2019年世界ジュニア選手権(ザグレブ大会):男子SPが終わっての感想 | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

 

今朝、世界ジュニア選手権の男子SPをライストで観ました。最後の3つのグループをなるべく追いたかったのですが、時間の都合で全ての選手は見られませんでした。でもスティーブン・ゴゴレフ選手の演技は逃してはならない、と思って構えていたのでしっかりと観戦。

 

結果だけを見ると、思いがけず「10位」ですが、点数は77点ジャスト。トップの(私がとっても応援している)プルキネン君の82.41点とはほんの5点ちょっとしか離れていない。

 

ジャッキーさんも言ってますが、皆が皆、「3A、3Lz3T/3L、3F」というジャンプ構成だったので、トップ12人の選手までがまさにダンゴ状態。それが金曜日のフリーでは派手にぶっ壊れるだろう、と。

 

 

 

 

 

 

私がSPのライスト後、

 

「ねえねえ、プルキネン君、頑張ったよ、首位だったよ」

 

と言うと、バンクーバーのJGPF/GPFでも同行したFちゃんが

 

「でもファイナルでも、彼、SPの後は首位だったから」

 

とサラッと言います。

 

ウーム、確かに。あの時、プルキネン君はすごく良い演技をしてぶっちぎりの首位だったんだけど、フリーでまさかのジャンプミスを連発して、最下位に沈んだのでした。その後、彼に出会って「絶対にこれから良い結果が出ると、信じてるから!応援してるね!」と激励の言葉を伝えたのでしたが、見知らぬアジア人のオバチャンにただただ力説されても、と彼は思ったかも知れません。まあ何はともあれ、今シーズン一番の舞台で幸先良いスタートを切ったのですから、良しとしましょう。

 

でもとにかく、ここ数年ジュニアの競技、特に男子を見ていて思うのは、SPとFSの両方を揃えて来る選手が本当に少ない、ということ。いや、正確に言うと、SPで素晴らしい演技をした選手の多くが、フリーで大崩れすることが多々ある、かな。なので本当に順位は終わってからでなくては分からない。12位の島田高志郎選手もまだまだフリーの出来次第では結果は分かりません。ましてやJGPFで優勝した時のスティーブン・ゴゴレフ選手のFSの構成をしてみれば、順位は十分、覆せる状況だと言えます。

 

ゴゴレフ選手のSP演技はさほど大きなミスがあった訳ではないのだけれど、緊張していたからか、ちょっと硬かった、という印象です。ジャンプは降りているけれど、着氷が若干、乱れたり、流れが少なかったり。ステップやスピンもやや思いきりが足らない、という感じでしょうか。キスクラでは点数を見ながらバーケル・コーチと難しい顔をしていたのできっと速攻でスコアを分析して、反省点を見出し、フリーに備えていることでしょう。

 

一方、同じくクリケットクラブ所属のジョゼフ・ファン選手の演技は、冒頭のトリプル・アクセルでほんのちょっと片手をついてしまったものの、非常に流れとスピードがあって、スピンの姿勢も美しい。この選手は昔からスケーティング・スキルが美しくて、二年ほど前にサマー・スケートなで観た時から注目していました。今日はジスラン・ブリアンコーチが帯同していましたね。(ブライアンさんとトレイシーさんはシニアのワールド準備で忙しいのでしょう)

 

それにしても面白いことに、今年のカナダのジュニアワールド男子代表は二人ともクリケットの選手、補欠はコンラッド・オーゼル君だったのでカナダのジュニア男子は有力なメンバーが集結しているクラブである、ということですね。クリケットの伝説的な大先輩、ユヅハビたちの滑りを日々、目の当たりに出来るという環境に恵まれ、その流れを受け継いでいるのだとすればカナダ男子の将来は明るい!!

 

すでにこのブログで言及したかと思いますが、中でもゴゴレフ君が目標とする選手はYUZURU HANYU。前々からステップで「見栄」を切るようなしぐさや、手をパッと伸ばしたり、開いたりする様子がどことなく憧れの君を彷彿とさせるように思えます。オーサーさんも、「スティーブンはユヅがやることは何でも真似をしたがる。ユヅがブレードを変えれば自分も同じものにしたがる」と言うほどにユヅオタク、なのですから、滑りの上でも影響を受けるのは当然のことでしょう。

 

彼がSPで使っている WOODKID作の "RUN BOY RUN" という曲が面白いので調べてみたところ、とても良いミュージック・ビデオが上がってきました。グラミー賞にもノミネートされたそうですが、ショート・フィルムと言った方がよさそうな白黒の凝った作りになっています。

 

 

 

 

ストーリーとしては真っ白な建物から突然、走り出した学校の制服姿の少年がカバンを背負って一目散に走り出す。その後をカラスや不思議な怪物たちが追いかけ、攻撃するのかと思いきや、少年を励まし、色々な剣や兜や盾を与えて何かに立ち向かうのを助けてやる。

 

「走れ、少年よ、走れ!この世界はお前に相応しくない

走れ、少年よ、走れ!あいつらはお前を捕まえようとしている」

 

といった歌詞の通り、ひたすら走り続け、障害を越えていく少年。最後に高い建物のそびえ立つ大きな都市のような場所の前にたどり着き、剣を振りかざして雄たけびを上げる。。。

 

この曲の歌詞の内容や込められた意味(少年から大人への成長)については作者がインタビューで詳しく語っていますので、また時間があれば記事にしますが、フィルムに登場する少年がとてもゴゴレフ君に似ている(いや、逆か?)こともあって、ようやくあのSPのプログラムの言わんとしているところが分かったような気がしました。フリーのシャーロック・ホームズでゴゴ・パワーを炸裂させてくれるのを楽しみにしています。

 

この他、JGPFにも来ていたロシアのグメニク選手、本当に美しいバレエのような滑りをするスケーターです。ジャンプも綺麗だけど、身体(特に背中)が柔らかくてスピンが秀逸。そして最後の方で観られたのはイタリアのグラッスル選手、彼も柔軟ですが、スピンを見ていて「これは痛そう!」と思ったことでした。あの最後のんは確かに体(膝?)の柔らかさを生かした姿勢なんだろうけど、あまり綺麗だとは思わないなあ。。。でも高得点でしたね。

 

ブライアン・ジュベールさんの教え子であるフランスのアダム・シアオ・ヒム・ファ選手、彼のスピードはすごいですね。JGPFでコメントをもらった時に言ってたのが「自分はエネルギーが有り余っているので、それをコントロールするのが一番の課題」ということでした。いや若者は元気があった方がよろしい。そして12月に見た時よりもずいぶんとプログラムが洗練されていたようが気もします。

 

あ、あとヒワタシ選手の滑りを観られなかったのは残念!フリーは絶対に観るぞ。

 

以上、非常に雑な感想でした。