4月19日(日)
兎町十三番地 【ホロビウタ】
http://www.usagimachi13.net/pc.html
伊丹AI・HALL
14:00
【作、演出】 中川昌紀
【CAST】
広川 文/新良エツ子/谷口ゆうな/宿南麻衣/道田英里/福地教光/伊地田周作
前田有祐/顎(まこと)(team バキューム)/飛田尚美/マツイカヅアキ/山本美和子(真紅組)
寺坂麗/密山舞/柳澤優美子/若尾未来/和田尚子(BRANCH)
樋口未芳子/兎川 純/ほか
【あらすじ】
生まれ出会え歩めた幸運に、花束を。
命が、見えない。
生きる事は、ふわふわと漂っていて、曖昧で、境界線がない。
女が目覚めると、そこは黒い鉄塊の音が鳴り響く暗闇。
手には、懐中電灯が一つ。他に明かりは無い。
体にまとわりつくのは、血と錆の匂い。
女は、自分の名前も、ここが何処なのかも、忘れてしまっていた。
次々に現れる、奇人達。ヤマネと帽子屋も、武装した親指姫も、
白雪の母も、灰かぶりの姉達も、十三番目の魔女も、
皆、私を知ってるというが、本当か嘘なのか疑わしいことばかり。
どうしようもなく「女」である自分が愛しくて憎らしい。
ああ、私は、今日も普通に会社に出かけたはずなのに。多分。
赤色セロファンの空からは、無限に降り注ぐ物語の雨。
昔は、ここにも誰が居て、笑ったり泣いたりしていたけれど、今はもう誰もいない。
バラバラになって、リサイクルされて、輪廻を繰り返す。
私達が恐れ隠蔽し、美化された死を追って、
時の流れを漕いで、滅んだ世界を、山積みにされた本を、潜り抜けて進め。
全て滅びて行けども。全て失って行けども。全て曖昧になれども。
いつだって、レインコートを着たずぶ濡れの少女が、
枕元で、寝ているあなたを殺そうと待ちかまえている。
生と死は、切り離せない双生児。
日は沈んで、また昇るよ。
神様どうか、今日が雨でも、明日は晴れますように。
【感想】
舞台に立ちこめる世紀末な匂い。
ファーストシーンの骨を拾う行為と、もう一人のやり取りに全てが集約されていた。
これから始まる腐敗臭たちこめる、絶望的な物語。
物語は一進一退。
気まぐれな神様から見放された物語という個人が右往左往する様を描く。
その物語を構築する為に必要なダンスと劇中歌が、これでもかこれでもかと矢継ぎ早に展開される。
この辺りはさすが兎町!
目の前に訪れる奇妙なおとぎの国が、とてつもない悪意に満ちていることだけを僕らにバーコードのように貼りつかせている。
だからこそダンスが、歌が、切なく、悲しく響く。
あいにく僕は劇団員さんのお名前とお顔が一致しておらず、不勉強で申し訳ないのですが、個々のレベルが東京レベルであるといつも感じていました。
演技にしろ、ダンスにしろ、歌にしろ、楽曲にしろ、そのひとつひとつのレベルがとてつもなく高い。
だから物語が耽美であればあるほど、美しく栄えるのだ。
【滅美】
という言葉がある。
この言葉が、これほど似合う劇団さんは僕の知る限り五指には満たない。
そのトップを間違いなく駆け抜けようとするのは兎町十三番地に他ならない。
しかもその滅びは再生へと、その手を伸ばしてやまない。
だから背中を走る戦慄は、いつしか快感へと変わるのである。
つたない言葉の連なりで申し訳ありません。
ただ舞台の上の一人一人は間違いなく眩い光をまとっておられました!
もう・・・・お声をかけさせて頂くべきかどうか迷ってしまうほど!
というか、あまりに皆さんが綺麗過ぎて声がかけられないというのが現状。
男も女も関係なく【凛!】とされてスタイリッシュだった。ただ見知った方が同じ舞台上に立っておられた。
マツイカヅアキさんと、福地教光さんである。
その群雄割拠の中にあり、とてつもないパワーを解放されていたお二人には本当にもう感服でした!
カーテンコールのマツイさんを見て思わず涙が溢れてしまいました!
いい人生を歩まれているな!
お話した時に思わず抱きつきにいっちゃったほどです!
福地さんも本当にかっこいい!だけでなく達者!
身体の切れもあるし、何よりもその長身と甘いマスク!
天が弐物、参物あたえてまんねん!
いつか・・・・・・福地さんいしか出来ないものを提示できたら幸せだろうな♪
その時はよろしくです!
それにしても素敵な時間でした。
凝縮されたものが、そこにあった。
何?
元気玉?
いや、
それは
希望!