子どもが頑張るとき | 覚え書きあれこれ

覚え書きあれこれ

記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...


子どもを育ててきて思うのは、本人から「何々がしたい」と言われてサポートする方が、親から「何々したら?」などとあれやこれやと勧めてやらせるより簡単だ、ってことです。

もちろん子供が「したいこと」の内容にもよりますが、ことスポーツに関しては少なくともそう言えると思います。

我が家の長男は、カナダの子どものの大半がそうするように、歩けるようになるとスケートを始めました。

そしてカナダの男の子の大半がそうするように、やがてホッケーを始めました。

他の子と比べてもイマイチ、上手いとは言えないプレイヤーでした。

ところが6才頃から、何故かゴールキーパーというポジションに興味を持ち始め、彼には向いている事が判明しました。

そしてそれから今日に至るまで、ずっと貫いています。

9才から14才までの5年間を日本で過ごしたため、彼のホッケー人生はかなり紆余曲折をたどりましたが、ゴールキーパーとしての技術はある意味、日本にいたことで高レベルに達したのではないかと私は思っています。

私たちが住んでいた地域には非常に珍しい、ゴールキーパーのコーチング理論を専門とするW先生という方がいらっしゃいました。

W先生について3年間、みっちりと練習したおかげで、ホッケーに関しては「僻地」とも言える日本(しかも関西)にいながらにして、息子はカナダの子と同等、あるいはそれ以上の技術を身につける事ができました。

毎週、金曜日の夜22時(!)から1時間半の練習。

場所は大阪の上野芝スケートリンク

私は日本では運転していなかったので、馴染みのタクシーの運転手Mさんをバイトで雇って母の車を借り、息子と真夜中の湾岸線を走って通いました。

リンクは天井が低く、換気も悪い。

信じられないことにその頃はまだタバコを吸う人たちが平気で、スケートやホッケーの練習のあと、子どもたちの周りにいました。

更衣室もなく、着替えはリンク沿いのベンチ。

終わると23時半。それから着替え、コンビニに寄ってまた車を走らせ、帰宅すると午前1時でした。

別にチームの監督から促されたからではなく、全くの自主練習。

面倒くさいとか疲れたとか、一度も言うのを聞きませんでした。

本当によく続けたと思います。

さて、それからすでに6年程が経過していますが、つい先日、息子の部屋を片付けていると小さな手帳が見つかりました。

開けてみると細かい字で何ページにも渡って息子の手書きのメモが綴ってあります。

○○○○年○月○日
対××チーム戦


で始まり、

その日の試合では何に気をつけてプレイするべきか

技術的な面

精神的な面

時には(ゴールネットとパスやシュートの)図解つきで

綿密なポイントがぎっしりと箇条書きで詰まっています。

日付から推察すると、カナダに戻ってから高校卒業までの3シーズン分。

そういえば試合のたびに息子が何かを手に握り締めながら車に乗り込んでいた憶えがあります。

それがこのメモ帳だったのだと思い当たりました。

内容を初めて知って、ちょっと感動しました。

普段はかなりいい加減な生活態度で、こちらがイライラさせられることの多い子ですが、ホッケーに対する熱意だけはこの14年間、揺るがなかったのだと思います。

これからもできるだけ応援していってやりたいと再認識した次第です。