七月大歌舞伎夜の部、勸玄君も海老蔵さんも無事に千穐楽を迎えられたことをとても嬉しく思いますニコニコ

 

私は、もともと取っていた夜の部3回のチケットに幕見を1回追加し、計4回観に行きました。幕見は6時間ぐらい並びました~。こんなに混んでいるのは見たことがないぐらい。見るたびごとに海老蔵さんの凄さを思い知り、同じぐらい勸玄君の成長にも感動しました。色々な役者さんの魅力にも気が付きました☆夜の部の2回目、3回目、4回目の感想をまとめて書きたいと思います。

 

 

■勸玄君の成長に感動!

勸玄君は、見るたびごとに進化!2回目に観た時は、花道の登場や白狐の動きにキレがありました。七三で左足を踏み込むところはより力強く、手を上に上げる白虎の見得はより素早くキレがありました。そしてセリフも!客席との呼吸のとり方がうまい!4歳でしたら、セリフを間違えずに言うだけでも精いっぱいでしょうが、勸玄君は客席との間のとり方や呼吸の合わせ方を楽しんでやっているようにみえましたラブ

 

「勸玄、白狐、御前、に~」と一つ一つクッキリ、ハッキリ言ってくれます。初日よりもよーく聞こえました。大きな声を出し、客席が喜んでくれるのを楽しんでいるようです。そして、初日にはなかった見得も加わっていました!2回目に観た時はABKAIの中山優馬さんのようなキリッとした見得でした、3回目、4回目に観た時は、顔をぐる~んと回す立派な見得を切っていました。なんと頼もしいビックリマーク

 

 

7月11日の海老蔵さんのブログでは、勸玄君が空中でセリフを言いたいということが書かれていました。私が2回目、3回目、4回目に観た時は、空中で一人で立派に台詞を言っていましたラブきっとあれから毎日一人でセリフを言っていたのでしょうね。もちろん、客席は大興奮、勸玄君がなんて言っているのかは聞こえませんでしたが、とっても大きい声で口を大きく開けて笑顔で言っているのが印象的でした。口の動きを見ると「絶景かな~」っていっていたのかなはてなマーク違うかもしれません。

 

自分でどんどん難しいことに挑戦する姿は素晴らしい。将来が楽しみです!投げキスバージョンも観たかったビックリマーク

 

 

■一期一会の舞台

夜の部を何度も観に行った理由は、もちろん勸玄君の勇姿を見たいのもありますが、海老蔵さんの玉島幸兵衛を見たかったから!特にお才茶屋の場面、優しい色気のある幸兵衛がめちゃくちゃカッコ良いです。そう、海老蔵さんの魅力は荒事だけではなく、こういう柔らかい色男キラキラそしてこのお役、一期一会な感じがしました。

 

初日を観て以来、獅童さんが休演になる前はどんな脚本、配役だったんだろうとずっと気になっていました。というのも、物語の筋も通っているし、配役もそれぞれの役者の持ち味にピッタリだったからです。衝撃は7月15日の海老蔵さんのブログ。本当は幸兵衛が獅童さんの役だったということが書かれていました!このブログを読んだだけで鳥肌が立ち、涙が出てきました。時の巡り合わせと、海老蔵さんの座頭としての覚悟や自己犠牲を感じました。

 

発端や大詰の幸兵衛の早替りは、獅童さんが出演されていたらなかったのかぁ。お才が亡くなる場面は、本当ならば獅童さんがやっていた役だったのかぁ。そう考えると、獅童さんの休演、海老蔵さんの代役、麻央さんの他界という偶然の重なりのなかで演じられる、唯一無二のお芝居に思えました。

 

 

獅童さんの休演は、大きな痛手となるところ、逆にそれを早替りで魅せるという、魅力的な舞台に仕上げているのも驚きでした。その魅力的な舞台の背後にあるのは、海老蔵さんが負担を引き受け、役を増やし、大変な悲しみの中で膨大なセリフと、体力的に負担のかかる立廻りを引き受けるという、座頭としての自己犠牲。こういう巡り合わせの舞台はもう二度と見られないかと思うと、その英姿をしっかりと何度でも目に焼き付けておきたいと思いました。

 

 

■海老蔵さんの凄さ―全身全霊の歌舞伎

夜の部で感動したのは、何の惜しみもなく自分のありったけの力を舞台に出す海老蔵さんの姿勢です。いま人として持っているエネルギーやすべてのものを出し切ってくれること。筋書上、海老蔵さんは3役ですが、色々な姿に扮するので10役ぐらい演じます。早替りも含めると14役ぐらい!?いかに過酷で身を粉にしてらっしゃるかがわかります。

 

それなのに、いつ見ても100%パワー全開の歌舞伎。全力の立廻りと見得と大音声!何の打算もなく、ただただその瞬間に全てを出し尽くす。海老蔵さんの歌舞伎からはそういう無垢な力を感じます。自分を犠牲にし、どれだけ消耗しても力強い姿を見せてくれる。

 

そんな海老蔵さんの姿勢を目の当たりにし、私も利己を考えたり邪心を持ったりせずに、やるべきことにピュアなエネルギーを出し切りたいと思いました。

 

 

お才茶屋の最期のシーンは、何度見ても悲しい迫真の演技でした。劇場のどこかにいて聞いてくれている麻央さんへのメッセージに聞こえてなりません。御家のために役立つ私の姿を、「私のそばを片時も離れずに、草葉のかげから見物せい。」「この世で過ごした時間は短かったが、来世こそずっと夫婦でいよう」。

 

これは、月本家再興のための幸兵衛の誓いの言葉ですが、海老蔵さんが市川家や歌舞伎のために一生懸命努力する自分を観て欲しい、役者や父親として成長する自分をそばで見続けて欲しい、という麻央さんへのメッセージに聞こえてなりませんえーん

 

■中村児太郎さんの健闘

今回は中村児太郎さんの活躍もこの芝居を成功させた大きな要素だと思います。お才は、海老蔵さん扮する駄右衛門の子分でありつつ、海老蔵さん扮する幸兵衛の妻という重要な役どころです。

 

前半、月本祐明の側室としての気品に満ちた佇まいと、女盗賊としての強さ。お才茶屋では傾城としての可愛らしさや品を持ちつつ、経営者としてのユーモラスな金策もみせる。そして、幸兵衛が現れてからは、夫を思う一途な妻となり、幸兵衛に討たれてからは、それでも満足と死にゆく女。非常に難しい役柄だと思いますが、豊かな人物像を描き出してくれました。

 

昨年7月は『柳影澤蛍火』尾上右近さんが海老蔵さん演じる柳沢吉保の妻に抜擢されて好演でした。今年は中村児太郎さんが大健闘で嬉しいです。海老蔵さんは巳之助さん、新悟さん、児太郎さんなど若手の役者にどんどん大役をあてがって起用し、若手の方々がそれに応えているのも嬉しかったです。若い役者さんの舞台はエネルギーに溢れて面白いです。今回のように海老蔵さんが中心となって若手役者が歌舞伎座で活躍する舞台を、年に一度ぐらいは観たいなぁニコニコ

 

 

■色々な役者さんの魅力

回数を重ねるごとに、色々な役者さんの魅力にも気が付きました。亡者となった玉島逸当を演じる市川中車さんは、独特の存在感を放っていらっしゃいました。海老蔵さんとの立廻りや様式性のある見得など、歌舞伎を始めて5年とは思えません。海老蔵さんの兄役である逸当や、「加賀鳶」でも兄貴分の松蔵を中車さんに託したのがわかる気がします。東山館の場では、腰元の尾上緑さんが美しかった!端正な顔立ちで綺麗な役者さんですね。今まで気が付きませんでしたが、今後緑さんに注目していきたいです。あと同じく腰元の市川笑野さん。ふっくらとした頬が魅力的な涼し気な女形さんですね。

 

 

海老蔵さんの新作歌舞伎は、やはり古典がベースになっているところが好きです。そしてスペクタクルな演出を採用しつつも、それを超えるぐらい役者の熱量が大きいところ。「駄右衛門花御所異聞」は復活狂言としてとても完成度が高いと思いました。歌舞伎座本興行のレパートリーに加え、これからも再演を重ねて欲しいです。

 

 

さて、休演を発表されていた、中村獅童さんが先日復帰なさいましたね。おめでとうございますビックリマークもともと七月大歌舞伎で予定されていた獅童さんの「丸橋忠弥」観てみたいですし、「お祭り」も復帰のお祝いにいいですね!元々予定されていた脚本と配役での「駄右衛門花御所異聞」もぜひ観たいです。海老蔵さんと獅童さんの共演は来年の1月?7月?までお預けでしょうか。今から楽しみにしています音譜

 

 

初日のブログ・・・

「7月歌舞伎座 初日夜の部 海老蔵さんと勸玄君の勇姿に感服!」