『海へ行くつもりじゃなかった』(2016)
監督・脚本 磯部鉄平(『予定は未定』『オーバーナイトウォーク』他)
仕事はうだつが上がらず先輩からは文句を言われる日々の麻来(時光陸)は、元カノ(南羽真里)の結婚式に招待されてるが行く気になれず、街をふらつき泥酔したところ、路上でパントマイムをしているリナ(川岸里菜)に目が止まる。勢い余ってポケットにある名刺やら招待状やらお祝い金までをも投げ銭箱に入れてしまう。しつこく絡んでくる麻来をただの酔っ払いと見込んだリナはその場から逃げるように去る。家に帰って投げ銭箱を確かめると、多額の祝言袋があった。名刺を見つけ、リナは翌日会社を訪ねるべく出かける。
会社に行く前の駅で偶然今にも電車に飛び込みそうな麻来を見つける。実はリナは耳が聞こえず言葉も発せないため必死に手振りをする。どうにか気づかれ、リナはお金を返すが、麻来は泥酔の果ての行動で不快にさせたこと、わざわざお金を返しに来てくれたことのお礼に飯を奢ると申し出る。リナも障害がありながらの就活で将来を思い悩んでいたところで、海へ行こうと誘う。海は麻来にとって昔、元カノと行こうと言ってて結局行かなかったところだ。
二人は砂浜でちょっとしたハプニングに距離を縮める。その時間がそれぞれのこれからに向き合う力を与える。
パントマイムは下手くそなんだけど、それなりの投げ銭しか入ってなかったし、届出も知らない様子だったのでまだ駆け出しか、単なる自分探しの一環なんだろう。そう思えば下手でいい。
道に迷っている二人が偶然出会い、ひとときを過ごして日常に帰るという、やはり人との接触が、人が生きていく上では欠かせないものなんだなと思える作品だった。
これが正解だと主張する結末は描かないスタイルがいい。構成面、30分程度のショートムービーの利点をよく活かしてて良かった。
★★★★
