『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』(2013)
原作は喜多川泰の小説。
監督 古厩(ふるまや)智之(『奈緒子』他)
脚本 加藤淳也
佐野岳、杉田かおる、イッセー尾形、国広富之、角替和枝、嶋田久作、古村比呂、他。
熊本の高校生和也は友達との会話の中で東京に行ったことがあるけど臭かったと、さも経験してきたようなことを言ってしまい、後に退けなくなったので嘘を本当にすべく東京へ日帰りで行き、証拠となる写真を撮ってくることにした。
しかし東京でスリに会った上に、帰りの飛行機に乗り遅れてしまった。ターミナルで途方に暮れてたところ、売店のおばさん田中がとりあえずうちに泊めてやると救いの手を差し伸べてくれた。そこから和也の、わずか3日ほどの、人とのふれあいの旅が始まる。
年季の入った役者陣に助けられてる映画という感じで、脚本自体はたいしたことない。
高校生の男子の成長のきっかけを描いた作品で、具体的に誰の何の言葉が効いてるかっていうものもなく、ごく普通の人間たちの会話が当たり前のようにその関係性のなかで繰り広げられてて、それがあまりに普通過ぎてすごく良い。はっきりとした感動ではなく、じんわりくる「何か」がある。
おそらく、こんな出会い、あるだろうなぁという普遍性がいい。出会った人全てに人生があることも会話できっちり見せているからなお。
また、旅が終わって得るものは確かにあっただろうけど、すぐに変わるわけではないんだろうなぁと思える和也のキャラクター設定がいい。普通に見たら成長して変わるという余韻を感じるんだろうけど、ちょっと空白を感じたので、長い人生においてはプラスの働きがあるだろうけど、地元に帰って高校生活に戻った時、果たして…? と思えた。
良かった。
★★★(★)
とにかく杉田かおる、イッセー尾形、嶋田久作、角替和枝の役者陣が素晴らしい。