私はaikoの全楽曲のなかで
れんげ畑が一番好きだ。
もともとインディーズ時代のアルバムであるastral boxの隠しトラックであり、演奏はaikoのピアノのみである。いわゆる弾き語りというやつだ。ベストアルバム「まとめ」に、オーケストラによる前奏と演奏がつき、歌詞も大分書き換えられた形ではあるが収録されたため認知度は上がった。カラオケでも一応歌うことができるようになったが私はあのれんげ畑は元のれんげ畑とは別物だと考えている。
れんげ畑の何がそんなにいいかって、曲も歌詞も歌い方もそうだが、一番はライブで続編がこっそり歌われているところである。もちろん、誰かがアップロードしてくれた音源しか存在しておらず公式なものではない。
このこっそり感がよりれんげ畑のプレミア度や愛おしさをかきたてている。
それではれんげ畑の歌詞を考察してみよう。
急に会いたくなったのは
大きな山に流れる点線
いきなり?である。大きな山に流れる点線てなに?
私は山をバックに車のライトが並ぶさまだと考えている。山の前を流れるように点線が進むというのだからそういったところに位置した車道を窓から眺めていると考えていいだろう。
では次。
窓の外にれんげ畑
むらさき むらさき
あなたも通って見てるかな?
長い畦道 くれない空
窓の外にれんげ畑
むらさき むらさき
ふむ。
ふむふむ。
くれない空 というのが紅空なのか暮れない空なのかはたまた掛詞になっているのかは歌詞カードがないので想像の域を出ないが、とりあえず、主人公は窓から見ているのだ。景色を。れんげ畑のある景色を。
だが「あなたも通って見てるかな」とあるので、あなた、も点線の一部として通っている可能性がある。とすると、「あなた」を学生と仮定した場合点線は車とは限らないが、どちらにしろ、見えているが判別はできない距離なのだと推測できる。
そして、サビ直前。
2日に一度のお姫様は
蜜を吸って冠結った
どういうことか。
2日に一度、というところに意味がありそうだ。つながりを考えると、「れんげの花」の蜜を吸い、冠を結ったということだと思われる。
それが自分のことなのか
窓から見える誰かのことなのかはわからない。
aikoにありそうなのは近くの公園に2日に一回くらいの頻度で犬とばあちゃんと散歩に来ていた小さい女の子のことだ、というのがありそうだが、まあいい。
とにかく続編では「あたし」のれんげ畑に対する関わり方として対照的に登場する場面なので覚えていて欲しい。
love is the greatest thing,
love is the sweetest thing
I hope that he turn out be
someone to wacth over me
(愛はいちばん素晴らしくて
愛はいちばん甘いものだよ
あたしは祈ってる、
いつかきっと彼があたしに
振り向いてくれますように)
この箇所からわかるのは、まだ「あたし」と「あなた」は交際に至っていないということだ。だがこの曲は全体的に幸せな雰囲気に満ちている。
さて。これが果たして続編ではどうなっているのか。以下に記す。※メロディはまったく一緒である。
~れんげ畑 続編~
昔通った散歩道 今鮮明に蘇ってくる
昔誓った約束を あなたは覚えてる?
これはれんげ畑をはさんだ散歩道のことであろう。窓から見ていた車道の近くの歩道だろうか。
また、昔、あなたとあたしが何かを誓い合ったということが判明した。それもどうやらこの場所で。
次。
大人になったお姫様は
流した涙で花を育てた
そう。ここだ。ここが先程との対比である。「蜜を吸って」「冠結った」等、れんげの花から得られる利益を搾取することしかしていなかった「お姫様」は、大人なり、流した涙で花を育てたというのだ。
これは花や涙が何かの隠喩である可能性もあるが、間違いなく、お姫様の人としての成長を示している。
そのあとは
love is the greatest thing,
love is the sweetest thing
I hope that he turn out be
someone to wacth over me
love is the greatest thing,
love is the sweetest thing
I hope that he turn out be
someone to wacth over me...
と、一曲目と同じ英詞が続く。この中でメロディが高揚し音程が上がる箇所があり、れんげ畑に込められた恋のすばらしさと切なさが十分に歌い上げられているのだ。
昔、という言葉を二度も出すことで時間の経過と戻れないことを明確に示し、たった2曲でこんなにも短いのにたまらなくノスタルジックな仕上がりになっている。
お姫様は手堅い経験を積み大人になった…
あなた が約束を覚えているかどうかも、
推測するしかない。
「あたし」はそのような状況に置かれているにもかかわらず、やはりこう言う。
「愛はとてもすばらしくて、愛はとても
甘いものだよ」
そう、このくだりは続編でも変わらないのだ。
そんなところがれんげ畑の持つ最高の魅力であり、多くを語らず歌声に想いを込める奥ゆかしさが、aikoの一筋縄ではいかない魅力なのだろう。
