『私の人生なのに』(2018)
原作は清智英、東きゆうの小説。
監督脚本 原桂之介
知英、稲葉友、落合モトキ、根岸季衣、他。
家族の無償の愛に涙腺破壊され、淳之介の独自の尺度でものを見る力と遠慮なく本音をぶつける優しさに心があたたかくなる、良い映画だった。
新体操選手として有名かつ期待のかかる大学生の金城瑞穂は脊髄梗塞で倒れ、半身不随の車椅子生活となる。絶望の淵に立たされながらも日常生活に戻るためのリハビリをし、入院生活を終えて大学へ復帰するまでになんとかいけた。
瑞穂の事情をたまたま週刊誌で知った幼馴染みの相原淳之介は、瑞穂に会いに北海道からヒッチハイクでやってくる。淳之介は親の都合で中学の時、北海道へ転校したのだった。中学の文化祭で淳之介と瑞穂は一緒に歌を歌った。それからずっと淳之介は歌を続け、ストリートミュージシャンをやっていた。淳之介は再び瑞穂に歌をすすめる。
大学の新体操部ではコーチの誉田(ほんだ)が親身になり、瑞穂の新しい道を切り開こうとする。その他、同じ病気の人たちとの交流会で力をもらったり、周りに助けられながら少し前へ歩み始める。
ご都合にまとめず、最後まで悩ませ、答えも出さず、未来は不安だらけであることも否定しない。世間一般の冷ややかさもサラッと描く。それらが潔く、とても良かった。
★★★★
実は淳之介の過去が悲惨で、これこそ笑い飛ばさないと生きていられないようなもので、だから淳之介はこうなのだな、というのがスッと腑に落ちる。知識と一般常識内で物を見る誉田に比べ、淳之介はすごく泥臭くて危なっかしい。でも生命力に溢れてる良いキャラ。瑞穂が自分の人生を歩むためには淳之介のキャラが必要なのもよくわかる。
俳優陣が確かなので話がすんなり入ってくる。落合モトキうまいなぁ。知英も『レオン』しか知らないけど、こんな役もできるのかぁと感心した。
脊髄梗塞についても知れた。よく病に伏す話はあるけど、どんな病気なのか曖昧にするから現実味がなくて、いい話も薄くなりがち。何が大変でどう辛いのかわかんないから。この作品はそこをしっかり描いてて良い。知英の車椅子の動かし方も上手だった。