5月24日(日)
7・5・3企画参加作品
コメディユニット磯川家 【今宵はグッドファルス~終わらせたくない夜に~】
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一心寺シアター倶楽
17:00
【作・演出】
保木本真也
【出演】
菊池祐太 島岡亮丞 物延結 斉藤コータ 二宮瑠美 木畑望美 信原久美子 村上研太 尾上裕香 田中誠行 マツイカヅアキ 緒方晋(The Stone Age)本多真理(昆虫PEG) 山川勇気(村田本舗堂) 前田友里子(悲願華) 大塚宣幸(大阪バンガー帝国)
【感想】
タイミング。
人生においてこの言葉がどれほどの意味を持つか?
僕は生きているタイミングにおいて、本当にバッチリのタイミングでの観劇となった。
それらの要素が複雑に折り重なり、僕は3回目の観劇である。
何回観てもいいものはいい。
まず中心家族の森良家から始めたいと思う。
妹:森良好美 役の 【物延結】さん。
抜群の反射神経だと思う。ちゃきちゃきとした物腰にキレ味すざまじいツッコミが、どうにもこうにも可愛い。
ヤバい。
親父をなでぎるツッコミにお芝居なれど僕の心までザックリ袈裟懸け!(泣)
しかしその潔いツッコミなどが小動物のように可愛い。
僕:森良留雄 役の 【斉藤コータ】さん。
ラストのセリフに辿り着くために積み上げたバカッぷりが本当に可愛い。
何度も何度もお芝居中に頬をはつられるシーンがある。
全公演を通して何百回という世界。
舞台中アドレナリンの放出で痛いとは感じなかったというが、その痛みは想像を絶する。
改めてコータさんを好きになる。
また今回課せられたミッションは僕ら客の誘導係。
大真面目な話し、僕は留雄に自分の姿を投影する事が出来て戸惑っている。
傷だらけの脛を見せて貰って更に納得。
向上心の塊。
母:森良野江子 役の 【本多真理(昆虫PEG)】さん。
上手い。
丁寧に弾けてくれる。
可愛いお母さん。なんて素敵なんだろう。
今まで幾つかの舞台を見せて貰ったのだが、ここまでのキレがある役柄ではなかった。
ゆるゆるとした艶を見せる役だ。
だから今回のようなその達者ぶりに驚かされるのだ。
父:森良和臣 役の 【緒方晋(The Stone Age)】さん。
僕が観た回で後ろに座っていた若い一団がまず開口一番「緒方さん凄い!」と言い切って話題になっていた。
当たり前である。
あの緒方さんなのだ。思わず鼻が高い。
とにかく若手の中での緒方さんの個性は強烈極まりない。
磯川家のお芝居は基本、東京弁を駆使する事が多い。
それは一般大衆に向ける事で一番受け入れ易いという理由での事だという。
しかし緒方さんは脚本段階からのあて書きなので、関西弁が優先されて使用される。
そうした経緯の異質さが小気味良い。
今回も限界までしゃがれた声を懸命に搾り出されている。
まさに演技のブルースを奏でられている状態。
新しい緒方さんの姿が気持ちよい。
祖母:三ッ葉秀代 役の 【尾上裕香】さん。
弱々しくも、力強い御婆さん。
ゆるりとした艶。
しかしこれが21歳なのだと聞いて衝撃を受ける。
あの、のほほんとした言葉の繋ぎ方から仕種が21歳のポテンシャルなのだとは!
ある方に言われたが、そういうのは歳ではなくセンスなのだという事。
まさしくその通りだと思う。
叔父:三ッ葉俊之 役の 【田中誠行】さん。
ええ声である。
そして物腰が優雅であり、リアルである。
今回もお父さん役がシックリ。
またそのリアルさに納得してしまう空気を易々とまとっているのが凄い。
息をするように演じられているように感じるのが凄いのだろうと最近、強く思う。
従弟:三ッ葉博亮 役の 【村上研太】さん。
やはり磯川家での研太さんは水を得た魚の如く生き生きとしている。
何をするのも大袈裟でコミカルで、何とも愛嬌が伴う。
自身が持つ『男前』な部分を平気でパロディにして次のステップへよじ登ろうとしているのがいい。
心地よいのだ。
思い切りも良く、ただただその素っ頓狂さに微笑んでしまう。
あのエセ探偵気取りも良かったし、母におびえる従順さも可愛かった!
研太さんでしか出せない味が本当に気持ちいい。
叔母:三ッ葉真菜 役の 【二宮瑠美】さん。
達者である。
そして美人であるのに達者であるコトが稀有だと思う。
磯川家の女優陣は100%に近い確率で可愛い。
それが綺麗と可愛いに振り分けられるのだが、二宮さんは間違いなく綺麗系。
それをサラリとガチャガチャに出来るところが凄い。
凛!とするだけを良しとしていないのだ。
(いや、脚本がそうだから、そうしているだけ)という空気が微塵も感じられないのである。
底が深い。
続いて、葬儀屋 『メモリアル佐々木臨心社』 の面々である。
佐々木洋二郎 役の 【菊池祐太】さん。
相変わらずコミカルな動きをさせたら右に出るものはいない。
抜群である。
これまで日常生活で培われた様々な事柄を演じる役作りに投影させる術は本当に頭が下がる。
ふり幅が広いのだ。
だからこそ、身体を張った飛び技を駆使する威力が膨らむのだ。
僕ら客席に届く怪気炎は禍々しくも大きい。
それなのにシャープなのだ。
今回の役柄もクールさが下地にありながらも、「真菜さぁんンッ?」 と眼鏡を外し、目をこすり動揺する様は流石!
この名人芸を観たいから磯川家に足を運んでいると言っても過言ではない。
まさます切れ味が増しているので嬉しい。
平田百合子 役の 【信原久美子】さん。
重要な役どころである。
ツッコミに必要なファクターを一身に背負い新人の上原に叫ぶ事でシーンを転がさなくてはならない場面が随所に設けられており、ツッコミ職人!に近い信原さんは縦横無尽にツッコミまくる。
それが・・・・・・・・
気持ちいいのだ。
決まる。
決まるのだ。
コメディーの原則としてツッコミの上手さは作品のランクアップに比例する。
信原さんは間違いなくこの作品の質をアップさせるのに貢献されている。
ツッコミ・ファイター。
でありながらも、今回課せられたミッションはラブラブ・バカップラー!
・・・・これがまた・・・・日を追うごとに可愛くなっているのだから凄い。
上原麻沙貴 役の 【木畑望美】さん。
磯川家きっての 『ゲラ・ファイター』 ここに参上!
前作、【ベリー・ベター・ストーリー】 で存分にその力を発揮して舞台中をゲラの海に沈めた立役者!
もうしばらく・・・笑えることがないなぁ・・・などと言っていたのも束の間!
脚本にはない笑いを稽古場でずんずんと足されて気が付いたらゲラの草原をひとつかみの雲があてもなく飛んでゆく。山もなく谷もなく何も見えはしない、けれど・・・・マル・・・・いや違う!
とにかくその間が絶妙に上手い。
あの間を置いての「はい!」は本当に絶妙!
フェネラル・アーティスト 下守谷蜜豊 役の 【島岡亮丞】さん。
その 『いらわれキャラ』 の真髄をいつも僕らに提示できる最強の受けキャラ島岡さん。
実生活においても(?)団内でのいらわれかたソックリ。
まさに島岡さんから発生するフェロモンが保木本さんに書かせたに違いない。
そして今回のスカしたいかれキャラ!
僕の大好物のウザキャラ!(笑)
アンケートにも一番好きなキャラとして挙げたキャラクターだ!
英語の発音から、暴走気味の行動、そして暑苦しい熱血漢!
ツボだ!
またそれを島岡さんが究極の職人芸で最高のキャラクターに磨き上げている。
後で聞いた話しだが、上着のヒラヒラの服は女物らしい。
それが似合うキャラクターを作り上げた島岡さん、保木本さんに乾杯!
役の 【山川勇気(村田本舗堂)】さん。
本当にこの短いスパンで実に様々なところに顔を出されている。
僕は観ているだけだから、どーって事はないが、その現場現場で舞台監督やら何やら役者やらをこなされながらも、今回出演。
しかもこれが終わると同時に次の村田堂本舗の本公演が2週間後である。
強行的なスケジュール!
さて、それはさておき、山川さんの演技である。
そのオドオドしい坊主はまさに山川さんだ。
巻き込まれ型の重鎮として完璧な演技をしている。
周りに合せるのではなく、ただ身を任す。
いわば全ての技を受けきるプロレスラーのようにだ!
(この辺りはグラップラー刃牙を参照願いたい)
お見事!
香典泥棒:マイケル吉田 【マツイカヅアキ】さん。
強弱、明暗、冷熱。
相反するものを易々とその身に乗り移らせることが出来るイタコ役者。(言い方悪くてすみません・・・)
激しく、くるくるときりもみしながら舞台を転がる様は芸術の域である。
しかしお客を涌かせる毎にその身体中に大きなアザと傷が・・・・・
千秋楽後、右ヒジの辺りを見せて貰ったが、想像を絶する青タンである。
いや・・・・どす黒い。
うっ血した血液が行き場なく滞っている。
そうした姿をまったく表に出さない。
その姿に僕は胸が熱くなるのだ。
満身創痍の身体には熱い血潮!
男樹!
香典泥棒後輩:来生 役の 【前田友里子(悲願華)】さん。
その花のような笑顔に癒される。
だが、今回の磯川家での役柄もふてぶてしく強い女である。
実際の優しさと癒され具合は半端ではない。
話が逸れた。
とにかく来生役に入り込む前田さんは、これでもか、これでもかとばかりにアクティブに弾けまくる。
そして世間を斜に見る。(笑)
マツイさんに蹴りを入れる前田さんの輝きは半端ではない。
僕はMではないが、蹴られるのも・・・・・ありかと考えてしまう。ぶるる!(違う)
「わかってましたけどね」
いや、本当に違うンだってば!
管理人:マツダユウサク 役の 【大塚宣幸(大阪バンガー帝国)】さん。
しなやかな肢体!
類稀なる演劇の野獣人!
ワイルドなのに繊細。
女が惚れる要素をコレでもかとばかりに煮詰めた結晶体!(笑)←失礼
とにかく鍛えられた背筋に鬼の面が見えた!
(この辺りはグラップラー刃牙を参照願いたい)
まず存在感が違う。
風格があるのだ。
そうなのだ。
舞台での存在感=身長、という公式が成り立つはずなのだが、意外にそこまで大きくはない。
にもかかわらず、際立っているから違和感だけが残る。
体重が55キロと聞いて衝撃を覚える。
全身を松田優作色に染め上げ、あの伝説のオープニングシーンを鮮やかに浮かび上がらせる!
途中、わざと足を踏み外すシーンが挟み込まれているのだが、実に自然!
危ない!
咄嗟に思うも、怪我のないように後で祈るだけ。
アクトリーガー、期待のルーキーはやはりいい!
忘れられないセリフは数々あれど・・・・・。
そのセリフを僕はとても愛している。
そこに辿り着く為のお母さんのセリフ。
「お通夜ってね・・・・孫のお祭りなのよ。日頃会わない親戚やら色んな人に会ったりして・・・・」
そこでラストシーンで、また何かとんでもない事が起こり、演者が一斉にもんどりうって袖にはけてゆく。
しかし留雄 役のコータさんが戻ってきて、出遅れたお母さんに向って言うのだ。
「楽しいでしょ?」
母もにっこりしながら応える。
「不謹慎ね」
もう駄目だった。
なんとも愛しくて愛しくてならないシーンだった。
あの日、僕はそんなコトを考える余裕すらなかった。
末期癌の親族を目の当たりにし、死を看取って抜け殻になった僕はそこに至る事は出来なかった。
不謹慎だったけど、僕も初めて会う人達や、見知らぬ親族と話しながら奇妙な違和感だけを持ち続けた。
笑ってはいけない。
そんなコトを意固地に思っていたかも知れない。(実際、笑ったりもしたのだけど・・・・)
だからこの言葉を聞いて僕は救われたのだ。
だから、
あの日の僕に伝えたい。
ありがとう磯川家さん!!!
本当にありがとうございました!!!!!!!
本当に忘れられない公演になりました♪