この頃、なんでもかんでもネットで観たり、DVDをさっさと入手したりできるので、なかなか出たところの映画を観ることが少なくなりました。
しかし、主人の友人からのおすすめ映画「カルテット」がすぐそばの映画館で上映されていると知り、義姉も誘って行って来ました。
この映画のテーマはイギリスの美しい田舎にある音楽家たちのためのリタイアメント・ホーム「BEECHAM HOUSE」で展開される人間模様です。
かつては名声高かったオペラ歌手や一生を音楽に捧げてきたオーケストラの団員たちが余生を送っているところに、ひときわ栄華を極めたソプラノ歌手のジーン・ホーソンが新しく入ってきます。
ジーンの到来で色々と昔のジェラシーや恋愛感情が浮上する、というのがあらすじですが、私たちのお目当ては主演のマギー・スミス。
「なんかさー、お義母さんに似てるよねー」
と、私が言うと、主人もその姉も
「まあ、顔の造りは違うんだけど、表情やしぐさ、手の感じとか服装とかがね」
と、同意します。同じくらいの年齢のイギリス人だからかしら。
マギー・スミスと言えば、日本ではハリー・ポッター・シリーズの「マクゴナガル先生」役で有名だと思いますが、
さて、この映画を観ていて思い出したことがあります。
ひとつは20年ほど前にテレビで見た、イタリアにあるオペラ歌手のための老人ホーム「CASA VERDI」に関するドキュメンタリー。これは著名なオペラ作曲家のヴェルディが創設した施設だそうです。2008年にも別のドキュメンタリーが作られたそうですが、私が見たバージョンにはかなり胸の詰まるようなシーンが出てきて、とても感動したのを憶えています。
中でもマリア・スクーデリというソプラノが自分の昔のレコードを聴いて「素晴らしいわ」とつぶやくシーンがなんとも物悲しかったですね。
そしてもうひとつ、思い出したのは1936年のジュリアン・デュヴィヴィエ監督作 "La fin du jour"というフランス映画です。
こちらは「カルテット」の元ネタじゃないかな、と思うようなあらすじですが、コメディではなく、ドラマです。
俳優のための老人ホームが舞台となっていて、新しくやってくる往年のスターがそれまで平和だった老人たちの生活をひっくり返してしまう、というところが似ていますね。
日本では「旅路の果て」というタイトルがついているので、もしもどこかで見ることができたらぜひ比較してみてください。(YOUTUBEにはフランス語ですが、完全版がありました!)
で、肝心の「カルテット」の感想ですが…
うーん、ちょっと期待外れだったかな?なんかもうちょっとドラマがあっても良かったような気がします。
途中、横で主人が居眠りしちゃうんじゃないかな、と心配するくらいでした。
マギー・スミスの最近の映画だったら、同じく老後の過ごし方がテーマだった「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の方がよっぽど面白かったです。
こちらはかなりお勧めですよ!
でもたまには映画館に行くのも良いものです。(本編が始まる前の予告編の嵐はちょっとうんざりだけど…)