父はスタスタ、母はちょこちょこ。両親との電車旅は大忙し
2日間の長旅、ホント疲れた。
伯父の訃報を受け、高齢の両親を連れて告別式に参加することになった。
本当なら車で連れて行ってあげたかったのだけれど、遠方のため電車で向かうことに。
でも、電車だからと言って、決して楽ではない。
高齢者との電車移動には、体力や筋力の衰えとは別に、もうひとつ大きなハードルがあった。
父と母の歩調が、まったく合わないことだ。
腰や膝が弱り、ちょこちょこ歩きで長時間は厳しい母。
逆に88歳とは思えないほど足腰が丈夫で、スタスタ歩いていく父。
遅い母と、速い父。
その間に入る私。
まるで速度の違う車をひとりで誘導するかのような難しさだ。私はちょっと甘く見ていたようだ。
◇
新幹線ホームの待合室。
久しぶりに会った母が、普段よほど父との会話に退屈しているのか、私に向かって弾丸トーク。
「この前ね……」
「近所の○○さんがね……」
と、しゃべるしゃべる。
そこへ父が割り込む。
「何時の新幹線なんだ?」
「何号車だ?」
さっきから何回も同じことを聞いてるけど?
この時点からもう噛み合っていない。
「そろそろ時間だから行きますか」
と声をかけると、ふたりとも反対方向へと歩き出す。
なぜ、ぞうなる?
「そっちじゃなくて、こっち!」
小幅でのろのろ歩いている母を止め、スタスタと先を行く父を追いかける。
まだ、新幹線にすら乗れていないのに、すでに私は疲労困憊。
この先、電車を乗り継いで約4時間。大丈夫かな?と早くも先が思いやられた。
しかも、乗り換え時間もかなり余裕を持っていたはずなのに、結局乗り遅れた。
母が「トイレ行ってくる」と言うので、
「お父さんも今のうちに行ってきたら?」とすすめると、
「俺は大丈夫!」
……しまった。父はあまのじゃくだった。
案の定、母が戻ってきて、さあ行こうというタイミングで、
「やっぱりトイレ行ってくる」
だからそう言ったのに……。
慣れない土地でスマホを確認しながら、父と母から目を離さないようにしながら、そのうえ荷物を抱えながらの乗り換え。
私もヘトヘトである。
◇
葬儀場では、着替えでもひと騒動。
いつも母に任せっきりの父は
「ネクタイはどこだ?」
「ハンカチは?」
「財布がない」だの、「数珠がない」だの、
次々に質問する。
母も母で、「はいはい」と探す。そのたびに着替えが中断する。これでは母の着替えがいつまでたっても終わらない。
「私が探すから、お母さんは着替えに集中して」
と、やんわりたしなめる。
こんな調子なので、ちょっとしたことでも、どんどん時間が削られていく。
普通なら、ここから急いで挽回するところだけれど、高齢の両親を相手に焦らせることはできない。
だから、今回は前泊した。
おかげで致命傷は免れ、気持ちにも余裕ができ、体力消耗も抑えられ、無事に告別式を終えることができた。
伯父とのお別れの旅。
大変だったけど、両親と一緒に母の最後のきょうだいを見送ることができた。それだけでも、連れて行けてよかったと思う。
ちなみに、帰りは妹が合流。
父担当=私。
母担当=妹。
のマンツーマン体制で電車旅ミッションを遂行した。
やっぱり高齢の両親との旅は、人手があるに越したことはない。
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