車で四時間以上はかかる距離になります。トロント市内に比べるとオークビルは感染拡大が抑えられていますが、それでも実家の親を危険にさらしてはいけない、という配慮からわざわざ何度もPCR検査を受けて、それがちゃんと陰性であることを確認してから移動しようとしているわけです。

 

3週間、という期間は世界選手権の開催される1週間、それに加えてスエーデンから帰って隔離生活を送らなければならないブルーノに自宅を提供するための2週間、を想定しています。(ちなみにカナダ政府は海外渡航から帰国した人に、空港でのPCR検査の結果が出るまで最大三日間の指定ホテルでの自費隔離を強制しています。)

 

つまり、そこまで徹底的に感染防止策を守っているわけですが、そんな彼女にしてみれば「自国からの移動中はもちろんのこと、会場についてからも常にマスク着用、検査の結果が出るまでの短期間を部屋で大人しくしていることがどうして出来ないのッ!」という思いでしょう。

 

メーガンは昨年の秋にCBCの「Battle of the Blades」というフィギュアスケーターがホッケー選手とペア演技をする趣旨の番組に出て、実際の撮影用の演技以外、練習中も含めてずっとマスクをしていた、と言っています。「だからそれが可能であることは証明済みなのよ」と強く主張していました。

 

カナダで一年以上、全く試合も開催してもらえず、日々の練習環境も確保されるかどうか怯えながら、ようやくワールドの会場にたどり着いた選手たちにしてみれば、全くルールを守っていない人に遭遇するのは恐怖ですし、そのような危険な振る舞いに対して何の制裁も加えられないのであれば非常に憤りを感じると思います。

 

身体的な危険性、そして精神的なストレス、この両面から「ルールを重んじる側」は「守らない側」から悪影響を受ける、ということになります。
 
以前、羽生選手が医療従事者の皆さんに向けてコメントを発信した時も似たようなことを感じたのすが、本当に自分一人が気を付けて、出来ることをやっていても、限界はあるのです。
 
どうせ他人のことは自分にコントロールできないのだから、そこは放っておいてとにかく粛々とルールを守って、感染防止に努めていれば良いのだ、という理屈もあります。
 
でも今回の大会の様に、皆で同じルールを守って大会全体を成功させよう、という状況下では一人でも違反をすると全てに影響が及ぶ。何故か自分たちだけにはその規制が当てはまらない、という勝手な考えは他の選手たちの健康にも害を及ぼしかねないし、それ以外にも不公平感生み出したり、本当に余分な精神的なストレスを与えます。
 
なので言いますが
 
 
「えーかげんにせいよ」
 
 
ルールを守らない人、それを注意しないチームリーダー、連盟、主催者、ISU。
 
 
ちゃんと安全な大会を無事に開催しようと思っているのなら、早急にやるべきことをやってください。