樹木希林さんを偲ぶ | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

 

今朝、目が覚めると携帯にヤフーニュースのアラートが入っていて、樹木希林さんが亡くなったことを知りました。

 

最近、体調がすぐれないらしい、ということは何となく知っていたのですが、まさかこんな展開になろうとは思ってもいなかったので、非常にショックを受けました。

 

奇しくもトロント国際映画祭のレポートを終えたばかり。それを書くために過去の映画祭の記事を読み返し、2015年に河瀨直美監督の「あん」を担当した時のことを思い出していました。

 

河瀬監督と一緒にトロントに樹木希林さんがいらっしゃる、と聞いた時は少なからず緊張しました。大女優であり、隙のないプロフェッショナルでいらっしゃるということで、粗相ががあってはいけないと気を引き締めた覚えがあります。

 

お会いすると、驚くほどの身軽さで、とにかく歩くのが速い。そして何事においても支度が速い。衣装も全て自前、マネージャーは付けないし「お付き」も嫌う、と噂に聞く以上にストイックな方でした。(他の女優さん・俳優さんの取り巻きを目撃していて、よけいにギャップを感じたのかも)

 

普段は静かな声で話していらっしゃるのに、いったん舞台挨拶や質疑応答のために人前に出ると、発声がすばらしく、大女優のオーラが全開になる。ただただ、感動しました。

 

その後、メディアで樹木希林さんの人生観などが伝えられるたびに、全て、彼女の実生活にしっかりと裏付けられているのだと納得するようになりました。だからこそ、あのような深みのある演技が出来るのだとも思いました。

 

日本映画の話題作には数えきれないほど出演していらしたことからも、どれだけ多くの監督さんたちに頼りにされていたのかが良く分かります。是枝監督の「万引き家族」が今年のカンヌ映画祭のパルムドールを受賞した時に、会場にいらして、本当に良かったです。

 

映画界は唯一無二の存在、まことに惜しい女優さんを失いました。

 

ご冥福をお祈りしています。