美しい彼 エターナル | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『美しい彼 エターナル』(2023)

原作は凪良ゆうの小説。

 

監督 酒井麻衣(『美しい彼』シリーズ)

脚本 坪田文(『美しい彼』シリーズ)

 

萩原利久、八木勇征、高野洸、落合モトキ、仁村紗和、和田聰宏、金井勇太、池田大、前田拳太郎、綾乃彩、伊勢佳代、飯田基祐、他。

 

ドラマ『美しい彼2』の続き…というか、そもそもドラマ自体が映画版への序章。登場人物が

話を進める上でのキーになっているので、ドラマ版を見ている方がすんなり理解に及ぶ。

原作はどうなのか読んでないので何とも言えないが、とりあえず以下、ざっくりあらすじ&感想。

 

ドラマ版『美しい彼2』からの続きで、平良一成(萩原利久)は大学生活最後の年で、カメラマンの野口大海(和田聰宏)のアシスタントをしている。清居奏(八木勇征)は役者となり、事務所の先輩である安奈(仁村紗和)との作品の撮影が佳境。平良と清居は、平良の実家で同棲生活を送っている。

清居が役者として活躍していく傍らで、平良は何者にもなりえてない自分と、プロカメラマンの腕を目の当たりにして自信を失いかけていく。全てを自分の中で片付け一人で悩み、キングたる清居の位置づけを変えない平良に、ただ心の赴くままに愛を注ぎ感じたい清居はもどかしさを覚える。わずかにすれ違いが起こる中、安奈にアイドル桐谷恵介(前田拳太郎)とのスキャンダルが持ち上がり、転じて更なるゴシップ記事に反応した熱狂的な安奈ファン設楽克己(落合モトキ)が清居に対して犯罪行為に出る。それに対峙する平良…。

 

やはり平良が王様だった。清居は普通の人間。というか、劇中で平良が覚醒するんだけど、もちろんドラマ版でも清居に関する事ではタガが外れるシーンもあったが、その最上級表現があった。これはもうサイコパス。原作は知らないので、映画のみでしか言えないけど、やり過ぎ、ガッカリだった。なに、これサスペンス?と思った。愛情表現でもなんでもない、清居の言う「キモイ」のレベルを超えて怖いくらいだ。いったいここまでの表現必要だったのか? とはいえ、萩原利久の覚醒した眼力(しかもモノクロで)は素晴らしかった。作品が違えば最高だった。

 

でもまあ、作品の方向性はよく出ていて、魅せる映像もあったし、平良の心の声のナレーションが効いててよくまとまっていた。これは平良の物語だし。

その魅せる映像のひとつ、清居の美しいという設定もよく表現されていた。それはほぼラブシーンだけど、八木勇征の艶かしい演技は素晴らしい。風呂場のシーン、シーツをかけるシーン、ラストシーンなどきれいに撮られてる上に、二人の間に愛も見えて良かった(ラスト八木勇征のキス受けは完璧)。

その他、校舎を駆ける二人は愛らしいし、それに過去を被せるのも愛の深まりを感じさせて素敵な演出だったし、桜の花びらのリピート使い、オープニングの寝顔もリアリティがあって良かったし、その画はドラマからの流れだ。そしてそれがラスト映像につながり、二人の関係の持続と進展を補填できるものだった。そう、ラスト、きっちり未来も約束されてる関係と読める画で締めるという魅せ方はうなるほど良かった。

作品の世界観を揺るがさない細かい監督だなと思う。

 

そうそう、平良が清居を撮るシーンがあるのだけど、ファインダー越しのショットがイマイチだった。その中でのベストショット数枚も、ドラマ版で撮った清居を超えられてない。野村伊兵衛賞を取るにはまだ修行が足りないない、そういうことなんだろうな。やはり細かい…。

野口の人生が垣間見えたのも良かった。多くの人が通るであろう過程を経てプロカメラマンになってるのが、甘酸っぱくて少し切なくて良い。

そしてオマケのように出てきた元担任教師も良かったな。ドラマではそのナチュラルさがお気に入りだった。小山(高野洸)も。高野洸、歌って踊れて芝居もそこそこイケるってすごいな。歌が本職だよな確か?


エターナルは必要ないんじゃないか?と思ってたし、なぜドラマ1シーズン(と写真集)で終わりにしないのだろうと思ってたので、劇場には行かなかったけど、結局、ロングラン上映でヒットしたというのもわかる作品だった。

 

★★★★

 

 

 

 

 

 

 


 

 

スキャンダルについて良い台詞があって、「どんなに好きって言ってても一瞬で嫌いになれる」。これはファン心理に言えるものだと思った。

 

どこかにも書いたけど、本当に『美しい彼』にはハマって、何回も見た。その流れで八木勇征にも興味を持った。ポンコツキャラで(でも話はつまらなくて)ギャップが面白かったのだけど、作品前と作品後の売り方の違いにゲンナリしてまあまあ一瞬で興味を失ってしまった。腐売りが過ぎるように見えたのだ。本職が役者ではないのだから引きずるのも仕方ないのかもしれないが(おかげでファンも多くついたようだが)、私は、LGBTQを軽んじてる感じがして鼻についてしかたなかった。作品に罪はないが、これも劇場に行かなかった理由だった。

また違う作品で力を発揮してくるかもしれない。腐売りを払拭してくるかもしれない。それは期待していようと思う。