金子みすゞ記念館 | もとろーむの徒然歳時記

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山が好き、花が好き、クラッシック音楽や絵画、演劇に歴史好き…気ままに書かせて頂いています。


 

「遊ぼう」っていうと

「遊ぼう」っていう。

 

「ばか」っていうと

「ばか」っていう。

 

「もう遊ばない」っていうと

「遊ばない」っていう。

 

そうして、あとで

さみしくなって、

 

「ごめんね」っていうと

「ごめんね」っていう。

 

こだまでしょうか、

いいえ、誰でも。

 

金子みすゞさんの詩、こだまでしょうかです。

東日本大震災後

ACジャパンの広告でも使用された詩です。

 

 

山口県長門市、金子みすゞさんの出身地、仙崎です。

 

道の駅センザキッチンにりっぱな

親子鯨のモニュメントが建っていました。

 

昔この仙崎で行われていた鯨漁を象徴するものだそうですが、

みすゞさんの詩、

鯨捕りや鯨法会が浮かんできます

 

鯨法会(くじらほうえ)

 

鯨法会は春のくれ、

海に飛魚採れるころ。

 

浜のお寺で鳴る鐘が、

ゆれて水面をわたるとき、

 

村の漁師が羽織着て、

浜のお寺へいそぐとき、

 

沖で鯨の子がひとり、

その鳴る鐘をききながら、

 

死んだ父さま、母さまを、

こいし、こいしと泣いてます。

 

海のおもてを、鐘の音は、

海のどこまで、ひびくやら。

 

 

金子みすゞさんの記念館です。

 

金子みすゞさんの実家跡に、20歳まで過ごされた書店

金子文英堂が再現されています。

 

 

二階にはみすゞさんの部屋、奥には井戸のある中庭があり、

回り込むと

記念館の本館常設展示場にギャラリーがあります。

 

 

 

 

検索室には金子みすゞさんの詩、

512編がデータベース化され

検索できるようになっています。

 

童謡詩人、矢崎節夫さんがみすゞさんの弟、上山雅輔氏のもとに

直筆で手帳に書かれた童謡集があることを知り、

金子みすゞ全集として世に紹介した、

手帳3冊に書かれていたものです。

 

 

常設展示場では、明治36年の生誕から昭和5年、

26歳で自ら命を絶たれるまでの略年譜が展示されています。

 

ゆっくりと読んでいくなかで、

みすゞさんの深い優しさや鋭すぎる感性は

この仙崎の港町の文化に育まれたものだと感じました。

 

 

お魚

 

海の魚はかわいそう。

 

お米は人につくられる、

牛は牧場で飼われてる、

鯉もお池で麩を貰う。

 

けれども海のお魚は

なんにも世話にならないし

いたずら一つしないのに

こうして私に食べられる。

 

ほんとに魚はかわいそう。

 

 

 

大漁

 

朝焼小焼だ

大漁だ

大羽鰮(おおばいわし)の

大漁だ。

 

浜は祭りの

ようだけど

海のなかでは

何万の

鰮のとむらい

するだろう。

 

 

鯨や鰮の命で私達は生かされている。

そんな普段の営みの中で

金子みすゞさんの素直な命の見つめ方が良く分かる詩です。

 

やっと仙崎を訪ねる事が出来ました。

金子みすゞさんの世界に触れる事ができ、

感慨一入でした。