JOURNEYに浸りっきり②:"THE VOICE" スティーブ・ペリーの悲劇(動画追加) | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

6月のジャーニーのチケットを取ってテンションの上がっていた私は、それからYOU TUBEをぶっ続けで3時間ほど検索しまくりました。

見つかるわ、見つかるわ、新しいボーカルのピネダ君に関する情報、動画が続々と。

アメリカの全国ネットのニュース番組に出たり、オープラ・ウィンフリー、エレン・デジェネレスなどの主要トークショーにも出演し、全くどうやったら今まで知らずにいられたんだろう、と呆れるほど、彼がジャーニーに加入した当初は大きな話題になっていたのですね。

そこでつい調子に乗って時代をさかのぼり、私が知っている1980年代のジャーニーの映像も探して見ました。そしてこの前の記事に載せた、初めてジャーニーを知った時の貴重な動画も見つけたわけです。

もーそっから止まりません。

さっきまでピネダ君の歌唱力に感心していた私ですが、同じ曲を歌っている30年前のペリーの声を聞くと、

「やっぱりちゃう」

と思い

「これはどう考えてもペリーの勝ち」

となってしまいました。

別に懐古趣味に走っているわけではなく、単純に声の広がりというか、伸び方が数段、上だという結論になってしまうのです。



(皆さんも比べてみてください)

ただもちろん、現在65歳になっているスティーブ・ペリーを引っ張り出して来ても、満足の行くパフォーマンスが出来る訳がありません。何か月も続けて、何十か所も回るツアーに出るとなるとなおさらです。

それならばピネダ君(実は彼も若く見えて、1967年生まれの46歳)の方が体力はあるだろうし、声の張りも保つことができる。だから断然、彼を採用した方が良いに決まっています。

それはそれで当然のことなのですが、私はペリーがどんな気持ちでジャーニーの近況を眺めているのかな、と考えてしまうのです。

夏になればお決まりのようにトロントを訪れる多くの往年のビッグ・バンド。



主人は昨年、ロジャー・ダルトリーが「TOMMY」を全曲、再現するというコンサートに行ったり、その半年後にはまたTHE WHOの一員として「QUADROPHENIA」を演奏しに来たのを観に行きました。メンバーがもう皆、70歳を超えていて「原形をとどめていなくても」、ファンたちはただただ自らの若き日々を懐かしむためにコンサート会場に出向くので気にならないようです。

バンドの中でも一番、「痛みが激しい」のはボーカリストだと思います。



最初から声量が求められるような歌い方をしていないミック・ジャガーなどは別として、高音はほとんど出なくなっている場合はバック・ボーカルで補ったりして、かなりの苦肉の策を施さなければなりません。それでも全く臆せず、昔と同じレパートリーを歌うボーカリストはたくさんいます。

しかしスティーブ・ペリーは、ジャーニーを離れてから15年以上もの隠遁生活を自らに課しています。

ギタリストやベーシスト、キーボードなら年齢を重ねてもそこそこのプレイができる。ジャーニーの最近の演奏を聴いてもインストルメンタルの面では昔とほとんど変わらない気がします。(ちなみにドラムは若いメンバーに代わっています)

だからこそ、ペリーはそこに戻るわけには行かないのでしょう。



最盛期には、かのジョン・ボンジョヴィでさえも、ペリーのことを(ロック界の「THE VOICE」と呼んで尊敬していました。その記憶を損なわないためにも、ジャーニーの代表曲を自分で歌うわけにはいかないのです。

ああなんという悲劇。

まあそんなことを考えてちょっとしんみりしているところに、これはもうペリーの真骨頂とも言える曲のライブ動画に出くわしてしまいました。

これを聴くと、そこかしこで背筋がゾワッとするほどペリーの声が広がり、高く飛んでいくのです。

もう虜になって、ここ数日、ずっと繰り返して聴いています。

歌詞も良いので対訳を付けてみました。(できれば聴きながら歌詞を追ってみてください。なるべく英語の順番を損なわないように訳してあります)

では最後に誰にも真似のできない、

「THE VOICE」ことスティーブ・ペリーの歌う "Mother, Father"です(1981年ライブより)。
の付いた箇所は文末の注で説明しています)





She sits alone, an empty stare
A mother's face she wears
Where did she go wrong, the fight is gone
Lord help this broken home 
  
独りで座る彼女、その目は虚ろ
顔は確かに母親らしいものだけど
どこでどう間違ったのか、もう闘う気力すらない
神よ、救いたまえ、この壊れてしまった家庭を

Hey, mother, father, sister
Hey, come back, tryin', believin'
Hey, mother, father, dreamer   

ねえ、お母さん、お父さん、お姉さん
ねえ、戻って来て、お願い、信じて
ねえ、お母さん、お父さん、夢を捨てないで

Don't you know that I'm alive for you
I'm your seventh son
And when lightning strikes the family
Have faith, believe  

知らないの?僕が生きてるのは貴方たちのため
「七番目」の息子じゃないか*
だから稲妻がこの家族を打ち砕いても
諦めないで、信じて

With dreams he tried, but lost his pride
He drinks his life away
One photograph, in broken glass
It should not end this way  

 夢を持って彼なりに頑張った、でもプライドは地に落ち
酒で人生を流し込んでる
写真が一枚、割れたガラスに収まったまま
これでまさか終わりだなんて

Through bitter tears and wounded years
Those ties of blood were strong
So much to say, those yesterdays
So now don't you turn away  
 
苦い涙や傷ついた年月もあったけど
ぼくらの血の絆は強いままだったよね
言う事はまだまだある、一緒に過ごした日々だって
だから今、ここで背を向けちゃだめなんだ

Hey, mother, father, sister
Hey, come back, tryin', believin'
Hey, mother, father, dreamer
   
ねえ、お母さん、お父さん、お姉さん
ねえ、もう一度、お願い、信じて
ねえ、お母さん、お父さん、夢を捨てないで

Don't you know that I'm alive for you
I'm your seventh son
And when lightning strikes the family
Have faith, believe  
 
知らないの?僕が生きてるのは貴方たちのため
「七番目」の息子だよ
だから稲妻がこの家族を打ち砕いても
諦めないで、信じて

Don't you know that I'm alive for you
I'm your seventh son
And when lightning strikes the family
Have faith, believe   

知らないの?僕が生きてるのは貴方たちのため
「七番目」の息子だよ
だから稲妻がこの家族を打ち砕いても
諦めないで、信じて

Have faith, believe
    諦めないで、信じて
Believe
    信じて


(訳 注:この曲の中に出て来る*Seventh Son とは幾つかの国に存在する「七番目の息子から、また七番目に生まれた息子には不思議な力が備わっている」という言い伝えだそうです。なのでこの場 合、壊れた家庭を救うために立ち上がる少年を指していると思われます。)