近日芸能人の方の訃報を聞くたび

「人はなぜ、死を選ぶのか」

を改めて考えざるを得ない状況があります。

 

自殺対策基本法(平成18年制定)ができて20年弱。

当時3万人を超えていた自殺死亡者

この20年弱で2万人前後まで減少はしてきました。

 

男性の自殺者数は減少が続いていますが

2020年の自殺死亡率は

男女ともに若干上昇傾向に転じました。

 

  人はなぜ死を選ぶのか

 

自殺の原因としては

「健康問題(うつ病含む)」(67.4%)

が最も多く、次いで

「経済・ 生活問題」(21.3%)

「家庭問題」(20.7%)

 になります。

 

しかし一つの原因によって起きているのではなく

「経済・ 生活問題」や「家庭問題」等の状況が連鎖し「健康問題」が生じる

など

複数の要因・動機が連鎖する中で起きている

と考えられています。

 

 

「人は複雑な環境の中で生きる存在」

自殺の原因は3つまでしかデータに残りませんが

おそらく

さまざまな要因が 次なる要因を引き寄せ

最終的に

「死を選ぶ」ような「健康問題」に発展してしまう

のだと思います。

 

 

自殺は「衝動的行為」という人もいますが

それは

周囲の人が気づかなかっただけに過ぎず

着々と準備をしていることも少なくありません

 

ただ「遺された人」にとっては

「衝動的」であった方が

楽なのかもしれません。

 

  遺される人

 

災害時の突然死と同じように

自殺者の遺族や親しい人には

「身近な人の死」に対する「心の準備」

できていません

 

そのため

独特で重い心理状態に陥ります。

そしてそれを

一生抱えて生きてゆくことになります。

専門職としてではありますが

私もその1人になります。

 

 驚愕・愕然

 否認

 自責の念 

 他罰感情 

 怒り

 安心・救済

 不名誉・恥・屈辱

  抑うつ

 感情の麻痺

 喪失感・孤独感

 対人関係からの孤立感

 生き残ったことへの罪悪感

 予期不安・恐怖

 フラッシュバック

 自信の喪失 

 死への予感

 希死念慮 

  ・

  ・

  ・

 

これらの思考や感情が入り乱れて

非常に複雑で重い心理状態となり

一生背負って生きてゆくことになります。

 

特に

「なぜ気づけなかったのか」という「自責感」

強い「後悔」と共に

深く遺された人の中に刻み込まれます。

 

 

「逝く人」

そして

「遺される人」

 

 

誰がどうということではないと思います。

 

ただ医療職の端くれとしては

「救える命もある」

ことを

やはり信じ続けたいのです。