『ムーンライト』(2016/日本公開2017)
原題は『Moonlight』。
原案・原作 タレル・アルヴィン・マクレイニー
監督・脚本 バリー・ジェンキンス
主人公の成長に合わせ、3パートからなる作品。各パートのタイトルは、当時、主人公が多く呼ばれていた名前(愛称)になっている。
1.リトル(エレメンタリースクール時代)
育児放棄気味の母親(ナオミ・ハリス)と二人暮らしのシャロン(アレックス・ヒバート)。引っ込み思案で内気、親しい友達もいないひとりぼっちのシャロンは「リトル」と呼ばれからかわれ、いじめの標的だった。その日もいじめっ子たちから逃げ、廃墟に身を隠している時に、ドラッグの売人であるフアン(マハーシャラ・アリ)と出会う。だんまりを決め込むシャロンに手を焼き、フアンはとりあえず自宅に連れ帰り、同棲中の恋人のテレサ(ジャネール・モネイ)の助けを得る。食事を与え、一晩過ごし、ようやく自宅へ送り届けることができた。
学校では変わらずいじめを受けているが、少し気を使ってくれるケヴィン(ジェイデン・パイナー)の存在、フアンとの交流が力になっていく。しかしそんな時、母親がフアンからドラッグを買っていることがわかる。シャロンの母親への憎しみに、フアンは自分が売人であることに心傷める…。
2.シャロン(ジュニア&ハイスクール時代)
相変わらずいじめっ子テレル(パトリック・デシル)のグループにいじめを受けているシャロン(アシュトン・サンダース)だが、ケヴィン(ジャレル・ジェローム)とは仲が深まり、荒れる母親のことで行き場がなくなった時にはフアンとテレサのところへ避難するなど他人との交流が保たれている。
女子との性行為があることを自慢げに話していたケヴィンだったが、ある日の夜、ケヴィンの家の近くの浜辺で共にマリファナを嗜み、雰囲気でそのままキスを交わし、ケヴィンはシャロンに手淫を施す。そんなことがあった矢先、テレルの命令でケヴィンはシャロンに暴力を振るうことになる。そのまま数人でボコボコにされるシャロンだったが、手をあげた者の名前を一切出さなかった。そして翌日、授業を受けてる無防備なテレルに椅子を振り落とす…。
3.ブラック(20代〜大人時代)
フアンは亡くなり、テレサと母親のいる地元を離れ、少年院上がりのシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は別天地でドラッグの売人となっていた。「ブラック」と名乗り、がたいも良くなりゴールドのアクセサリーで箔をつけ、その風貌はフアンに似ている。
ある日、あれ以来連絡をとってないケヴィン(アンドレ・ホランド)から電話が入り、ケヴィンの店を訪ねる。ぎこちない会話もやがて柔らかくなり、ケヴィンは暴力のことを謝り、シャロンは自分の体に触れたのはケヴィン一人だけであることを告白する…。
子供もいて離婚をしていたケヴィンは、まぁ、バイだろう。ラストシーンでは、どうなるのかわからないけど、シャロンの甘酸っぱい想いは遂げられたということだ。
母親は薬物治療施設に入っていて、親子関係は修復とはいかずも前進はあったように終わった。
いじめっ子からはずっと「オカマ」と揶揄されていた。弱々しくナヨナヨしてる感じだからかもしれないが、もしかしたらいじめっ子であるテレルはシャロンを好きだったんじゃないかなと思った。
ブラックはケヴィンがつけた愛称だ。ニガーとも言う。黒人の街であるのに、さらに区別があるのだろうか?例えば生まれがどこか、ハーフかクォーターか、肌の色の強弱など。どうなんだろう。もちろん、ケヴィンは差別的な意味で呼んでいるのではないけども。
フアンが老婆から聞いた話をする。「月明かりの下では黒人の肌は青く光って見える」のだという。タイトルは黒人であることの悲しさと、だけど生きていく強さを表しているのかなぁ。
★★★(★)