※ネタバレがありますので、現在進行形で読んでおられる方はご注意ください。

 2023年5月、まだまだ繰り返すクラスターやコロナ往診に追われながら、僕らは「ユマニチュードへの道」を読み進めました。レッスン2「ケアする人とは何者か」、レッスン3「良いケアとは何か?」で、ようやく実際のケア場面での実践の考え方に話が及びます。

 ケアのレベルを、回復を目指すレベル、維持を目指すレベル、寄り添うレベルにわけ、それぞれの方のレベルにマッチしたケアを提供することが、ケアのプロだと主張します。

 ミスマッチの例として引用される日本でのエピソードが、やや昔の話が多く、「ここまでじゃないよ今は」と少し反発心も覚えながら読み進めました。一方で「現実的なゴール判断を間違うと、知らず知らず人間らしさをスポイルする」という示唆に富んだ記述に感心したりもしました。

 ユマニチュード第4の柱は、「立つ・歩く」ですが、そこへ至るまでのコミュニケーションの蓄積の大切さが説かれます。言葉の通じにくい場合もある認知症の方との信頼関係の結び方について、非言語的な表現方法の重要性が強調されるのですが、ややフランス的で、日本の慣習からは少し違和感感じないだろうか、と首を少し傾げながらのミーティングとなることもありました。我々、どうやら、まだまだ奥ゆかしすぎる様です。(医師 K)

  (続く)