以前から行こうと思っていたNew York Historical Societyにやっと行ってきました。私はゆっくり見たかったのは、ティファニーステンドガラスのコレクションとそれに関する説明です。ティファニーガラスはメトロポリタン美術館などにもたくさんありますが、ここの展示は説明が充実していると聞いていたのでぜひゆっくり見学に来たいと思っていたのです。

ティファニーガラスによくあるトンボのデザインの美しいことと言ったら息をのむほどです。細かい繊細なデザインと色の鮮やかさはその作品の前で思わず立ち止まってゆっくり全体を見てしまいます。

これらのランプを作るには想像できないほどの細かい工程があるのです。最初にデザインを鉛筆で描いて、それを工場へ持っていき完璧なランプシェイドの型を作ります。今度はその型の上に絵を描き、それに絵の具で色をつけます。そしてしっかりとティファニー特有の黒い縁を描きます。それをMr.ティファニーが確認して許可を出します。今度は木でランプシェイドの形を作ってその上にデザインを描きます。細かいガラスの一つ一つに番号がつけられます。それぞれのパターンの色のガラスが作られそれを一つ一つ細かい手作業で形の通りにカットしていきます。その時にガラスは光が当たった時にどんな色になるかもチェックするそうです。その一つ一つの細かいガラスを木の型の上に置きランプの形にしていき、縁取りをして形を整えます。そして工場で木の型を外しランプシェイドが完成していくという気が遠くなりそうな工程なのです。

この美しいティファニーのガラスを実際に作ったのは、The Tiffany Girlsと呼ばれた女性たちなのです。 Mr.Tiffanyはこのような細かい手作業は女性の方が優れているということを知っていたのです。ところがこの女性たちは当時は表立って認められてもいなかったようです。ティファニーの美しい作品の数々はヨーロッパでも評価されていく中、彼女たちの存在はほとんど誰も知らなかったのだそうです。彼女たちは16歳以上の女性で長時間の労働を課せられていたそうです。そして結婚するとこの仕事から退かなければいけないというルールまであったというのです。結婚をしてしまうと長時間労働はしにくくなるからというのがMr.Tiffanyの理由だったというのです。

下の写真がそのThe Tiffany Girlsたちです。その中でリーダーであったCalara Driscollという女性は本当に素晴らしい技術の持ち主でもあり、素晴らしいデザイナーでもあったのです。彼女は誠心誠意込めた作品を作り上げた女性だったそうです。

このティファニーの展示は常設になっているので、いつでも見学できます。アメリカ自然史博物館の隣にある歴史博物館はあまり行く人が少ないのですが、このティファニーの展示は素晴らしいものです。私は一つ一つの説明とビデオを見て色々と学びました。ティファニーはニューヨーク出身の人でもあリマス。たった一代しかこのガラスの作品を作らず次世代に継がせることをしなかったので世の中にあるティファニーの作品は数に限りがあります。Mr.Tiffanyはガラス工場を閉める時に自分が発明したガラスのレシピなどはすべて燃やして無くしてしまったというからまた謎もたくさんあるようです。

ティファニー宝石店の息子というルイスは宝石店の成功により大して働かずともいいような環境にあり、画家としてヨーロッパに勉強に出かけたにも関わらず、ステンドガラスに魅了されて、アメリカにアールヌーボーを紹介し、そして自分で考え出した絵画のようなステンドガラスを作ることに成功したのです。

この美しいティファニーガラスの秘密を探るにはこの展示をじっくり見るとよくわかります。