言葉の使い方は大変難しいのですが、

 

例えば「健常者」と

それに対する「障害者・病者」

という言い方がありますが、

 

「障害者・病者」は医師の診断によるものであり、

医師の診断を受けていない人は

みな健常者かというと

診断を受けていないので正確には「障害者・病者」ではないが

ただ明らかに

受診すれば「障害者・病者」であろうと推測できる人は

世の中に多く存在します。

でも診断されていない限りは

「障害者・病者」ということはできません。

 

つまり

 

「健常者」と「障害者・病者」の線引きは
ある意味「受診したか、してないか」に掛かっている

ことであり

線引きが非常に曖昧な表現になります。

 

 

前置きはさておき、、、

 

ここでいう

「正常」と「異常」はあくまでも

 

自覚的な「正常」と「異常」であり

他覚的な「正常」と「異常」は問題にしていない

ことをまず言っておきます。

 

 

学生さんと関わっていると

特に精神疾患・障害に関する講義の後には

多くの質問を受けます。

 

一番多いのは

 

「自分は精神病なのではないか」という心配のご相談

です。

 

確かに

  精神障害・精神疾患と健常は大変区別がつきにくいことが多い

かもしれません。

 

例えば

人は誰にでも

気分の浮き沈みはあります。

 

上手くいかないことが続けば

気分は鬱々しますし

自分なんて・・・とネガティブ思考になりますし

場合によっては

死んでしまった方が楽かも

と思うこともあるでしょう。

 

食事ができなくなった

眠れなくなった

何もかもが嫌になって何にも手をつけられなくなったり。

 

これらは「うつ病」の代表的な症状ですが

この「誰もが一度は経験する」であろう症状があるからといって

 
「うつ病」というわけではありません

まぁ「抑うつ的」であることは確かですが

抑うつ的という症状

誰にでも起こるものなのです。

 

むしろ

抑うつ的になった経験がない人に

会ってみたいものです。

よっぽど神様に慕われている人なんでしょう。

 

もしくは

その反対か・・・です。

 

 

一方で

何か良いことがあれば

気分は高揚しますし

ウキウキハッピーになりますし

なんでも上手くいくような気がします。

 

何でも美味しく感じますし

場合によっては

大盤振る舞いをしてしまうこともあるでしょう。

 

これらは「躁状態」の症状ですが

この状態にあるからといって

 
気分障害かというとそうではありません

 

自分が異常なのではないか

自分に違和感を感じる

場合は

  ①異常・違和感の持続②社会生活の継続

 

の2点を意識してみてください。

 

「正常」と「異常」の線引きは

この2点で判断します。

②社会生活の継続困難 は

①異常の持続 に伴って出現する

ことが殆どです。

 

 

抑うつ症状で言えば、

前述した状態がどのくらい続いているか

です。

前述の状態が続けば続くほど

社会生活の維持が困難になっていきます。

 

学生さんなら

 

「学校に行けなくなる」

「勉強に集中できない」

「成績が急に下がる」

「全てに対してやる気が起きない」

等々です。

 

社会人も同様で

 

「会社に行けなくなる」

「仕事に集中できない」

「ミスが急に多くなる」

「全てに対してやる気が起きない」

等々です。

 

 

元々

「勉強ができない」、「仕事のミスが多い」場合は

別です。

自分の能力はその程度だと思って

そんな自分とうまく付き合ってあげてください。

 

 

 

②社会生活の継続困難

が出てきた場合が

 

一番の「線引き」の目安になります。

 

この場合には、

 

様子を見ずに、ぜひ受診

をしてください。

 

これらには

意欲障害や認知機能の低下などが

影響している可能性が高くなります。

 

 

ただ

色恋沙汰が原因の場合はちょっと厄介

抑うつ状態

長引いてしまうことがあります。

学校に出てこれなくなる学生もいます。

 

余談になりますが

私には

恋愛感情というものが分からないので

一人の人に執着する気持ちが

理解できません

 

それこそ

「好き」と「恋愛感情」の線引きが

分からないんです。

 

そもそも

恋愛に割くエネルギーが無いのもあるのですが

なんでそうなっちゃうのか、、、

 

人ってひとりでも十分に生きていけるよ

ってことぐらいしか言ってあげられない、、、

なので

私に恋愛相談しに来ても

殆ど時間の無駄になると思います。

 

 

 

最後に

一つだけ付け加えさせて頂きたいと思います。

 

「人の目が気になる」

「人に見られている気がする」

これは統合失調症の特徴的な「注察妄想」ですが

それですぐに受診した方が良いとはなりません

 

なぜなら

 

人の目を気にせずに生活している人なんていない

からです。

むしろ全く人の目なんて気にならない方が

別の障害を疑ってしまいます。

 

この場合も

 

人の目が気になって学校に行けない

電車に乗れない、会社に行けない、

自分の部屋の窓に新聞紙や段ボールを貼りつけて

一日中閉じ籠っている

ような場合は

社会生活が維持できていないことになるので

受診した方が良いということになります。

 

 

もしストレスがかかった時

「人がいないのに人が話している声が聞こえる(=幻聴)」

という経験をしている方は

ぜひすぐに受診することをお勧めします。

 

こればかりは

「多かれ少なかれ誰にでもある」

ものではないんです。

 

残念ですが。。。