タイトル忘れた。
ユースケ・サンタマリア、井上和香。
あらすじ。
結婚して長い月日が経ち、妻に飽きてきたユースケ。
雑誌で井上和香を見て、
「こんな子が妻だったら」
と思う。
そんなとき、飲めば妻が理想の女性に見える薬を手に入れたユースケ。
ためしに飲んでみると、本当に妻が井上和香に見えた。
今までは妻に誘われても「疲れてるから」と断っていたユースケが、毎日毎夜ビンビンに。
そんなおり、ユースケの同僚の浮気がばれ、奥さんに家を出られるという事件があった。
ユースケは、くすりの効果で井上和香に見える妻に言う。
「もしおれが浮気したらどうする?」
*
やがてユースケは、薬で井上和香に見える女性とHする自分を後ろめたく思い始める。
「結局、俺も浮気していることになるんじゃないか?」
後ろめたさから、妻を遠ざけるユースケ。
ある日、妻は泣きながら言う。
「私を避けているの?
お願い、嫌いになったならはっきり言って。
私、あなたを苦しめたくないの。
あなたの負担になるなら、私は出て行く。
あなたがプロポーズしてくれたとき、私、嬉しかった。
きれいじゃなくて、かわいくもない私のことを
『そのままのお前が好きだ』
と言ってくれた。
ほんとうに嬉しかったの」
ユースケは妻を抱きしめる。
そして、くすりを捨てる。
*
翌朝、妻は玄関の外までユースケを見送りに来てくれた。
いつまでもユースケを見送る妻に、ユースケは投げキッスをする。
*
カメラは妻の目線に。
妻の目に、ユースケは、流行のドラマのヒーローに映っている。
妻の鏡台には、ユースケが飲んでいた薬の婦人用が・・・
***
感想。
妻が泣きながら夫に
「あなたの負担になるなら言って。出て行くから」
と言った瞬間、「この女、ユースケと同じ薬使ってるな」とピンと来ました。
こういうセリフって、長年連れ添った夫婦の間だと出てこないです。
これは、自分にはもったいないほどレベルの高い男を引き止めるときに使う、捨て身の高等戦術です。
心の美しさをアピールして、美人に勝とうとしている女のセリフです。
夫婦って、ある意味、対等の立場です。
対等なら、こんなセリフははかないはずです。
あのとき女の目には、ユースケがドラマのイケメン俳優に映っていたはず。
だからあんなセリフが吐けた、と私は直感したのですが、
結局、直感どおりのオチでした。
*
要するに、ふたりとも、互いにくすりを使って「バーチャル浮気」していたというわけです。
でも、しょうがないですよね。
男と女も長年一緒にいるとお互いふけるし、新鮮味もなくなるし。
うん、しょうがないです。
現実に浮気されるより、バーチャルで浮気された方がマシ。
それで夫婦の仲が円満に(?)保てるなら、それでいいんじゃないですか?
*********
「雰差値教育」
あらすじ
「おまえの授業ではいい偏差値が取れない。おまえなんか必要ない」
クラスの生徒全員から授業をボイコットされ、父兄からも担任を変えてくれと要望された女教師。
それまで勤めていた学校をやめ、新しい学校に転任することになった。
その学校では、偏差値教育ではなく、雰差値教育を行っていた。
「学校は小さな社会。
その社会の中で、どれだけ自分の個性を生かし、社会にとけこむことができるか。
それをはかるのが雰差値」
だからその学校では、テストはない。
そのかわり、毎回授業には雰差値委員という雰差値を審査する人間が3名、かならず付き添っている。
そして、授業の様子を見ながら、こまかく雰差値を決定し、電光掲示板に表示している。
女教師の授業の雰差値は、いつも50前後。
ある日、女教師は校長に呼ばれ、
「あなたのクラスの雰差値は低すぎる」
と叱責される。
女教師は、別のクラスの授業をのぞき見る。
そのクラスでは、ラップをしながら英語の授業をしていた。
電光掲示板の数字は74。
女教師は、自分のレベルの低さを痛感。
ファッションを変え、キャラクターを変え、冗談を連発して、雰差値を60台にあげる。
だが、それでも校長に叱責される。
「他のクラスは平均70.
あなたのクラスは最低です。
このままでは、あなたのクラスは推薦を受けられない。
そしてあなたもダメ教師の烙印を押されてしまう。
現に、生徒の中から、担任を変えてほしいという声も上がってきてる」
女教師の頭に、クラスの生徒全員からボイコットされたつらい記憶がよみがえってきた。
このままではいけない。
彼女は、ある計画を立てる。
*
クラスの男子Aの中傷びらが教室に貼られる。
中傷されて怒る男子A。
女教師は、騒然とする生徒たちをなだめようと近寄って、間違ってある男子生徒Zの机をひっくり返してしまう。
すると、机から中傷びらが。
殴ろうとするA。
だが女教師は、Zを体をはって守る。
そして、叫ぶ。
「クラスは家族。家族に殴られるなら本望よ」
その瞬間、掲示板は70を越えた。
しめしめ。
ほくそえむ女教師。
実は、このびらをまいたのは女教師自身だったのだ。
*
その後も、がり勉の男子を中傷する落書きをして、自殺しようとするがり勉男子を抱きしめて止めるなど、自作自演を繰り返し、クラスの雰差値を上げた女教師。
だんだんクラスの生徒たちと仲良くなり、一緒に仲良くランニングをし、楽しく語らうまでになる。
だが、校長に呼ばれ、言われる。
「ずいぶん持ち直してきたが、いままでの雰差値が悪かったので、次の授業で雰差値90以上を取らないと、特Aの推薦は受けられない。
生徒たちとあなたの未来がかかっているんですよ。
頑張ってください」
どうしよう・・・
70を取るのも大変だったのに、90なんて無理・・・
今度は、どんな芝居をしようか・・・
考える女教師の前に、優等生の女生徒がやってくる。
女生徒は、妊娠してしまったというのだ。
「しめた」
女教師はほくそえむ。
*
次の日、女教師は、黒板に大きく「命」と書く。
そして、クラスのみんなの前で、女生徒の妊娠の事実を告げる。
「みんなに言うなんて、ひどい」
と泣き崩れる女生徒。
だが、女教師は、
「クラスは家族。だから、みんなで命を守ろう」
と訴える。
「そうだ」「そうだ」
賛同するクラスメイトたち。
だが、掲示板の数字は思ったより伸びない。
焦る女教師。
そのとき、一人の男子が立ち上がる。
「おまえ、ふたまたかけてたな。誰の子だ」
クラスのムードは一転。険悪になり、掲示板の数字はみるみる下がっていく。
男子は、ナイフをつきだし、女生徒を刺そうとする。
女教師は、ここだとばかり、生徒を庇う。
これで数字が挙がればいいのに・・・
だが、思ったほど上がらない。
「あがれ、あがれ」
心の中で祈りながら電光掲示板ばかり見つめる女教師を、男子はナイフで突き刺してしまう。
あふれる血。
くずれおちる女教師。もうろうとしていく意識。
生徒たちは女教師を取り囲んで、叫んだ。
「先生!先生が、自分の命で命について教えてくれたんだ」
「先生、ありがとう」
「先生、先生」
その瞬間、掲示板の数字は100に。
チャイムが鳴った。
それと同時に、生徒たちはいっせいに自分の席に着き、カバンを持ち、帰り支度を始めた。
雰差値委員会の委員たちが退席したのを見計らって、生徒たちは女生徒に言った。
「よかった。さすが優等生。おまえのおかげで助かったよ」
「これで推薦受けられるな」
「しかしよく考えたよな」
生徒たちは、先生ではなく、女生徒に感謝の言葉を投げかける。
ナイフで先生を刺した男子生徒は、青ざめて倒れている女教師に言う。
「先生。それ、血糊だから」
そして、女生徒は、女教師に向かってつぶやく。
「私が妊娠なんてするわけないじゃない」
そして、教室を出る直前に振り返り、女教師に言う。
「私は雰差値が高くなればそれでいいの。あんたなんか必要ないわ」
教室にひとり取り残された女教師は、100を指した掲示板を見つめて、暗く沈んだ声でつぶやいた。
「ありがとう・・・」
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かんそう
学校教育って、結局、最後は必ず生徒に順位をつけて、ふりわけます。
だから、「ゆとり」とか「心の教育」とか、いろんなことを言っても、意味ないんですよね。
いくら心がきれいでも、大学入試には受からないですから。
雰差値教育って、一見、本当の人間性をはぐくむ教育に見えますけど、数字をつけて優劣を争うという点では偏差値教育と同じ。
むしろ、人間性を数値化して順位を競う方が、テストの点を競わせて生徒の優劣を決めるより悪質な気がします。
*
最後の教師の「ありがとう」は怖かったです。
ここまで馬鹿にされて、見下されて、それでもやっぱり「ありがとう」なんですからね。
とにかく数字さえよければいい・・・
雰差値によって人間性をはぐくむ教育が、逆に人間性を破壊してしまうというアイロニーが面白いドラマでした。

