ジャンクション29 | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ジャンクション29』(2019)

29歳の4人の青年の物語を描いたオムニバス形式の作品。

 

監督 ウエダアツシ(『うみべの女の子』他)、山田晃久

 

脚本

玉田真也(『あの日々の話』他):「ツチノコの夜」

ウエダアツシ:「ツチノコの夜」

飯塚花笑(いいづかかしょう):「結婚の条件」「ジャンクション」

加藤結子「結婚の条件」「ジャンクション」

保坂大輔:「バズる」

 

 

「ツチノコの夜」

 

吉田健一(田中俊介)は高校時代から映画を撮り続け、夢は映画監督。それは29歳になった今でも変わらず、ニート生活をしながら自主制作映画を撮っているが、まったく世には出ていない。

高校の同窓会で昔好きだった小林(佐藤玲)に会い、幸運なことに二人で抜け出そうと誘われる。行き先は吉田の部屋だった。なんだかいい雰囲気になったところ、友人の加藤(本多力)がやってくる。その上、泥酔しきった担任の飯田(菅原大吉)も上がり込んでくる。そこで思わぬ展開に…。

 

 

「結婚の条件」

 

結婚相談所経営でスーパー仲人と名を馳せる29歳の青年実業家鴛鴦ハジメ(水野勝)のところに同い年の癖の強い鳶田(細田善彦)が入会してくる。母親がうるさいから仕方なしに入ったため、本人まったくやる気がない。ハジメ自身も結婚はビジネスとしてしか見ていなく、自身の問題としての結婚には興味がないし、妹(加藤葵)の結婚にまで否定的だ。鳶田のことはなんとなく似た者同士で気持ちがわからないでもないが、ここは仕事、玉の輿を狙う年上の鷹野(山田キヌヲ)やトランスジェンダーの白鳥(中村中)など多くの女性を紹介し…。

 

 

「バズる」

 

守谷悟(本田剛文)は動画投稿サイトバズチューブの底辺バズチューバーボイリッチー。29歳でサラ金の借金もあるしもう崖っぷち。救いは、それでも応援してくれるファンキラキラ(成宮しずく)の存在…。しかしついに借金取りの権田夫婦(ゆかりの小雪、水澤紳吾)が乗り込んできた。起死回生をかけてさらに100万借り、全額ギャンブルに賭ける動画を投稿する。これが大当たりし、再生数が伸び、あっという間に借金を返したが、味をしめたボイリッチーと権田夫婦は提携し更なる躍進を目指す。が、そううまくはいかず、唯一のファンキラキラも離れていきそうだった。そしてボイリッチーはその命をもネタにしなければならなくなる…。

 

 

「ジャンクション」

 

漫画家志望の丸山晋輔(小林豊)は高校時代1作だけ漫画賞佳作に入ったものの、以来29歳になる今まで入選も果たせず絶望の淵にいた。行く当てもなくふらっと山の方へ向かうバスに乗った。そこへ高校時代加藤と一緒によく漫画の話をしたり描いたりした田中(福山翔大)が乗ってくる。懐かしむ田中に最初はウザそうな丸山だったが、次第に昔話に花が咲く。そうして丸山の助言で新たな漫画のストーリーを考え出すのだが…。

 

 

丸山を軸に派生する作りで、映画は丸山がバスに乗ってるところから始まる。ガラケーに加藤からのメールが入り「ツチノコの夜」へと流れる。同窓会で丸山は加藤始め同窓生に漫画家先生だともてはやされる。違うのについ見栄をはってしまう。「ツチノコの夜」が終わると、バスに乗った丸山の場面に戻り、田中が現れ、丸山の現状と共に「結婚の条件」へ。ここでは、丸山は鴛鴦の会社が入るビルで清掃員のバイトをしている。同じ歳の鴛鴦を複雑な思いで見ている。「結婚の条件」が終わると、再度バスの中の丸山と田中が入り、「バズる」へ。ここでは丸山の住むアパートの隣りが守谷だ。ちょうど間違えて投函された手紙を届けに来た守谷が、ついでに動画のネタにするためにレモン汁を借りる。そして「ジャンクション」、これが丸山の物語となっている。

こういう構成は好きだし、各物語自体30歳という節目の年齢を前に何者にもなれていない、またはどうしたいのかわからない29歳の葛藤が描かれているところも好きだし、なんとなく折り合いをつけて前へ進もうとする締め方もまあ現実的でいいなとも思った。「ジャンクション」ではまさかの意外な展開が待っててさらに良かった。

でも爆発的な感動はない。コミカルなところもあって、起承転結、展開もしっかりしてるから、お話としてはこれでいいんだと思うけど物足りない。

 

水澤紳吾の新たな面が見えたのは儲けものだった。いい役者さん。

 

★★★

 

 

 

 

制作 NAC

配給 スターキャット