さて、前の記事について幾つかコメントやメッセージを頂きましたので、追加です。
ホームステイをする学生やホストファミリーとなる家族のカウンセリングをして感じたこと、それに自分の経験も込めて幾つかのポイントを挙げたいと思います。
ご質問をいただいた「食事」に関して:
北米にホームステイに行く学生に言うのは、
「朝ご飯」って待ってても出て来ないよ
ということです。
共働きの家庭が多いという事もありますが、とても面倒見の良いお母さんがいる家庭でもたいてい、朝ご飯はセルフサービスです。
シリアルはこの棚、ミルクは冷蔵庫にあるものを好きなだけ使ってちょうだい、フルーツはカウンターに置いてあるでしょ。
もちろん、トーストとバター&ジャム、ベーグルにクリームチーズ、ヨーグルトを食べる場合もありますが、北米の朝ご飯はシリアルが主流です。
日本でもこの頃は種類が増えているようですが、こちらのスーパーに行くと驚くほど色んな素材、形態、味のものがあります。
飲み物はオレンジジュース、そしてコーヒーか紅茶。
えー、でもフレンチトーストやパンケーキやベーコン、ソーセージ、目玉焼きなんかが盛りだくさんで出て来るのも見たことがあるー
とおっしゃるかも知れません。
でもあれはホテルの朝ご飯だったり、週末の時間に余裕があるときに出て来る特別なメニュー。普段はマジで、シリアル、なんです。
ちなみにカナダのグーグル画像検索で「breakfast - family」とキーワードを入れると、出てくるのはほぼ全て、こういったものです ↓
で、もう一つご注目いただきたいのはミルクです。
日本では1リットル(あるいはそれ以下)のパックで売られていますが、こちらでは子どものいる家庭はたいてい、4リットルのバッグでミルクを買います。
これはやはりシリアルを食べるのにたくさん使うので、1リットルのパックで買うよりも割安だからですね。
で、中はさらに3つのバッグ(各1.33L入り)に分かれていて、それを専用のMilk Jug に入れて使います。
びっくりしないように。(アメリカでは1ガロン=3.8Lのプラスチックの瓶に入ってることが多い)
余談ですが、私が思うに牛乳は断然、日本の物よりもこちらの方が美味しいです。日本では低温殺菌のミルクを買うようにしていますが、なんとなく大量に飲む気がしないんです。
この略式の北米流朝ご飯が良い例ですが、ホームステイに対する概念が日本と他の国では違う。
まあ、私が今まで主に関わってきたのが日本とカナダ、日本とアメリカ間の交流ですが、とにかく日本人がホストファミリーになる場合、ものすごく頑張って「もてなす」、受け入れた子を「お客様」として扱う、というのが特徴に思えます。
それに比べて、カナダなどでは「家族の一員としてカナダでの生活を体験してもらう」という考え方が強いですね。
もちろん、主な観光名所(ナイアガラ、トロントのCNタワー、メジャーリーグ観戦)のような所へは務めて連れて行くことはします。
でも平日の生活ではお母さんがやたらご馳走を作るわけでもなく、世話を焼くでもなく、ごく普通のペースで物事を進め、その中に外国から来た子を組み込んでいく、という感じです。
だから日本で海外から来た子供を受け入れる場合も、私は変にその子のためにいつもの生活を変える必要はない、とアドバイスします。
たとえば
「日本の物は食べられないだろうから洋風のメニューした方が良いだろうか」
と思うことはなく、カレーでもトンカツでも麻婆豆腐でも肉じゃがでも出したら良いです。
だいたい日本の家庭料理はすでにかなり洋風なものが多いのですから、十分、許容範囲内です。
私が息子たちの友達に我が家の家庭料理を出しても皆、ちゃんと喜んで食べてくれます。餃子、豆腐のサラダ、塩じゃけ、茶わん蒸し、味噌汁、酢の物などなど、一応挑戦して、どうしてもダメだったら残しますけど。(納豆やら山芋などのネバネバ系はちょっと苦手みたい)
反対に、カナダから日本にホームステイしに行った女の子が、その家庭の娘と自分とでは持たしてもらったお弁当が違った、娘の方は普通の日本のご飯とおかずの入ったものだったけど、自分にはサンドイッチだった、と残念がっていました。せっかく日本の生徒の日常を体験しに行ったのだから、気を遣わずに同じものを入れてくれたら良かったのに、ということでした。
また言葉の面でも気を使う必要はありません。
当然、英語圏から来た子に対して、英語でコミュニケーションが取れたら色々と便利でしょうが、英語が苦手だからと言って卑下したり、申し訳ないと思うことはありません。
日本人なんだから、日本語で生活していて当たり前です。身振りや手ぶりでなんとか自分の意志をつたえるよう、外から来た方もちゃんと工夫するのが当然だと私は思います。
それよりも簡単な日本語を教えてあげる方が良いでしょう。この頃だったら自動翻訳機の機能がついた携帯もありますし、パソコンで一緒に検索してなんとか会話するようにしたら間も持ちます。
カナダに日本人が行った場合、あちらが日本語を必死で喋ってくれようとすることは皆無なのですから、堂々と日本語で迎えてあげましょう。かたことの英語を喋ってあげるだけでも感謝されるべきです。
一方的にどちらかが頑張るのはおかしい。国際交流でも異文化間コミュニケーションでも基本は「お互いが努力してコミュニケーションを取ろうとすること」だと思います。
でも日本のお母さんはたいがい、「構いたがり」だから、それをするなと言う方が難しいのかも知れませんが、あまり頑張りすぎるとしんどいですよね。
必死でお客さんをもてなすのが日本流のホームステイだとしたら、その一方で、「日本人の描く北米のホームステイ」というものもあるような気がします。またこれに関しては別の記事で書くとして、いったん、ここでアップしますね。