電車の中で羽生選手の2015年GPFでのショート・プログラムを見てから9時間ほどが経ちました。
最初の興奮が冷めて来るにつれ、別の感情に包まれつつある自分に気づきます。
えらいこっちゃ。
これはえらいこっちゃ。
と、うろたえるのだが、さりとて何をしたら良いのかは分からない。
羽生選手の現在、成し遂げている偉業は
陸上ではウサイン・ボルト
体操では内村航平
ゴルフならかつてのタイガー・ウッズ
もひとつ遡ればアイスホッケーにおける全盛期のウェイン・グレツキー
それらの偉大なアスリートたちが達成したものに十分、匹敵する。
各々のスポーツで彼らが見せた(あるいは現在も見せている)、それまでの常識を打ち破るような記録、他の選手に戦意を喪失させかねないほどの圧倒的な強さ、観る者をただただ驚嘆させるパフォーマンス。
ところがちょっと不思議なことに、
羽生選手がNHK杯でSP、FS、総合、と全ての世界記録を、しかもぶっ飛ぶようなマージンで塗り替えたことに私たちは驚いたものの
こんなに早く、次の大会でまた彼が新記録を立てたことでその驚きが、ある意味、薄れてませんか?
この異常な事態が、羽生選手の場合、「新しい常識」として捉えられていませんか?
え、でも自分でも言ってたじゃん。松岡修造さんとのインタビューで、異次元を現実にするんだ、って。だからそうしただけだよね?
いや、いやいやいやいや、ちがうって。
マヒしちゃだめだ。
羽生選手は冷静でいても良いけど、私たちはもっと驚かなくちゃいけない。
今、起こっていることにもっともっと、まごつかなくてはいけない。
そしてこの演技をリアルタイムで観ることができた幸せを、しみじみと噛みしめなくちゃいけない。
Savor this moment
この時をじっくり味わおう
あの魔法の時は過ぎてしまったけれど、もう少しの間、浸りましょう。
ありがとう。
ありがとう。
明日になったらまた落ち着くから、今しばらく、オタオタさせてください。
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ここからオマケです。
ショートの演技が終わり、羽生選手が息を整えて、本当に満足そうに、まずはジャッジに、そして反対側の観客席に、次にキスクラの向かいの観客席に、
とお辞儀をする。
そして最後にクルリと回ってもう一度、両腕を広げる。
そこにいるのはブライアン。
彼も一緒に腕を広げる。
コーチに心からの感謝を示すチャンピオン。ブライアンはどれだけ嬉しかったでしょう。
こっからがまた可愛いのです。
お辞儀が終わって、また両手を広げ、ボード際まで走り寄る羽生選手。そのボードを叩きながら喜びと賛辞を表すブライアン。
わーい
迎えるブライアンの表情はまさに "What can I say?"(「何と言って良いのか」)と言っている。
ズザザザアーッと氷を削りながらリンク際まで戻って来た羽生選手。
めでたく、ハグ。
ああ、また感動してもた。