エスター | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『エスター』(2009)

原題は『Orphan』(訳:孤児)

監督 ジャウム・コレット・セラ

原案 アレックス・メイス

脚本 デヴィッド・レスリー・ジョンソン

 

名前までつけていた三人目の子供を流産してしまったケイト(ヴェラ・ファーミガ)はその後悪夢に悩まされアルコール依存症にまでなるが、なんとか回復してきた。それでも喪失感は拭えず夫ジョン(ピーター・サースガード)と話し合い、孤児院から子供を迎えることを決める。

引き取った子はロシア生まれのエスター(イザベル・ファーマン)9歳で、息子ダニエル(ジミー・ベネット)と娘マックス(アリアーナ・エンジニア)の間の年頃。とても賢くて絵が上手で礼儀正しい。ただ、服装の趣味が古く、首と両手首のリボンは絶対外さないし、入浴中は浴室に鍵をかけるし、歯科検診をひどく嫌がる変わった子だった。

ダニエルはエスターの両親への取り入り方が気に入らなく敬遠ぎみになり、学校では無視を続け、快く思ってなかった。マックスは難聴で読唇術と手話で会話する。すぐに手話を覚えたエスターを、マックスは慕い一番に仲良くなる。

しかし、ケイトはやがてエスターの大人びた口調やジョンへの接し方など、気になる点が見え始める。同時に不審な事故、事件が起こり始める。

ある日、孤児院のシスター・アビゲイル(CCH・パウンダー)が様子見を兼ねてエスターについての過去の噂、不可解な事件事故について報告にやって来る。ケイトはアビゲイルにエスターの出自の詳細調査を依頼する。実はエスターが孤児院に来るまでの経緯がはっきりしてなかった。調査を約束して帰るアビゲイルだったが、そのまま連絡がつかなくなる。そして次々と不幸がケイトを襲う。それら全てはエスターが仕組んだことだった。

エスターはいったい何者で、何が目的なのか…?

 

「2」がこの度公開されたとかで、そういえば見たことないと、「2」=『エスターファースト・キル』を見る予定もないけど、本作を見てみた。

 

まあ、古い映画なので言っちゃうと、エスターは下垂体機能低下症で成長ホルモン異常で見た目が子供のまま実年齢33歳の大人で、家族というより男目当てで実年齢相応の恋愛がしたかったようだ。やってることは猟奇的でサイコパスならではだけど、精神病院にいた気の毒な面もある。中身ばかり年老いていって、外身がなかなか変わらないんでは社会的認知も難しいしバランスが取れなくなって当然。こういう、エスターという人間が出来上がった過程も想像させる作りなのは良かった。

 

ダニエルが鳩を傷つけてしまうのだが、エスターが苦しんでる鳩に石でとどめをさす。普通に見たら残酷だけど、やがて死ぬのは確かなのだから無駄に苦しい思いをさせることはないと殺す理由を言う。これだけはもっともだな、と思った。

 

容赦ないサスペンスホラーで面白かった。

 

★★★★