歌わずにはいられない。懐かしの70年代ソング

 

 

最近、頭の中をぐるぐる回っている歌がある

「🎵アーリエールだし、ゆるしたろう🎵」

そう、洗濯洗剤アリエールジェルボールのCMだ。

くつ下を丸めたまま洗濯機に入れてしまった中島歩さん扮する夫が、奥さまに見つかり、「しまった……」と怯えている。そこで戸田恵梨香さん扮す奥さまが歌う、あのフレーズ。

このCMが流れるたびに、私も一緒に歌ってしまう。
しかも、ほぼ毎回。なんならマイクを持つポーズまで付けて歌う。
誰も見ていないのに。いや、夫が見てることはある。でも、夫は完全スルーだ。

なんでこんなにも歌いたくなるのか。
そうだ!この曲の元歌は、ピンクレディの「渚のシンドバッド」だ。
ピンクレディといえば、まさにドンピシャ世代。ほとんどを歌えて踊れる。(今でも、たぶん)

 

そして最近、もうひとつ懐かしい曲に心を奪われている。

ABBAの「ダンシング・クイーン」だ。

インスタを眺めていたら、大勢の人がこの曲に合わせてダンスする動画が流れてきた。見た瞬間、「踊りたい!」って思った。ダンスなんてやったこともないのに。
ノリノリで歌いながら身体が勝手にリズムを刻む。
正確には、英語だからちゃんと歌えていないし、ダンスも手しか動いていない。
それでも、テンションが上がる。楽しい。

それ以来、懐かしい曲がいろいろ聴きたくなり、最近の通勤のお供は80年代洋楽のプレイリストだ。
バスの中で聴きながら、口ずさんだり、リズムを刻んだりしたい気持ちを必死に抑えている。隣の人に気づかれないように。

 

10代の頃に聴いていた曲って、歌詞もメロディーも、意外と覚えている。何十年たっても身体に染みついているようだ。

さて、今日はお風呂に入りながら「ダンシング・クイーン」を流そう。
歌って踊って……、いや、風呂場は危険だから踊らないでおこう。安全第一でストレス発散だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エクセルもできないのに事務員に採用したおじさん

 

 

普段私は、Googleカレンダーで予定を管理し、Notionでタスク管理している。noteの投稿管理もNotionだ。
そんな私が、ふと思い出した20年前の話。

◇

「エクセルはできる?」
「エクセルの罫線の引き方すらわかりません!」

事務員の募集なのに、私は堂々と答えた。

「でも、昔ワープロを販売していたのでキーボードは打てます!がんばって覚えます!」

……で、採用された。

採用してもらっておいてなんだが、こんな私を採用して大丈夫なのか?と逆に心配になった。
とはいえ、ありがたく内定をお引き受けしたのだが。

面接担当のおじさんは、とても気のいい人で、「入社してから覚えてくれたらいいから~」とにこにこ。
なんてのん気な……いや、ゆるやかな人なんだろう。

設立して半年ほどの会社で、開業までは仕事もそれほど忙しくなかった。調べながら、勉強しながらでも十分に間に合う量だった。間に合うどころか、時間を持て余し、パソコンに向かっていると眠くなる毎日。

そこで始めたのが、暇つぶしの猫ブログだった。
これが楽しくどんどんのめり込み、ホームページまで作るようになった。(仕事中なのに……)
 

「パソコンは苦手です」と言っていた私が、いつの間にかパソコンなしではいられなくなり、ついには自分用のパソコンまで買ったのだから、人生ってわからないものだよね。

1年後にはエクセルもワードもほぼ使えるようになり、今ではOA担当。
パソコンの設定から接続、業務ソフトの窓口、テレワークの運用やWeb会議の設定。経理や総務も担当し、派遣社員から正社員にもなれた。

あのときのおじさんが、私の人生を変えたと言っても過言ではないと思う。

もし採用されていなかったら、エクセルもアプリも苦手なままだったかもしれない。
パソコンもできず事務員の経験もなかったのに、「それでもいいよ~」と、勉強する機会をくれたのだ。

おかげで今も、時代に置いてきぼりにならずにすんでいる。
猫ブログを通じて、にゃん友さんたちと出会えたのも、辿っていけばおじさんのおかげかもしれしれない。(それはさすがに大げさか?!)

 

 

▼前回書いた猫ブログの話は、ここから始まっているのだ(笑)

 

 



そんなおじさんも、とっくに定年退職し、今は交流がない。
元気でいるかな。
もし、会うことがあれば伝えたい。
「エクセルの罫線も引けなかった私を採用してくれて、ありがとうございました。今もまだ勤めていますよ」
そして、聞いてみたい。
「あのときの採用、正解でしたか?」
 

そんなことを思い出した、秋の午後である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ブログから始まったにゃん友さんの集まり

 

 

インスタもFacebookもなかった頃、私はブログを書いていた。

テーマは、飼い猫のこと。

コメントをやり取りする同じ猫好きさんたちを、いつしか「にゃん友さん」と呼び合い、仲良くなった。

毎日のようにお互いのブログを訪問し、コメントを残す。もしかしたら、家族よりもお互いの日常を知っていたかもしれない。

猫が好き。同じような年代。同じような境遇。似たような価値観。
共通点がいくつも見つかると、会ったこともないのに、ずっと前からの友だちのような気がしてくる。

そして、当然のように思うのだ。
「実際に会ってみたい!」

初めてのオフ会は、もう20年以上前。20人ほどが集まった。ブログで知った顔もあれば、初めましての人もいる。
でも、一度会えばもう仲間。次にブログを読むときは相手の顔が浮かび、コメントのやり取りもますます楽しくなった。

なかでも、同じアビシニアンを飼っていた仲間とは、長いお付き合いが続いている。
住んでいる場所はバラバラ。それでも、にゃん友さん同士のオフ会となると猫にも会いたい。だから、お互いの家を訪ねるようになった。

訪問するときは、もちろん飼い主さんへの手土産も用意するが、もしかしたら猫への手土産がメインだったかもしれない。
猫のおやつに、おもちゃ。ほかの人とかぶらないものを探し、名古屋らしいお土産を選び、ときには手作りの猫雑貨まで用意した。
人数分をラッピングして並べると、ちょっとしたプレゼント交換会。猫に会う前から、すでに楽しい。

そして、いよいよ猫とのふれあいタイム。
おもちゃを振る人、おやつをあげる人、床に這いつくばって撮影する人。
全員が一眼レフを構えて猫を撮る。飼い主でもないのに、わが子の発表会かと思うほどの熱量だ。
撮った写真をブログに載せ、またコメントで盛り上がる。

北海道のにゃん友さんの家には、夫まで巻き込んで出かけた。札幌や小樽を案内してもらったのも、いい思い出だ。

横浜、大阪、千葉、栃木、東京、静岡……。
ずいぶんあちこちへ出かけたものだ。
振り返れば、猫に会いに行くという名目で、私は全国に友だちをつくっていた。

猫って、すごい。ブログってすごい。
飼い主同士まで、こんなに遠くへ連れていってくれるのだから。

 

私たちも年を重ね、猫たちも少しずつお空組に。時代も変わり、ブログを書く人はほとんどいなくなった。
今はインスタに場所を移して、相変わらずつながっている。
猫たちはいなくなっても、猫がつないでくれたご縁は、まだまだ続いているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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流行りのインフルエンザじゃなかった!

 

 

「ええ!今さらですか?!」
かすれた声で思わず唸ってしまった。

 

 

先週の木曜日の午後、のどに違和感が出始めた。
「ン、ンッ!」「ゴッホッ」
痰がからんだ咳まで出てきた。
「あれ、やばいな」
と思っていたら案の定、帰宅時には37.6℃。

「あ~あ、風邪ひいたかな。それとも流行りのインフルエンザ?」
ため息をつきながらも、どこか楽観的だった。
多少の熱なら、ごはんを食べて、薬を飲んで、お風呂に入って、ひと眠りすれば翌朝には復活。何事もなかったかのように出勤するのが、いつものパターンだった。
丈夫な身体が取り柄の私は回復力にも自信がある。

ところがこの日は、ごはんを食べ、薬を飲んだ頃には、だるさと熱さのダブルパンチが襲いかかり、体温はあっという間に38.8℃まで上がった。
「しんどい……。もう寝る」
お風呂はキャンセルし、ひと眠りどころか、倒れ込むようにベッドへ直行した。

翌日になっても熱が下がらず、近所の病院へ。
ヘロヘロになりながら、問診表に発熱、のどの痛み、咳、関節痛……と記入した。
診察室に入ると先生は、
「いや~、インフルエンザが流行ってますからね。とりあえず検査しましょう」
と言い、両方の鼻の穴に綿棒をグリグリ。痛くて涙目になりながら、しょんぼりと待合室で結果を待つ。

ふと前を見ると、診察を終えた若い男の子が、包帯の巻かれた親指を友達に見せながら、じゃれ合っていた。
「じゃーん!こんな感じに仕上がりました!」と言わんばかりの笑顔。(あくまでも想像です)
それを見て「かわいいなー」と目を細める私。……いや、孫を見守るおばあちゃんか。

そんなことを考えていたら、再び診察室に呼ばれ、先生から一言。
「なんと!インフルエンザではなくコロナでした~」
なぜだか、先生が微妙に嬉しそうに言ったように聞こえたのは、私の気のせいだろうか。

そして、
「ええ!今さらですか?!」
かすれた声で思わず唸ってしまった。

そう、今さらコロナである。

 

というわけで、発症した木曜日から5日間は外出を控えるよう勧められ、週末の飲み会も、気持ちのいい秋晴れの3連休の予定も、美容院も、すべてキャンセル。家にこもってゆっくり過ごすことになった。

おかげで5日目の今日は症状もなくなり、こうしてnoteが書けるまでに復活した。
まさかコロナだったとは。丈夫な身体と回復力には自信があったけど、今さらコロナには勝てなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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50代、始めるまでが長かったピラティス体験

 

 

 

 

それはデザート?ピラティスってティラミスの仲間?
少し前の私である。

そんな私が、初めてピラティスというものを体験した。最近よく耳にする「ピラティス」のスタジオが近くにオープンしたというチラシを、たまたま見つけたから。

運動不足をなんとかしたい。肩こり、腰痛、反り腰、ぽっこりお腹と年齢とともに中年の悩みがどんどん増えている。
「やってみようかな」
「でもさぁ、ピラティスって若い子ばかりじゃい?」
「50代、初心者の私が行って浮かないかな」
そんなことが、頭の中でグルグル。

近所にスタジオができたのは偶然じゃない。これはきっと、「そろそろ運動しなさい」という天の声に違いない。(……そんなわけないけど)
そう思ったわりには、1ヶ月ほどウジウジした後、ようやく無料体験を申し込んだ。

おっと、申込んだのはいいが、ウェアはどうする?シューズはいるのか?裸足なのか?またしてもわからない……。
SNSで「ピラティス」と検索し、流れてくる動画をじーっと見る。
20~30代はスルーして、40代~50代っぽい人を見つけると食い入るように観察する。

結果、「体験だし、ジャージとTシャツでいっか」

コロナ前に少しだけヨガをやっていたときのサルエルパンツ(ダボっとしたヨガパンツ)を納戸から引っ張り出してきて履いてみる。
「まだなんとか入る」
太もものムチムチが隠れていることも鏡の前でチェック。

体験当日、タオルよし、お水もよし。
気持ちよく晴れた空の下、スタジオまで準備運動のつもりで大股でスタスタ歩く。でも心の中では小さくドキドキしていた。

 

若い頃は、もっと気軽に新しいことを始めていた気がする。それが50代にもなると、何かを始める前にいろいろ余計なことを考えてしまい、なかなか重い腰が上がらない。

でも実際は、先生もそんなに若くなさそうだったし(失礼だろ)、丁寧に教えてくれて、適度な疲労感もあり、思っていた以上に楽しかった。
そして私は、そのまま入会した。

 

 

 

 

 

 

 

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「もっと早く行けばよかった」50代 歯医者嫌いの成長

 

 

何事も、年月は人を成長させる。

昔の苦い経験のせいで、ずっと二の足を踏んでいたことも、時が流れ、必要に迫られ、もう一度やってみると、まったく違う結果になることがある。

「もっと早くやればよかった」

私は歯医者の診察台で、そう思っていた。

◇

 

今の家には、終の住処のつもりで住み始めた。
だから、行きつけの……じゃなくて、かかりつけの病院を見つけることは、老後を見据えた課題のひとつだった。

内科は熱を出したときに行った病院に決めた。ケガも診てくれるし、救急外来もあって心強い。
緑内障なので、眼科も引越しと同時に探して通っている。

ところが、歯医者だけは先延ばし。気づけば2年半が過ぎた。
 「特に痛くないんだから、まあ、いいか」
と、探してもいない。
というより、私は歯医者が苦手なのだ。

治療中、なぜか息を止めてしまい、苦しくなって咳き込む。
吸引器で舌を押さえられると、逆に舌が暴れる。

そして、
 「スポッ!」
と吸引器が舌に貼りつく。

 「お口開けてくださーい」
手を噛まれた先生が、笑いながら言う。

 「もうやだぁ~」
恥ずかしいやら申し訳ないやらで、私の中で歯医者は苦行と認定された。

 

けれども先日、歯ぐきから血が出たので、意を決して行くことにした。
まずは、同じ町内のご近所さんに聞き込みをする。

 「どこの歯医者に通ってますか?」

医者ってやっぱり地元の評判が一番信用できると思っているので。

 

そうして教えてもらった歯医者にいざ行ってみると、スタッフさんはみんな親切で、先生も丁寧に説明してくれて、設備もきれい。聞いた通りだ。
そして何より、口を開けていても苦しくない。舌も「スポッ!」とならない。

これは私が鼻呼吸を覚えたからなのか。

 「はい、お口を楽にしてくださいね」
と、合間合間に休ませてくれる先生の腕がいいのか。

はたまた、吸引器の性能が進化したのか。

真相はわからない。

 

さらに、
 「前歯の詰め物が劣化してるので治しましょうか」
と、先生に言われ、

「そうなんです!私もずっと気になってたんですぅ」
と即答。

昔、テニスラケットを顔面で受けて欠けた前歯もサクッと治療してもらった。

 

久しぶりの、それも初めての歯医者は満足だった。
検査で虫歯なしのお墨付きをもらえたし、気になっていた前歯もきれいになった。
歯ぐきの治療は継続だけど、あれほど苦手だった「口を開けること」も、もう苦痛じゃない。

 

気分を良くした私は調子に乗って、

 「歯医者なんて、全然怖くないじゃん!」
と、気持ちはスキップで、ゆっくり歩いて帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「誰か読んでー!」と念を送りながら、創作大賞に応募した

 

 

中間選考発表から約10日が過ぎた。

実はこっそり、でもないか。なにげに3記事をnoteの創作大賞エッセイ部門に応募していた。
結果は、ダメだった。

創作大賞の応募総数は、なんと18万件!

あまりにも想像がつかない数字に、

「これでは、読まれるだけでも大変だ。ましてや選ばれるなんて至難の業!」

と、妙に納得し。
逆に選ばれなくても「しょうがないよね」と笑ってしまったほど。

この「しょうがないよね」は諦めの言葉じゃなくて、肩に入っていた力を、ふっと抜いてくれる言葉だ。
「まあ、そんなもんだよね」と、次の一歩を軽くしてくれる。

そんなふうに、「しょうがないよね」を自分の中のおまじないにしていった話を書いたのが、今回応募した記事だった。

 

よかったらどうぞ▼

 

 

 

 

それにしても、すごかった。
noteに投稿した瞬間から、たくさんの記事に埋もれていく。
またたく間にnoteのトップ画面から、サーーーっと流れていく。

「待ってー!」
「誰か気づいてー」
「読んでー」
と、念を送りながら投稿したな~(笑)

 



 

 

 

でも、18万件……。
そりゃ、「しょうがないか~」だよね。
 

そんな感じで、私の創作大賞の初参加は終わった。




 

その他の2作品はこちら▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「江口のりこ!」と答えたら、コーヒーがこぼれた

 

 

こんなことってある?

夫はテレビ、私は新聞。
お互いの気配を感じつつ、それぞれの過ごし方でリビングにいた。
そんな、いつもの休日だった。

テレビでは、お笑い芸人がロケをしている。

「ははははは」

夫が楽しそうに笑っている。

朝からご機嫌で何よりだねぇ。そんなことを思いながら、私は新聞に目を通す。

そして、いつものようにコーヒーをズズッとひと口。
そのタイミングで、夫が突然、

「ねえ、この女優さんの名前って何だっけ……?」

「江口のりこ!」

即答。

その瞬間、口からコーヒーがダラ~~~~。

「ウソでしょ!!」

 

何と私は、
飲み込む前に答えてしまった。
飲み込む前に口を開けてしまった。
というか、夫が思い出す前に先に答えたかった。
そんなに急いで答える必要なんてないのに。

「エヘヘ……」

と助けを求めるような目で夫を見る。
あごまでコーヒーを垂らしている私に向かって、これでもかというくらいの呆れ顔をしていた。

「ええー?そっちが急に質問してきたせいだよね?」

なぜか理不尽に八つ当たりをする私に夫は、

「いやいや、子どもじゃあるまいし。ちゃんとした大人はコーヒー飲みながら口を開かないよね~」

と言って爆笑。

よかった~笑ってくれて。
だって、ここで笑ってくれないと、私も笑ってごまかせない。本当にただの失敗になるじゃん……。(失敗なんだけどね)

 

私にとって新聞を読みながらコーヒーを飲むのは、休日のルーティンだ。まったく意識しなくても、目は新聞、手はコーヒーカップをつかみ口へと運ぶ。
その無意識モードの真っ最中に、突然質問してくるなんて。

そんなの反則だー!
と、夫のせいにしてみる。

でも、咄嗟に答えた私も、
おバカさんだー!

自分の馬鹿さ加減に呆れながら、笑えて、ちょっと情けなくなった。

 

それにしても、50代、それなりにいい大人でも、あごにコーヒーを垂らすことはあるのだ。
何が起こるかわからない、平和な休日である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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父はスタスタ、母はちょこちょこ。両親との電車旅は大忙し

 

 

2日間の長旅、ホント疲れた。

伯父の訃報を受け、高齢の両親を連れて告別式に参加することになった。
本当なら車で連れて行ってあげたかったのだけれど、遠方のため電車で向かうことに。

でも、電車だからと言って、決して楽ではない。
高齢者との電車移動には、体力や筋力の衰えとは別に、もうひとつ大きなハードルがあった。

父と母の歩調が、まったく合わないことだ。

 

腰や膝が弱り、ちょこちょこ歩きで長時間は厳しい母。
逆に88歳とは思えないほど足腰が丈夫で、スタスタ歩いていく父。

遅い母と、速い父。
その間に入る私。

まるで速度の違う車をひとりで誘導するかのような難しさだ。私はちょっと甘く見ていたようだ。

◇

新幹線ホームの待合室。
久しぶりに会った母が、普段よほど父との会話に退屈しているのか、私に向かって弾丸トーク。

「この前ね……」
「近所の○○さんがね……」

と、しゃべるしゃべる。

そこへ父が割り込む。

「何時の新幹線なんだ?」
「何号車だ?」

さっきから何回も同じことを聞いてるけど?
この時点からもう噛み合っていない。

「そろそろ時間だから行きますか」

と声をかけると、ふたりとも反対方向へと歩き出す。

なぜ、ぞうなる?

「そっちじゃなくて、こっち!」

小幅でのろのろ歩いている母を止め、スタスタと先を行く父を追いかける。

まだ、新幹線にすら乗れていないのに、すでに私は疲労困憊。
この先、電車を乗り継いで約4時間。大丈夫かな?と早くも先が思いやられた。

 

しかも、乗り換え時間もかなり余裕を持っていたはずなのに、結局乗り遅れた。

母が「トイレ行ってくる」と言うので、
「お父さんも今のうちに行ってきたら?」とすすめると、
「俺は大丈夫!」
……しまった。父はあまのじゃくだった。

案の定、母が戻ってきて、さあ行こうというタイミングで、
「やっぱりトイレ行ってくる」

だからそう言ったのに……。

慣れない土地でスマホを確認しながら、父と母から目を離さないようにしながら、そのうえ荷物を抱えながらの乗り換え。

私もヘトヘトである。

◇

葬儀場では、着替えでもひと騒動。

いつも母に任せっきりの父は

「ネクタイはどこだ?」
「ハンカチは?」
「財布がない」だの、「数珠がない」だの、
次々に質問する。

母も母で、「はいはい」と探す。そのたびに着替えが中断する。これでは母の着替えがいつまでたっても終わらない。

「私が探すから、お母さんは着替えに集中して」
と、やんわりたしなめる。

 

こんな調子なので、ちょっとしたことでも、どんどん時間が削られていく。
普通なら、ここから急いで挽回するところだけれど、高齢の両親を相手に焦らせることはできない。

だから、今回は前泊した。
おかげで致命傷は免れ、気持ちにも余裕ができ、体力消耗も抑えられ、無事に告別式を終えることができた。

 

 

伯父とのお別れの旅。
大変だったけど、両親と一緒に母の最後のきょうだいを見送ることができた。それだけでも、連れて行けてよかったと思う。

 

ちなみに、帰りは妹が合流。
父担当=私。

母担当=妹。
のマンツーマン体制で電車旅ミッションを遂行した。

やっぱり高齢の両親との旅は、人手があるに越したことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ヤモリさん、家の外からお守りください

 

 

朝起きて新聞を取りに1階へ下りた。玄関とは反対側にある勝手口の引き戸を開ける。

なんだか、暑さで空気がどんよりしている。
「ちょっと換気しよう」
そう思って、しばらく戸を開け放しておくことにした。
網戸にして、身支度などあれこれして、いつもの朝のルーティンを済ませる。

そろそろ閉めようと引き戸に手をかけた。
そして、勢いよく戸を滑らせた、その瞬間。
私の手の甲に、ヒャラヒャラッと、なんともいえない感触が走った。

「ヒッ!」

思わず声が出た。え、まさかゴ〇〇リ?

恐る恐る、引き戸の周辺を見渡してみる。

……いた。

壁際の床面にペタっとへばりついている。ヤモリだ。

どうやら私は、引き戸を閉める勢いで、ヤモリに触れてしまったらしい。

「イヤ〜〜〜!」

朝っぱらから、ヤモリが私の手の甲を走ったー!

しばし、ヤモリを見つめて固まる。
向こうもじーっとしている。

「どうしよう……」

体長は10センチくらい?色は薄いベージュっぽい。
よく見ると、つぶらな目をしていて、ちょっとわいいかも(笑)

いやいや、かわいいかどうかの問題ではない。ここにいてもらっては困る。

そこで、スマホを取り出し、「ヤモリ 出た」と検索した。

ヤモリは家を守る縁起の良い益獣と言われているらしい。
害虫を食べてくれるうえに、「家を守ってくれる存在」として、昔から大切にされているという。

なので、家の中にいるヤモリを「安全に無傷でご退出いただく」方法がいくつか書かれていた。

そのひとつが、「新聞紙で優しく誘導」という手段。
なるほど。ちょうど近くにあった新聞で、そぉーっと誘導し、なんとか外へ出て行ってもらうことに成功した。

「よかった~」

 

ところが、縁起がいいと知ると現金なもので、ヤモリについてさらに検索してみた。
・ヤモリがいる家は栄える
・火事から家を守る
・富の象徴
などなど。

「むむ……」

さっきまで「早く出て行って!」と思っていたのが、急に惜しくなってきた。

「しまった!まだ近くにいるかな~」

慌てて勝手口の引き戸を開けてみる。でも、もうヤモリの姿はなかった。
そりゃそうだ。さっき私が新聞で丁寧にお見送りしたのだから。

「いやいや、家の中にいられても無理だから」と自分に言い聞かせる。
その反面、「富の象徴を追い出しちゃったな」という後悔の気持ちも残った。

 

 

朝からヤモリに驚かされ、ヤモリを追い出し、そのあとでご利益を知って惜しくなる。
 

そんな欲深い私は、
『ヤモリさん、外にいてくれるのは構いませんので、どうか家をお守りください』

と勝手なことを祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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