『永遠に僕のもの』(2018/日本公開2019)
アルゼンチンの「黒い天使」と呼ばれた連続殺人犯カルロス・ロブレド・プッチの実話をもとにしたアルゼンチン・スペインの映画。
実際にその容姿は美しく、「ジャッカル」「童顔のモンスター」「マリリン・モンローの青年版」とも言われたらしい。
原題は『El Ángel』。
監督 ルイス・オルテガ
脚本 セルヒオ・オルギン、ロドルフォ・パラシオス、ルイス・オルテガ
1971年ブエノスアイレス。
息を吐くように嘘をつき、軽やかに鮮やかに何の咎めも感じず盗みをするカルリートス=カルロス・ロブレド・プッチ(ロレンソ・フェロ)は、善良な両親(ルイス・ニェッコ、セシリア・ロス)の心配もよそに、窃盗を繰り返す。カルリートスが言うには、「神は世界に必要なものを与える。だから僕は此処へ来た。神のスパイとして」というスタンス。
ある日、カルリートスは転校先で一人の不良青年ラモン(チノ・ダリン)に惹かれる。欲しいものは何でも手に入れるカルリートスはすぐに取り入り、泥棒家業であるラモンの父親ホセ(ダニエル・ファネゴ)と三人で強盗を始めることになる。もちろん母親(メルセデス・モラーン)も一味だ。
これまでと違って狙うものが大きくなるし多くなる。カルリートスのやり方はホセやラモンには危なかしく見えるが腕は確かだった。面白いほどにうまくいく。銃もあてがわれるので殺人もするようになる。その殺人にも一切の躊躇がなかった。うっかり発泡しちゃった、そこにいるから悪い、というような感覚で罪の意識もなく、死の概念もない、カルリートスは天性の犯罪者だった。
ホセはそんなカルリートスに危険を感じるが、ラモンはコンビを組み強盗殺人を繰り返す。しかし身分証不携帯で警察署に連行されたことを機に、ラモンとの関係が途切れる。しばらくぶりに会ったラモンには別の相棒ミゲル(ピーター・ランサーニ)がいた。カルリートスは初めて嫉妬という感情から行動を起こす…。
サイコパス。これはもう親がどうとか環境がどうとかではなく、人間としては欠陥品。こういう人は一定数いるのだろうけど、自然の意思なのかな、この映画で言えば、神の意思であり、これが神のスパイなのだろうな。
邦題はラモンのことを言ってるのかもしれない。最後に人間らしい感情が動いたのは、神のいたずらかな。
カルリートスの風に乗るように空気の流れに沿うようにダンスする(フリースタイル)姿は魅力的。もとより陶器のような肌やブロンドの巻毛は彫刻や絵画のようだし。この役者はこれが初めての映画らしい。
結局、1971〜1972年の1年ほどで11件の殺人、42件の強盗を犯した。17歳。
面白かったけど、やっぱり洋画は表情、所作から心を読むのが難しい。
★★★★