奇跡 | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『奇跡』(2011)

監督脚本 是枝裕和

 

前田航基、前田旺志郎、オダギリジョー、大塚寧々、夏川結衣、阿部寛、長澤まさみ、樹木希林、橋爪功、原田芳雄、橋本環奈、内田伽羅、平祐奈、他。

 

両親が離婚して母について鹿児島に行った小6の兄航一と父について福岡に行った小4の弟龍之介が、友達と一緒に一泊二日の大冒険に出る。子供の成長物語。

 

航一は桜島の火山灰が降り積もる母の実家の鹿児島に嫌気がさしていた。そしてもう一度家族4人で大阪に戻り暮らしたいと思っていた。桜島が大噴火したらもうこのへんには住めないから引っ越ししなきゃだなと祖父から聞いて、航一は噴火を期待するようになる。

一方の龍之介はあまり頼りにならないむしろ世話してるくらいの立ち位置で、インディーズミュージシャンの父とそのバンドメンバーとの音楽のある日常を愉快に送っていた。龍之介は友達とも毎日明るく楽しく過ごすことを心がけていて、両親の喧嘩をもう一度見る境遇になるのは嫌だなと思っていた。けれど、兄の手前、正直な気持ちは言えずにいた。

ある日、航一の友達が、九州新幹線が開通して、鹿児島から福岡へ向かう「つばめ」と福岡から鹿児島へ向かう「さくら」が一番にすれ違う瞬間に、流れ星方式で望みを願うと夢が叶うと言い出す。そういえば在来線が交差した踏切で1人の老婆が消えた瞬間を見たことがある、と航一は友達の佑と真と上下線の新幹線がすれ違う熊本の近く川尻駅遠征を計画する。そして航一は龍之介にも声をかける。

兄弟は半年ぶりに会うことになったが、龍之介もクラスメイトを3人連れて来ていた。ちょっとしたトラブルから機転をきかせた対処法で難をのがれ、航一たちは願いを叶えるために新幹線がよく見える場所を探し、いざその時を迎える。

 

が、航一も龍之介も最初の願いとは別のことをお願いした。物語を追っているとその理由がわかるのだけど、この、子供たちだけで出かけた旅での成長がうかがえる瞬間だ。他にも友達の佑もより現実的な願いに変わった。また、真の願いは単純で一番結果が早く出るもので、それが叶わなかった時、やはりひとつ大人に近づいたことが見て取れる。

 

子供を信頼して知らんぷりして旅に行かせる親や教師のゆるやかさや、子供の怖いもの知らずな自由な発想が良かった。ふつうなら、今だと、地域によっては、許されないだろうな。


兄弟、離れ離れになっても水泳という共通の習い事をしてるのはいいなと思った。成長の比較にもなる。

 

★★★★(★)

 

 

前田兄弟がうまい。橋本環奈もこの頃は子供だったんだなぁとしみじみ。そして平祐奈がこの頃から頭ひとつ抜けてかわいくてびっくりした。