このアレクサンドル・カバネルの「ビーナス誕生」はとても有名な絵画です。1863年のサロン展に出品されてセンセーションを起こした作品です。その作品はナポレオン3世が購入したほどのものです。その作品はパリのオルセー美術館にあるのですが、全く同じ作品がメトロポリタン美術館にもあるのです。

え?これって誰かがコピーした作品?と思うのですが、このメトロポリタン美術館にあるものも正真正銘の本物でカバネルの作品なのです。実はこちらの作品は1875年にニューヨーカーであるジョン・ウルフと言う人がカバネルにオリジナルの「ビーナス誕生」の複製画で少しサイズが小さめのものを依頼して描いてもらったものだそうです。オリジナルを描いてから12年後に描かれたこちらの作品はどれだけ忠実に描かれたのだろうかと思います。できれば2枚の絵を隣同士に展示して比べることができればと思いますが、おそらく叶わないことでしょう。

こちらのメトロポリタン美術館にある作品も実に美しくて、ビーナスや天使の肌の透き通るような色は見事です。まさに今海の波の泡の中からビーナスが生まれたのを天使たちがお祝いしている様子というのがわかります。海の深い色、空の明るいブルー本当に美しいです。