『パージ:大統領令』(2016)
(原題『The Purge:Election Year』)
監督・脚本 ジェームズ・デモナコ
パージ(年イチの12時間無法地帯化)が始まって20年、武器屋や保険屋ばかりがおいしい目をみるようになった。国外へもパージの特異性がひとつの魅力に注目されるようになり、殺人観光にやってくる者もいる有り様。しかし、無駄な福祉への税金投入をなくし効率よい社会を構築すべく社会的弱者、低所得者など貧困層を排除の対象としているのが周知の事実となり、いよいよパージ反対派、反NFFA派の声が大きくなってきた。そしてついに支持を得て政界にも進出する人が現れる。
上院議員チャーリー・ローン(エリザベス・ミッチェル)は家族をパージされた経験を持つ。だからこそ人命を尊び、快楽化しているパージを廃止し、この国を立て直そうと強い信念を持っている。そして大統領選でNFFAの息のかかったエドウィッジ・オーウェンズ牧師(カイル・セコー)との一騎討ちになった。おまけに今回は平等性を重んじて政府要人もパージ対象となるルールに変更され、政府与党側も反対派も互いの候補者暗殺を策略していた。
前作で警官だったレオ(フランク・グリロ)は、地下シェルターなど特別な場所で一夜を過ごすのではなく国民と共にあろうとするローン議員の自宅ロックダウン下の警護につく。しかし、警護仲間に裏切り者が混ざっていて、レオとローン議員は屋外へ逃走するはめになる。
一方、ダウンタウンでコンビニ店を持つジョー(ミケルティ・ウィリアムソン)はパージ保険の値上げに店の進退がかかっていた。面倒見がよく情深いジョーによって救われた従業員マルコス(ジョセフ・ジュリアン・ソリア)と共に店を守るべく行動を共にしていた。
また、同じくジョーに救われた元ギャングのレイニー(ベティ・ガブリエル)は、今や改心しトリアージ車に乗って負傷者を救助するボランティアに携わっていた。その母体はダンテ・ビショップ(エドウィン・ホッジ)率いるパージ反対派で、ローン議員を大統領にすべくオーウェンズ牧師の暗殺を計画していた…。
レオとローン議員、ジョーとマルコス、レイニー&ダンテら反対派が出会い合流し、NFFA派である政府与党、そしてオーウェンズ牧師と交戦することになる…。
結局、ローン議員が勝利を収めるのだが、NFFA派の暴動が起こり始めたというニュースで終わる。
前作からのキャラ継ぎ(レオ。ダンテに至っては3作目で理想的段階を踏んでいる。ならばとレイニーにも期待したけど前回のカリではなかった)があったのは良かったし、パージ終焉の光が見えたことも展開として良かった。パージ推進派にカルト教化が見えるのも流れとしては有り得る展開。とすると、ドラマ版シーズン2の人体実験展開も単なる派生ということなのかも。
これまで通りハラハラもドキドキもしたが、少し慣れた感じがあり、印象はだれ気味だった。シリーズものはどうしてもマンネリ化する。そろそろ決着を期待したい。物語には終わりがあって欲しい。
★★★★