※本の内容の紹介が含まれています。ネタバレご注意ください。

 ユマニチュードの真骨頂、まずは「みる」スキルを学びました。「見る」は存在を認めること、プロフェッショナルとして「見たつもり」ではなく様々な工夫をもって「視線をつかみに行くこと」と説かれます。特に後者は、こちらにその気がなくても、ベッドであおむけになっている人や背中の曲がった方に対して、上から見下ろしてしまったり、頭をみているだけで視線を合わせていない、などということが日常的に起こる、と指摘され、一同ハッとなります。

 筆者は、最初にこれをやりだしたとき、途端に、「すごい!」と感じました。入院(当時はまだ受け持っていました)や訪問診療の方に、意識的にまず視線をつかむことに数秒かけると確かに表情が変わる瞬間がある印象を強く受けたのです。

 しかし一方、ちょうどこのブログを書いている前日の会合で、1歳の子供を連れたママがいたので子供と視線を合わそうと顔を近づけたら、泣かれてしまいました。やはり初対面では難しかったのか、子供対象には制約があるのか、今後の課題です。

 続いて「話す」「触れる」スキルを学びました。具体的なスキルになって参加者一同「へえ」とか「納得!」「あるある」が増えた回でした。またしても「前半からコレ書いてくれる方が読みやすかったのに・・・」の声。

 「話す」のトピックは、「オートフィードバック」です。もちろん患者さん・利用者さんには、言葉での反応がすぐ得られない人がたくさんいます。その場合はこれだ!というわけです。一言でいえば実況中継。「○○しますね」「今〇〇を●●してますよ」

 ユマニチュードに私たちが感銘を受けるのは、それが実践から生み出されたスキルだからだろうと思います。そういえば、ベテランの尊敬できるスタッフはユマニチュードを知らないかもしれないけどコンセプトはすでに実践しておられることが多いなあ、と一同思い当たりました。「オートフィードバック」も、「あの看護師さんひとり言多いなあ」などと冷やかしたことを後悔させられました。

 ついでに、二つ前の記事で、「フランス的」とか日本的で「奥ゆかしい」とか言う記述は、その時の感覚的なものを表していたこととはいえ画一的なイメージをかぶせる視野の狭い表現だったと後悔。人生は後悔の連続です。昨夜も会合終了後のラーメンは余分でした。でもうまかった貝のラーメン。(医師K)

(続く)