『私、オルガ・ヘブナロヴァー』(2016/日本公開2023)
原題は『Já, Olga Hepnarová』で、チェコ、ポーランド、フランスの合作映画。1973年にプラハで起こった死傷事件の犯人オルガ・ヘプナロヴァーの伝記映画。ロマン・ツィーレク原作。
監督・脚本 トマーシュ・バインレプ、ペトル・カズダ
母親(クラーラ・メリスコバ)が学校の時間だと起こしに行ってもベッドから起き上がらない13歳のオルガ(ミハリナ・オルシャンスカ)。オルガは自死を考え、オーバードーズをしていた。トイレで吐き、大事には至らなかったが児童精神科預かりになる。
入院中、同室の者から暴力を伴ういじめを受ける。ここでは同性愛の存在を知り、喫煙も覚える。退院後は一人暮らしを希望し、家から離れたところにある小屋に住むようになる。仕事も正式に運転手として雇われるようになる。家族間には壁があり、職場でも孤立感が否めない。
そんな中、オルガは同僚のイトカ(マリカ・ソポスカー)に惹かれ、二人は恋人同士になる。けれどイトカは別に好きな人ができ、オルガは捨てられる形になってその幸せは終わる。その後、中年男のミラ(マルチン・ペフラート)が手を差しのべてくるが深みに落ちることはなく、ただただ孤独と、そこから生まれる自暴自棄〜他者への怒りが満ち、プラハの街中、路面電車を待つ人々の中にトラックで突っ込み死傷事件を起こす。
もともと自殺する気だったとばかり、自分のようなウィピングボーイを輩出してはならないと訴え、死刑判決を受け入れる…。
およそ10年間を追った作品。
自殺願望があり、自分が社会と合わないのが苦痛で、他を蔑み、己を正当化する。魂と肉体が乖離している感じ。
ちょっとかいつまみすぎてて、そもそもの原因がわからない。気づいたら異端になってたという感じ。ドキュメンタリー風でもなければ一から組み立てるフィクション性にも欠ける。モキュメンタリーではないし、知り得る事実をなぞった精神病患者の話と言ってしまえば、まあ、それで終わりなんだけど。伝記作品は難しい。
そんなわけで事件を起こすほどの人格に説得力が感じ得なかったのが残念だった。やはり観る方としては、例え具体的に無くても、「なぜ」の答えを知りたいものだから。
エロティックなシーンとかもあって、たぶん、必要ではあったんだろうと思うけど、尺的にも回数的にもちょっと多かったかな。他に描くべきことがあるだろと思った。
ただ、ラストの絞首刑に大声をあげ全身であらがう姿が、一番人間ぽくて普通の人に見えて、それが悲しくて良かった。なんだかんだ言ってもそこで命の尊さを感じたかもしれないと思えてなお。
★★★
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