日本で言えば高村薫のような作家を求めて、試行錯誤を繰り返しているが、まだ行き当たらない。
履歴に基づくお勧めも私ではない人へのお勧めしか出てこないことは分かっているので、行き当たりばったりに読んでみるしかない。
道のりはまだまだ遠そうだが、それでも、Taylor Caldwellという作家まではどうにか来ることができた。まだまだ、高村薫ではないけれども。
最初のうちは、小説なのかエロ小説なのかよく分からないもの(今の日本の小説もそうだけど)とか、社会派小説なのか社会派エロ小説なのかよく分からないもの(今の日本の社会派小説もそうだけど)とか、サスペンス小説なのかエロサスペンス小説なのかよく分からないもの(今の日本のサスペンス小説もそうだけど)といった本の中をウロウロしていたことを考えれば、少しは望む方向のように思える。だが、まだ油断輪禁物だ。

友情に厚いJamesか、自己を起こして入院したきり殻に閉じこもったGuyの、どちらの話なのか、やっぱりGuyの話なのだけれど。
この2人と、Jamesと気の合うGuyの義理の兄と、3人の男が3人とも、幸福の基準が同じというのはどうなのか。
また、家庭や成功を重視して自己の本心を無視してきた、これからは自己の欲するように生きる、と言って、求めるものが妻とは別の女。それでいいのか。その女なしでは生きてゆけない、その女が何より第一。それでいいのか。
…と、文句を言おうとすれば、私的すべき点ばかり。
だが、私には、この作品は読んでいてとても愉快だった。
富や地位や美貌や家族への愛情を重んじる妻たちが、男の勝手な言い分ながらも、こき下ろされるのは、何とも気分がよい。
でも一方で、男たちが新しく得た、美しさも金も友人も家族も何もない、ただ男への愛情だけがある女、というのも、考えてみれば男の勝手な望みだ。

この作品は、中年から老年に向かう男目線で書かれた、のさばっている女を捨てて留飲を下げ、自分にぞっこんな女とのロマンスでハッピーエンドを迎えるという夢想である。男の夢想だから、どの別の女もうまく像が結ばない。
本書を痛快で面白いなどと高原すれば、もし国会議員とかオリパラ組織委員会会長だったら総攻撃されるだろう。
だが待て。作者は女性なので、「男目線で書かれた」ではなく、「女が、浅はかな男目線を表現した」とも言えるかもしれない。
私の解釈は、英国の背景を持つ作者が、アメリカ的パワフル女に辟易している気分をぶちまけた、だ。

Bright Flows the River
A Novel
著者: Taylor Caldwell
ナレーター: Paul Heitsch
再生時間: 19 時間 29 分
完全版 オーディオブック
配信日: 2019/11/19
言語: 英語
制作: Audible Studios
https://www.audible.co.jp/pd/B07ZQLM47D
 

この作者の「火星の人」(ハヤカワ文庫の日本語訳版。音声デイジー版製作大田区声の図書室。)は、南海聞いたことだろうか。この作品も、「火星の人」に類する面白さだ。
Rockyが登場した瞬間は、思い切ったことをよくもやってくれた、私はついて行けるかどうかと不安になったのだが、私ごときの心配はまるでご無用なのであった。
その後も、「え、殺しちゃうの?」、「え、行っちゃうの?」と、巡航してると思うと出口を塞いで行く。
もう解決策はないぞ。結局、苦渋の決断、主人公の心の葛藤を描くってやつか、と、読んでいるこちらでストーリーをうまい具合に収める方法を勝手に予想。それしかないよね、と、落胆気味になる心を、でも十分面白かったと慰めるように予防線を張りながら読んで行く。
ところが、いやいや、いやいや、作者のヒューマニティの盤石さはそんな程度じゃない。ヒューマニティという言葉をも超える。
ビクビクせず、作者の度量に身を任せ、親しみが持てる人物たちとスリリングな展開にどっぷりハマるべし。

Project Hail Mary
著者: Andy Weir
ナレーター: Ray Porter
再生時間: 16 時間 10 分
完全版 オーディオブック
配信日: 2021/05/04
言語: 英語
制作: Audible Studios
https://www.audible.co.jp/pd/B08GB8942C
 

レストランのメニューを読み上げただけのもの。大層な高級レストランではなくて、よく行く、いつもの店といった感じだ。
聴いていると、おいしそうで、おいしそうで。
これを聞いて、オーディブルで本を読んでみようと思ったのだった。

Menu Excerpts from Our Favorite Newark Restaurants
著者: Various
ナレーター: Victor Bevine, Nick Podehl, Eric Michael Summerer, Bailey Carr, Therese Plummer, Cassandra Campbell
再生時間: 10 分
完全版 オーディオブック
配信日: 2018/03/31
言語: 英語
制作: Audible Studios
https://www.audible.co.jp/pd/B07GQBKV4M

 

海外作家の小説はオーディブルで英語の本を読むことにした。
日本の作家の作品は、今までどおり、サピエを通じた全国の図書館の録音図書にお世話になる。

この記事をアップし始めた時点で、好きな作家は、これまでの日本語翻訳によることになるが、
エドガー・アラン・ポー、ガルシア・マルケス、アントニオ・タブッキ、シャーリー・ジャクスン、ヘレン・マクロイ、G・K・チェスタトン、カーター・ディクスン、ウンベルト・エーコ、イーユン・リー、スティーブン・キング、ポール・オースター。

日本の作家では、谷崎潤一郎、岡本綺堂、江戸川乱歩、久生十蘭、陳舜臣、高村薫、浅田次郎。

日本の好きな作家の作品は、際限なく繰り返し聞いて飽きないが、海外ミステリはたいてい一度きり。
 

カラスは好きではないのだが、行動も声も他の鳥よりも分かりやすいのでどうにも気にしてしまう。
先日、隣接するショッピングセンタの敷地の梢の下を通ったとき、聞き馴染みのあるカラスの声がした。「朝からこの辺で遊んでいるカラスだよ。多分若いヤツと思う」と一緒にいた有人に教えたら、「本当だ。見えないのになぜ若いと分かったのか」と驚いた様子で言われた。
毎朝、東側のオフィスビルとその駐車場辺りで遊んでいるグループの中でも取り分け目立っていたヤツなのだ。このカラスは、誰かが何か言うと自分も(喰い気味に)発言せずにいられないし、返事してもらえるまで難度でも言い続ける。そんな話し方から若いというか幼いと分かったのだ、と説明すべきだったのに、うまく言えずに、「話している内容で」と口走ってしまい、大いに不審がられた。
おかげで、「セミを食べている」と観察してくれた有人こそ、ヤツが若いとどうやって知ったのかを問い詰めることができなかった。有人はカラスの年を見た目で判断できるのだろうか。
いま、気付くと、早朝からカアカア言って遊んでいたカラスのグループの鳴き声を、いつからか聞かなくなっている。うるさくなくて結構は結構ながら、ちょっと気になる。例のヤツが、最初はグループの中心にいたのに、ちょっとしつこい性格が敬遠されたのか、徐々に仲間から距離を置かれ始められていたような。とうとう嫌われて、仲間が別の所に行っちゃったのじゃなければよいけれど。単に遊び場に飽きて、みんなで場所を変えただけならいいのだけれど。
思えば、有人とヤツを見かけたあのとき、昼間なのに朝の遊び場付近に一人ぽっちでセミなんか相手にして、みんなとうまく行かなくなっていたのではなかったか。