*後日、後半部分に加筆訂正しました。
こちらで時々、私よりも若いお母さん方と話をする機会があります。
最近は特に海外での子育てについて、国際結婚について、調査への協力をお願いしているので色々とお互いの経験談を交わします。
そんな中、やはり10年前の自分、20年前の自分には見えていなかった事が、今でこそわかる、ということに気づくことがしばしばあります。
これを「年の功」って言うんだろうなー、とか。
そらそうですよね。なんぼなんでも一応、日々、物を考えてるんですから、少しは昔より賢くならないと。
(ちなみによく人は「20年前の自分に戻りたい」って言いますが、それは身体面でのことがほとんどであって、頭の中も20年前に戻りたいって言ってるわけじゃないですよね)
私は15歳くらいのころ、自分がすごく悟ってて、色んな事がよく見えてるんだと思っていました。
父親の仕事の関係で外国に長く住み、小さい頃から大人と一緒に格式ばった会食の場に出席したり、駐在員社会の舞台裏を見たり、けっこう色んな経験はしていたと思います。
そのせいか、日本に帰ったらまだ中学生なのに、行く先々で高校生や大学生にさえ間違えられました。
態度も体も大きく(166センチという身長はその時からほとんど変わっていない)、声が低かったので(しょっちゅう、電話では男に間違えられる)、周囲の大人は私のことを「すごく落ち着いてるね」と言い、私が何か辛らつなことを述べると「へー、なかなか鋭いこと言うねー」などと褒めてくれました。
でもいくら当時の私の見た目や言ってる事が大人っぽかったとはいえ、中味はぜーんぜん、未熟で、何も分かっていませんでした。
だから年齢と発言のギャップに皆が面白がっただけ、ってことだと思います。(マジで感心していたとしたらその大人たち、ちょっと情けないですよね)
それからも20才の頃の自分を30才になって、30才の自分を40才になって、という具合に振り返るたびに「ひえー、あの頃は若かったなあ」と思う事が続いています。
ということは、今の私でさえもまだまだ学ぶことはあるってことか、と考えると、老いることを寂しく思う反面、希望もわいてきます。
もちろん、いつかは退化の一途をたどるんでしょうけど。
そこで今日は、1974年の JEAN GABIN の大ヒット、「JE SAIS」(「知ってる」という意味のタイトル)を思い出しました。
ウィキペディアから引用しますと:
ジャン・ギャバン(Jean Gabin、1904年5月17日 - 1976年11月15日)はフランスの映画俳優。歌手としても活躍した。往時のフランス映画を代表する名優で、一癖も二癖もあるならず者やお尋ね者を得意とし、ギャング映画に数多く出演。深みのある演技と渋い容貌で絶大な人気を得た。
で、ご紹介する歌はギャバンが72才の時にレコードを出し、まーそれはそれはすごいヒットになりました。ずっとセリフのように語るのですが、途中ちょこっとだけ歌ってるのもレアです。
歌詞の内容をまとめますと…
子供の頃、俺はずっとみなに大人だと思われたくて、何でも「知ってる、知ってる、知ってる」と言っていた。
18才になったら、「あ、これで分かった、全部、見えた」って言ってた。
25才になったら、「人生、金、友達、恋愛、もうなんでも知ってる」って思ってた。
人生半ばになってやっと、「誰かに愛されたら、空が青く見えるんだなあ」ということを知った。
今になって昔を振り返って思うのは、いくら学んでも、知らないことが増えるばっかり。
60才をすぎて、まだ疑問だらけ。
分かったのは、人間、決して知り尽くすってことはないこと。
人生、恋愛、友達、お金、物の音も色も分からない。
それしか知らないけど
でも、それだけは知ってる。
お~、渋~~。