「江口のりこ!」と答えたら、コーヒーがこぼれた
こんなことってある?
夫はテレビ、私は新聞。
お互いの気配を感じつつ、それぞれの過ごし方でリビングにいた。
そんな、いつもの休日だった。
テレビでは、お笑い芸人がロケをしている。
「ははははは」
夫が楽しそうに笑っている。
朝からご機嫌で何よりだねぇ。そんなことを思いながら、私は新聞に目を通す。
そして、いつものようにコーヒーをズズッとひと口。
そのタイミングで、夫が突然、
「ねえ、この女優さんの名前って何だっけ……?」
「江口のりこ!」
即答。
その瞬間、口からコーヒーがダラ~~~~。
「ウソでしょ!!」
何と私は、
飲み込む前に答えてしまった。
飲み込む前に口を開けてしまった。
というか、夫が思い出す前に先に答えたかった。
そんなに急いで答える必要なんてないのに。
「エヘヘ……」
と助けを求めるような目で夫を見る。
あごまでコーヒーを垂らしている私に向かって、これでもかというくらいの呆れ顔をしていた。
「ええー?そっちが急に質問してきたせいだよね?」
なぜか理不尽に八つ当たりをする私に夫は、
「いやいや、子どもじゃあるまいし。ちゃんとした大人はコーヒー飲みながら口を開かないよね~」
と言って爆笑。
よかった~笑ってくれて。
だって、ここで笑ってくれないと、私も笑ってごまかせない。本当にただの失敗になるじゃん……。(失敗なんだけどね)
私にとって新聞を読みながらコーヒーを飲むのは、休日のルーティンだ。まったく意識しなくても、目は新聞、手はコーヒーカップをつかみ口へと運ぶ。
その無意識モードの真っ最中に、突然質問してくるなんて。
そんなの反則だー!
と、夫のせいにしてみる。
でも、咄嗟に答えた私も、
おバカさんだー!
自分の馬鹿さ加減に呆れながら、笑えて、ちょっと情けなくなった。
それにしても、50代、それなりにいい大人でも、あごにコーヒーを垂らすことはあるのだ。
何が起こるかわからない、平和な休日である。
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