2014世界選手権 CBC放送④:男子FS 頂上対決その2 | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

何という成長でしょう。

一年前、ロンドンの世界選手権でSPが終わった後、結弦くんをボード際で迎えたブライアン・オーサーは(以下、2013年3月15日のブログ記事より引用):

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"Hang in there"
これは直訳すると「そこにしがみついておくんだよ」となりますが、要するに励ましの言葉で「ここで今しばらく辛抱して」、「諦めないで」っていう意味です。
"Stay strong, alright? It's not over yet. You gotta stay strong"
「気持ちを強く持って。いいね?まだ終わったわけじゃない。しっかりするんだよ」


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と、声をかけました。冒頭の四回転で転倒し、コンビネーション・ジャンプも失敗してしまった結弦君が呆然とした様子でリンクから上がってきた時の光景です。

まるで溺れかけた子供に必死で息をさせようとするような、切羽詰まった感じでした。

二人でキスクラでスロー再生を見終わると今度は:

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"That was tough"
「あれ(あの滑り)はきつかったね」

そして点数が出た後”

"Okay, we have some work to do"
「よし。これからひと仕事しないとね」

と、もう次のフリーを見据えて結弦くんにハッパをかけていました。


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さてそれから一年後、2014年の埼玉での世界選手権、SPが終わった時点で結弦くんは同じく冒頭の四回転で転倒してしまいました。

もちろん、その後はしっかり持ち直してノーミスで良い演技をしたので、比べるのはおかしいかも知れませんが、リンクから引き揚げてきた教え子を迎えたブライアンからかけられた言葉は:

"That was good, that was fine"

良かったよ、大丈夫。


それを受ける結弦くんも落ち着いた表情でした。

キスクラで交わした言葉もごく冷静で

"I was surprised"
「びっくりしちゃった。」


と結弦くんが言うと

"I was a little surprised, but you know what, there were some good things, the triple axel was amazing, the lutz and toe..."
「ぼくもちょっとびっくりした。でもさ、良いところもあったよね、3Aは最高だったし、ルッツとトウも…」

ブライアンの感想を「うんうん」とうなずきながら聞く結弦くん、まるで世間話をしているかのようです。

そしてスコアがアナウンスされる場面では

"90 ...something?"
「90...何点とかかな?」


とブライアンが言い、点数が出た後は二人で冷静に受け止める。

で、ここからが私のツボにはまったのですが、次の選手がアナウンスされる直前の、ほんの5秒間に交わされた言葉:

"So this time, we do an amazing free program?"
「じゃ今回は、素晴らしいフリー演技をやっちゃう?」


"I will"
「やるよ」

(まさにその言葉を言ってる瞬間をキャプチャ)



ここまでは以前、記事にした時も聞き取れていたのですが、その後がありました。

"Yeah, I know"
「うん、そうだよね」

とブライアンがちょこっと返していたのです!

そーよね、そーよね、この一年間で、なんだかんだ言って信頼関係は深まったし、お互いのペースも気性も、そして反応も把握したんだよね。

ブライアンはもう何も言わなくても、結弦くんがしっかりとフリーでの挽回を心に決めていることを分かっている。

そこで彼にかけた言葉は軽く、「じゃ、明後日のフリーは一発、ベスト・パフォーマンス、行っちゃう?」みたいなニュアンス。それに結弦くんは笑顔で「やるに決まってんじゃん!」と返し、ブライアンも「だよね」と頼もしく思う。

ああステキ。

(なお、このやり取りはCBCのHPに掲載されている男子SP実況中継のフル・バージョンだと4時間35分30秒辺りから聞けるんですが…ユーロスポーツでも7分以上の動画だとかろうじて最後の方にちょこっと入っているかも知れません)


さて、いよいよ結弦くんのフリーが始まりました。

カートさんたちの解説を全てひろったため、ちょっと長くなりますのでいったんここであげますね。