ソチ・オリンピックが終わってからまだ半月も経っていないのに、ふと気が付くとあれは本当に起こった事だったのだろうか、という不思議な感覚に襲われる自分に驚いています。
普通はオリンピックのような大々的なスポーツ・イベントがあると、その最中の興奮が大きければ大きいほど、余韻も長く続くはず。
なのに結弦くんの金メダル獲得の瞬間や、大会後のエキジビションまでもが本当にものすごく遠い昔のことのように思えます。
私自身が日本に来るなど忙しくしていたこともあるでしょうが、当の結弦くんが日本での優勝報告をほんの三日で切り上げてトロントに戻ったことが大きいかも知れません。
スポンサーや連盟、ファン、マスコミなどは彼の偉業を受けて、手ぐすね引いて「羽生ブーム」に浸ることを待っていたでしょう。そこをあっという間に、分刻みのスケジュールであいさつ回りを済ませ、まさに突風のように吹き抜けて日本を後にしていきました。
これはなんと賢い選択だったでしょうか。
私は結弦くんの優勝後の会見での言葉を聞いたり読んだりして、
もしかするとこのまま世界選手権まで日本に残るのではないか、
それまでも、その後もあらゆるイベントに駆り出され、トロントに次に戻るのはかなり時間を空けてからではないだろうか、
と少し「諦め」ていたのです。
(とんねるずの「食わず嫌い」に出さされて、苦悩する結弦くんの表情まですでにくっきりと思い浮かべていました)
他にも訳のわからない週刊誌やワイドショーで、ありとあらゆる、スケートとは全く関係のない話題として取り上げられてしまうことも懸念していました。
でも本人が遠くに行ってしまい、3月末の世界選手権のための練習に励んでいるとなると、自然とそのような雰囲気は静まって行きます。
あー、良かった。
結弦くん、君はやっぱり賢い。
一番、君のことを親身に思って、考えてくれる人たちの意見を聞いて、自分のやるべきことだけをやっているのだから。
前にもこのブログで書いたことがありますが、アスリートには自分でコントロールできることとそうでないことを見極める判断力が求められます。
どんなに才能があろうと、身体能力に恵まれていようと、本来自分の気を配るべきこと以外の要素にエネルギーを奪われてしまうと実力は発揮できない。
Worry only about the things you can control, and let the chips fall where they may.
自分のコントロールできることだけに心を配れ、そしてその他のことはなるように任せろ。
これを守られる者だけがコンスタントに結果を出せる。
それを言えば、世界選手権に出場する選手にオリンピックメダリストのパトリック・チャンやデニス・テン、そして高橋大輔などがいない、ということが話題になっていますね。その他の選手たちもオリンピック後で少し力が抜けているのではないか、と。
しかし、だからと言って結弦くんのやるべきことは変わりません。
私の予想では、結弦くんは世界選手権に誰が出ようと出まいと、誰が気力が充実してようといまいと、全く関係なく淡々と準備を整えているだろうと思います。
いつものように、全力投球。彼にはそれしかできない。
そして三月末に埼玉のリンクに現れる時、結弦くんは絶対的な自信とプライドを持って世界王者のタイトルを掴みに行くはずです。
それを目の当たりに出来る方々はなんと幸運なのでしょうか。
かつて負け知らずを誇ったパトリック・チャンがそうであったように、結弦くんはこれから遠慮も容赦もなく、出る大会全てを制覇する心づもりをしているに違いありません。
「ソチ五輪 金メダリスト 羽生結弦」
彼の言葉通り、これはスタートでしかないのですから。