「虫たちの日」
稲森誠×柳森万里
淡々とした夫婦の日常。
そこに劇的なものは皆無。
ただずっと晩ごはんを食べる。それだけの何気ない日常。その緩やかな男尊女卑なる日常の宴。
それが上手い2人だからこそ嫁が少しづつ忘れっぽくなってゆく不穏が緩い毒になる。いつか来るであろう破綻。
ある意味、ゴドーを待ちながらのベースに通ずる危うさ。
「受付」
寺嶌奈穂美×やくの寛
ペースメーカーである受付嬢の高圧的で歪んだ搾取する側の演技はある種、宗教的な怖さを有する。だがそのAIの如き声質も動きも通り一遍等ではない。面白いは面白い間違いない。だがその尖りは昭和。令和ではない。古き良きと言ってしまえばそれまでだが、それを超える何かが観たい、というのが正直な感想。
しかしこの変わらないものをやり続けてゆくのが生き続けてきた劇団の証明なのではないか。
そんな事を思いながらの帰り道。

